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2019年の締めくくりは、やはり『天気の子』? 令和元年のアニメを振り返る

マグミクス / 2019年12月31日 17時20分

2019年の締めくくりは、やはり『天気の子』? 令和元年のアニメを振り返る

■令和元年を締めくくるRADWIMPS

 平成31年から令和元年となった2019年も残すところあとわずか。12月31日(火)の19:15から始まる「第70回NHK紅白歌合戦」にはRADWIMPSが出演し、「天気の子 紅白スペシャル」を披露することになっています。

 興収140億円を超えるメガヒットとなった新海誠監督の劇場アニメ『天気の子』の主題歌「愛にできることはまだあるかい」だけでなく、女優の三浦透子も出演することから「グランドエスケープ」などの劇中歌も演奏するメドレー構成になりそうです。

 RADWIMPSが「紅白」初出演となった2016年は、やはり新海監督の『君の名は。』が興収250億円という記録的な大ヒットを飛ばした年でした。前回の「紅白」では、野田洋次郎が歌う「前前前世」に合わせて『君の名は。』の名シーンが流れ、会場を盛り上げました。今回も『天気の子』の世界観をステージ上で再現した演出が予想されます。

 広瀬すずが主演したNHK連続テレビ小説『なつぞら』の主人公は、黎明期の東映動画(現・東映アニメーション)で活躍した女性アニメーターの奥山玲子さんをモデルにしていただけに、今回の「紅白」では他にもアニメファン向けの企画があるかもしれません。「紅白」初出演となるアニソン歌手のLiSAにも注目です。

●『天気の子』に登場した廃ビル

『天気の子』に登場したビルのモデルとされる、代々木会館(解体済)。(画像:写真AC)

 2019年最大のヒット映画となった『天気の子』を皮切りに、この1年の話題を振り返ってみたいと思います。短編映画『ほしのこえ』(2002年)で商業デビューを果たした新海監督は一部の熱狂的ファンに支持されるアニメーション作家でしたが、前作『君の名は。』が世界興収で宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』(2001年)を上回り、日本を代表する人気監督となりました。3年ぶりの新作となった『天気の子』は、よりメジャー感のある作品となっています。

 田舎の実家を飛び出して上京してきた家出少年の帆高が、雨を降り止ませる不思議な力を持つ少女・陽菜と出会うという、とてもシンプルな「ボーイ・ミーツ・ガール」の物語です。子どもたちをめぐる貧困問題に触れる一方、新海監督は帆高と陽菜の目に映る東京の景観をとても鮮やかなものとして描いています。RADWIMPSの楽曲は、『君の名は。』よりもさらにフィットした形でドラマを盛り上げます。

 物語のクライマックス、陽菜と離ればなれになった帆高が下す決断には、賛否が割れました。新海監督の存在が、大きな社会的影響力を持つようになったことを感じさせます。7月に公開された映画の内容とシンクロするかのように、日本列島を集中豪雨や大型台風が次々と襲い、地球の温暖化による気象の変化が深刻化していることを感じさせる年にもなりました。

 個人的には『天気の子』で重要な役割を果たす、新宿近郊の廃ビルが印象に残りました。この廃ビルは、3月に亡くなった俳優・萩原健一さんが主演した往年の人気ドラマ『傷だらけの天使』(日本テレビ系)で主人公たちが自由を謳歌したペントハウスのあった建物です。廃ビルはすでに取り壊されて現在は更地となってしまいましたが、『天気の子』の中に最後の姿をとどめていたことは感慨深いものがありました。オリンピックの開催を2020年に控え、東京の景観は大きく変わりつつあります。

■人気アニメ作品のメモリアルイヤー

劇場アニメ『Gのレコンギスタ 行け!コアファイター』キービジュアル (C)創通・サンライズ

 2019年は『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)の放映から40年というメモリアルイヤーでもありました。NHK総合では『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』がオンエアされ、久々にテレビから流れる名曲「水の星へ愛をこめて」に涙したファンも少なくなかったのではないでしょうか。また各地で「富野由悠季の世界展」が開催されています。

 2014年にテレビ放映された富野由悠季監督の『ガンダム Gのレコンギスタ』(TBS系)は全5部作の劇場版として再編集され、第1部『Gのレコンギスタ 行け!コアファイター』が11月より公開されています。

 富野監督は劇場版『伝説巨神イデオン』(1982年)や同『機動戦士Ζガンダム A New Translation』(2005年~2006年)でも、テレビ版にはなかった新しいカットを大幅に取り入れ、ファンを驚かせました。今回の『行け!コアファイター』にも、衝撃的なシーンが盛り込まれています。Gセルフを操縦する主人公のベルリが、コクピット内で突然お腹をくだすのです。この非常事態をベルリはどう乗り切ったのでしょうか。

 第2部『GのレコンギスタII ベルリ撃進』は2020年2月21日(金)の公開となっており、ベルリの体調が無事に回復したのかどうかも気になるところです。

●テクノロジーの進化と遊び心

 12月には、『STAND BY ME ドラえもん』(2014年)をヒットさせた山崎貴監督による3Dアニメ『ルパン三世? THE FIRST』が公開されました。フィギュアのような可愛らしいキャラクターとなったルパン三世たちが、初代ルパンの遺志を受け継ぐ物語となっていました。宮崎駿監督の『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)が好きな人には充分に楽しめる作品でしょう。

 原作者のモンキー・パンチさんは完成作を見ることなく3月に亡くなっていますが、『ルパン三世』の3D化は長年希望していたものでした。石川五ェ門役でおなじみだった声優の井上真樹夫さんも11月に亡くなりました。テクノロジーの進化とともに、遊び心も含めた先人たちの先進性がしっかりと継承されていけば、それは素晴らしいことだと思います。

●事件の背景は「寛容さを失った社会」なのか?

 2019年のアニメの話題を振り返る上で、決して忘れることができないのは7月8日に起きた「京都アニメーション放火事件」です。アニメ制作会社「京都アニメーション」の社員69名が被害に遭い、36名もの方が亡くなるという、とても痛ましい事件でした。残されたスタッフやご遺族たちが負った心の傷の深さも、計り知れないものがあります。

 京都新聞(11月15日付)は、入院中の容疑者が治療にあたった医療スタッフらに対して、「人からこんなにも優しくしてもらえたことは、今までなかった」と感謝の言葉を伝えたことを報じました。容疑者の行動はあまりにも身勝手で、短絡的な凶悪犯罪であり、到底許されるものではありませんが、その背景にある社会の不寛容さも指摘され、さまざまな議論を呼んでいます。

 2019年も残すところ、あとわずか。みなさんにとって、新年がよりよき年になりますように。

(長野辰次)

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