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『シャーマンキングFLOWERS』麻倉花が内に秘める「闇鬼」の正体とは?

マグミクス / 2024年2月27日 21時50分

『シャーマンキングFLOWERS』麻倉花が内に秘める「闇鬼」の正体とは?

■麻倉花が持つ「鬼」は2種類あった

 みなさん、放送中のTVアニメ『SHAMAN KING FLOWERS』はご覧いただいているでしょうか? 早いもので、もう第8廻というところまで来ています。ここまでを観て強く感じることは、前回の記事でも触れた「わかりやすさ」もさることながら、かなり派手で熱いバトルもの、それでいてダークな内容になっているということでしょう。

 これは原作『FLOWERS』が持つ雰囲気そのままですが、アニメではマンガのコマとコマの間がていねいに補完されており、よりいっそう迫力があります。特に第5廻、ショッピングモールでの麻倉路菓(ルカ)との戦いや、第7廻での伊吹ガッコとのバトルは、麻倉花のなかに眠る正体不明の「鬼」が登場するということもあって、迫力だけでなく原作のダークさもより際立っています。

 ……というわけで、今回はその花のなかに眠る「鬼」について掘り下げてみましょう。

 花のなかに眠る鬼は、大別すると2種類あります。ひとつは彼がもともと秘めていた鬼、もうひとつは現シャーマンキングのハオから授かった鬼です。
 鬼をもともと秘めていたというのは、花の母親が「恐山(きょうやま)アンナ」であることに由来します。アンナは幼少期、自分でも制御できないほど強すぎるシャーマン能力が災いして心を閉ざしてしまい、日本三大霊場・恐山のふもとに住むイタコ・麻倉木乃に預けられます。

 そこを訪れた麻倉葉に少しずつ心を開きますが、その過程で自分の境遇に対する恨みつらみが一気に具現化し、鬼の形となって現れてしまいます。この鬼は葉によって倒され、その後アンナも自分のシャーマン能力を制御することができるようになるので、鬼はなりを潜めたように見えますが、能力が弱まったわけではなく、息子の花はそれをしっかり受け継いでいます。

 ショッピングモールで暴走した花が「鬼は外」と繰り返すたびに巨大化していった鬼たちは、当時、アンナが具現化した鬼の姿そのままです。

 この鬼の物語は、TVアニメ『SHAMAN KING』の30話~34話、原作コミックス(マガジンエッジKC)では19、20巻に収録されている「恐山ル・ヴォワール」編に収録されています。

 そしてもうひとつの鬼は、幼少期に命を落とした花を蘇生させる条件として、ハオが持たせたものです。花が死にかけた時の最終段階で現れますが、その巨大さ、姿の恐ろしさは他の鬼と比較にならず、それを見た麻倉葉羽(ヨハネ)は「闇鬼(やみおに)」と呼びました。

 しかし考えてみると、なぜハオは鬼を授けたのでしょう? 他のものではダメだったのでしょうか?

■答えは「平安時代」にあった?

麻倉花が最後に出した巨大な鬼「闇鬼」の原点は平安時代までさかのぼる。『シャーマンキングZERO』2巻(講談社)より

 ハオはもともと陰陽師(おんみょうじ)でもあるので、さまざまな霊だけでなく式神(しきがみ)も使役していました。しかしこれまで本編に登場した「鬼」といえば、超・占事略決(ちょう・せんじりゃっけつ)の封印を守護していた式神、前鬼・後鬼ぐらいです。ハオといえば思い浮かぶ「スピリット・オブ・ファイア」はパッチ族が持っていた炎の精霊ですし、マタムネは猫又……つまり猫の霊です。では「闇鬼」とはいったいどこから出てきたものでしょう?

 その答えを知るには、平安時代……陰陽師の麻倉葉王がまだ麻葉童子(マッパどうじ)と呼ばれていた幼少期までさかのぼることになります。

 乙破千代(おはちよ)という鬼と出会いシャーマン能力を開花させた童子は、乙破千代と別れたあと、後に「ダイダラボッチ」と呼ばれる鬼を相手に「鬼の力比べ」をします。ここで言う「鬼」とは「世の中の恨みが集まった存在」のことで、童子は内に秘めた鬼を全て流し込み勝利、これによりダイダラボッチはハオの式神的な存在となりました。闇鬼の姿は、このダイダラボッチそのものです。

 式神「的」とか、「持霊」ではなく「式神」というのにも理由がありますが、このあたりはコミックス『シャーマンキングZERO』2巻(講談社)に収録の「麻葉童子II」をぜひご覧ください。なおその前作は「SHAMAN KING」27巻に収録されています。どちらもアニメ化はされていないのですが、映像になったら迫力満点だろうと思います。

 さて、アニメ第6廻によると、この闇鬼はまだ未完成で、完成型は「イケオニ」というものらしく、そうなるとアルミはおろかハオですら手に負えない存在になるとのことでした。しかしそうなってもらわないとフラワー・オブ・メイズで勝つことはできないようで、この矛盾をどのように解決するのかが大きな鍵になりそうです。

「イケオニ」とは「生ける鬼」とも書けますし、シャーマンの力は巫力よりむしろ心で決まるということから想像すると、ハオが目指すところは「花が鬼の力を制御できるほど強い心を持った人間になる」ことなのかもしれませんね。だから今の花は、強がっていても実はメンタルが弱いかのように描かれているのかもしれません。

 今回は、麻倉花のなかに潜む2種類の「鬼」についてご説明しました。ところで、アルミは「イタコのアンナ」として三代目だといわれています。二代目は花の母親のことですが、では初代は誰かご存じでしたか? ぜひ想像してみてください!

 それでは今回はこの辺で!
 次回もよろしくお願いします!

(タシロハヤト)

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