えっ、年齢制限かけないの!? 子供たちをギョッとさせたトラウマアニメ3選
マグミクス / 2024年3月3日 16時55分
■一歩間違えれば放送事故だった?
「キッズステーション」といえば、CS放送のこども・アニメ専門チャンネルであり、『ドラえもん』や『それいけ!アンパンマン』といったキッズ向け番組が日々放送されています。しかし過去には子供どころか、大人でも戦慄してしまうような衝撃作が放送されたこともありました。なかでも衝撃が大きかったと思われる3つの作品を取り上げました。
●ブラックユーモアがすぎるCGアニメ『ポピーザぱフォーマー』
『ポピーザぱフォーマー』は、2000年にキッズステーションで放送された短編CGアニメーションです。キッズステーション発ということは、本来子供向けに作られた作品のはずなのですが、その内容はブラックジョークと微グロ描写のオンパレードでした。
ジャンルとしては「サイレントギャグ」で、うさぎの被り物をしたクラウン見習いのポピーと、助手のケダモノが巻き起こすドタバタ劇が主に描かれています。衝撃的な回として有名なのは、第11話「飲み込み芸/SWALLOWER」でしょう。ポピーが誤って長剣を飲み込んで串刺しになり、それを抜こうとケダモノがあれこれ奮闘するのですが、かえって悲惨な目に遭ってしまいます。トラックに引きずりまわされ、あちこちに衝突したポピーは顔面血だらけ……。にもかかわらず、なぜかうっすらと笑みを浮かべているポピーの姿は、一度観たら忘れられません。
同エピソードは一度キッズステーションで放送されたものの、諸事情により放送禁止となってしまいました。ちなみに『ポピーザぱフォーマー』にはもうひとついわくつきの回があり、第27話「ナイフゲーム/KNIFE GAME」は子供がナイフの使い方を真似してしまうとの理由からお蔵入りになったそうです。ただこの話に関しては、ナイフ云々(うんぬん)というより、カエルが切り刻まれるシーンのほうが衝撃的かもしれません。
●TV放送禁止となった幻の名作も……『ガラクタ通りのステイン』
『ポピーザぱフォーマー』の増田龍治監督が手がけた作品でいえばもうひとつ、2002年より放送されたCGアニメ『ガラクタ通りのステイン』にも注目したいところです。主人公のステインが拾ったゴミから毎回思わぬ騒動に発展する作品となっており、初期の頃はブラックユーモアたっぷりのシナリオでした。
劇中には大人でも戦慄するような描写が含まれているのですが、TV放送禁止となった第4話「極楽鳥」は残酷……とはまた少し違った衝撃回といえるでしょう。同エピソードでは南国からやってきたという極楽鳥と、それを食べようとするステインのドタバタ劇が繰り広げられていきます。
物語の前半までは楽しそうな雰囲気でしたが、作中の季節が冬になると一変、極楽鳥は寒さに耐えきれなくなり、そのまま死んでしまうのです。ステインはこれを悲しみ、弔いの意味をこめて極楽鳥の亡骸を骨も残さず食べます。作中には極楽鳥の首や足を切断する描写も見られるため、命の大切さを考えさせられる名エピソードでした。ただ、子供からするとかなりショッキングな光景だったことでしょう。
■なぜこんなトラウマアニメを……
画像は、「OP詐欺」としても有名なアニメ『なるたる』DVD1巻(ケンメディア)
●キッズステーションで放送された意味が分からない『なるたる』
鬼頭莫宏先生が「月刊アフタヌーン」で発表した『なるたる』は、トラウマとなるような描写が多く、一部では「鬱マンガ」として有名です。しかし同作のアニメ版は、驚くべきことにキッズステーションで最初に放映されました。
物語は、小学6年生の玉依シイナと、マスコットのような見た目の生物「ホシ丸」の出会いから展開していきます。一見ハートフルなひと夏の冒険を描いた作品のように見えますが、その先に待ち受けているのは真逆の展開でした。宇宙の存亡をかけた戦いのなか、虫を無理やり食べさせるような陰湿なイジメ描写や残虐な復讐劇などが繰り広げられるのです。ネット上でもいまだに「なるたる、なぜキッズステーションだったの?」「キッズステーションは絶対にダメでしょ(笑)」「今考えても狂気だわ」などと語り草になっています。
そもそもオープニングがライトな曲調のうえ、クレヨンのようなほのぼのとした絵柄で描かれているため、初見は誰もがその雰囲気にだまされてしまうかもしれません。しかし物語を最後まで視聴したあとで改めて見てみると、オープニング映像の至るところに不穏な要素が見え隠れしていることが分かるでしょう。
ちなみに同作はTBS系列でも放送されましたが、残酷なシーンはカットされており、キッズステーションで放送されたほうが「完全版」となっています。
『ポピーザぱフォーマー』『ガラクタ通りのステイン』『なるたる』は、いずれも見る人を戦慄させるような描写がてんこ盛りですが、内容としては名作ぞろいです。ある意味子供たちの感性を磨き上げるためにはうってつけの作品だったのかもしれません。
(ハララ書房)
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