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アニメ『葬送のフリーレン』で心配される「原作ストック」問題 2シーズン以降の打開策は?

マグミクス / 2024年2月20日 21時10分

アニメ『葬送のフリーレン』で心配される「原作ストック」問題 2シーズン以降の打開策は?

■理想的な分割クール制で進行している『SPY×FAMILY』

 最近のマンガ原作のTVアニメは、『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』や『葬送のフリーレン』など多くのヒット作を生んでいます。原作を知っていてもアニメでの展開が気になるもの。一刻も早くアニメとして動いているところを観たいと考える人も多いと思いますが、そう簡単にはいかない事情がありました。

 十数年くらい前からマンガ原作のTVアニメは、それ以前とは異なるスタンスで制作されるようになっています。マンガ原作ストーリーを忠実にアニメ化するため、極力オリジナル要素を入れないような方向性。そのために、原作が一定値まで貯まるように休息を挟む「分割クール制」です。

 この分割クール制の良いところはそれだけではありません。製作時間に余裕を持たせられることから、作品自体のクオリティを大きく上昇させることも可能となりました。つまり待たされた分だけ、作品として満足のいくものが観られるということです。

 とはいえ、時間が経過すればするほど作品としての鮮度が落ち、その興味がほかの作品に移る可能性があるでしょう。つまり、長く待てばいいというものでもないわけです。

 そこで近年、話題になった作品がおよそどれくらいの時間でアニメ化されたかを振り返りつつ、その原作ストックの量と今後のTVアニメ化に必要な時間を割り出していきましょう。

 まずは『SPY×FAMILY』。連載は配信サイト「少年ジャンプ+」です。TVアニメSeason 1は分割2クールとなっていました。第1クールは2022年4月から6月まで12本を放送、第2クールは同年10月から12月まで13本を放送しています。その後、Season 2は2023年10月から12月まで12本を放送しました。

 ちなみにここで使用された原作を話数表記で比べてみましょう。最初のアニメ12話で消費した原作は17話まで。次のアニメ13話から25話までは、原作では38話くらいでした。続いてSeason 2の26話から37話までは、原作の59話までをアニメ化していました。

『SPY×FAMILY』の原作マンガは通常のエピソードのほかに、時おり短編を交えて発表されています。そのため一概に比べられませんが、最初の1クールは17話消費していますが、以降のクールからは11話となっていました。これは徐々に原作にはない部分を、アニメで補完していったことが要因だと思われます。

 ここから考えると、次のクールは原作70話くらいでしょうか。しかし原作では69話から76話までが長編になっていました。ひょっとしたらストーリーに支障がないエピソードを前後させるかもしれません。あくまでも筆者の想像です。

 ちなみに原作は2024年1月22日の更新で94話でした。筆者の計算で考えればストックはおよそ2クール分あります。さらに原作マンガは2週に1度の更新が基本でした。1クール分を貯めるのにおよそ半年あれば大丈夫ですから、現在の分割クール制なら定期的にTVアニメは楽しめると思います。

■第2シーズンで原作は枯渇する? 『葬送のフリーレン』の抱える問題とは

5人の作家が描く、公式アンソロジーコミック『葬送のフリーレン アンソロジー~異なる旅を楽しむ魔法~ 葬送のフリーレン』(小学館)

 続いては、「週刊少年サンデー」で連載されている『葬送のフリーレン』です。この作品の原作マンガとTVアニメの関係は、大きく分けてふたつのパターンがありました。短編のような1話完結のエピソードは、原作マンガ2話分でTVアニメ1本が製作されています。ちょうど前半Aパートで原作1話、後半Bパートで原作1話という感じでしょうか。

 これが長編となると、そのパターン通りにはいきません。これまででいうと「アウラ編」は原作マンガで14話から23話でしたが、TVアニメでは7話Bパートから11話Aパートでした。およそ原作10話でTVアニメ4話の計算です。

 現在放映中の「一級魔法使い試験編」の一次試験もTVアニメ18話から21話でしたが、原作マンガでは37話から45話と、短編の時よりも原作の消費が多くなっていました。連続ストーリーはテンポが重要ですから、どうしても原作の消費が激しくなるのでしょう。

 この流れだと「一級魔法使い試験編」は、原作で終了する60話までTVアニメ化して第1シーズン終了となりそうです。時期的にも3月末ですから間違いないでしょう。問題は一定期間を置いてから再開される第2シーズンでしょうか。

 どれくらいの期間を置いてから第2シーズンが始まるかは分かりませんが、仮に第1シーズンと同じく2クール放送する場合、50話以上の原作が必要となります。そうすると、仮に60話までを第1シーズンで消費するとして、第2シーズンは最低で110話までの原作が必要でしょう。

 ちょうどそこにかかる話数で見ると、原作マンガ107話から119話が長編となっています。前述の長編は、話数を消費する法則を当てはめればちょうどいいかもしれません。おそらくはここまでが第2シーズンになるでしょう。しかし、大きな問題がひとつあります。それは現在、原作マンガは124話までしかありません。原作ストックの枯渇問題です。

 さらなる問題として、『葬送のフリーレン』は基本的に毎週連載ですが、休載が多いことで知られる作品です。昨年2023年には13回しか連載されていません。もちろん作品のクオリティ維持は、優先すべき案件だと思います。原作マンガは無理せず連載を続けてもらって、TVアニメになるまで待つというスタンスがファンには必要なのでしょう。

 もっとも、打開策がないわけではありません。不定期配信されているミニアニメ『葬送のフリーレン ~●●の魔法~』のようなオリジナルアニメ作品。または公式スピンオフ作品である『厨房のフリーレン』や『勇者ヒンメルの冒険譚』といった別作者による作品の逆輸入アニメ化といった方法です。

 果たして作品の人気維持をどういう形で行うかは分かりませんが、原作マンガのTVアニメ化は思った以上に苦労が多いのは間違いないでしょう。

(加々美利治)

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