「流血以上にきつい場面が…」「原作の解像度上がる」 衝撃の「R指定」実写化映画
マグミクス / 2024年3月3日 21時55分
■思春期真っ只中の主人公たちのベッドシーンはどう描かれるのか?
暴力シーンや性描写、重い展開など、さまざまな理由で映倫からR指定にされる映画のなかには、マンガの実写化作品もあります。そもそも過激だった原作をどのように映像化したのか、衝撃的な内容かつ原作の再現度が高く話題になった作品を見てみましょう。
●『うみべの女の子』(R15+)
2021年公開の映画『うみべの女の子』は2009年より「マンガ・エロティクス・エフ」で連載が開始された、浅野いにお先生による同名マンガが原作です。
同作は思いを寄せる先輩にフラれた佐藤小梅と、彼女に思いを寄せ身体の関係を持つ磯部恵介の、繊細で残酷な「恋」と「性」を題材とした青春群像劇です。関係を続けるうちに磯部への思いを募らせていく小梅と、徐々に心が離れていく磯部のすれ違っていくふたりの姿も胸が苦しくなるほど生々しく描かれています。
タイトル通り海辺の雰囲気も相まった叙情的な作品ですが、ストーリーの核が「性描写」であり、設定上は中学生同士でのベッドシーンが描かれるため、発表時は実写化を不安視する声もありました。
主人公の小梅役と磯辺役は原作者の浅野先生も参加したオーディションにより、それぞれ石川瑠華さん(撮影当時22歳)と青木柚さん(当時19歳)の若手演技派のふたりが選出されます。
心配されていた性描写は、石川さんと青木さんのまさに身体を張った大胆な演技で、原作どおりのベッドシーンがリアルに再現されました。また、登場人物がそれぞれ抱える心の闇や思春期ならではの不安定な心理描写も、実力派のキャスト陣により丁寧に表現され、高い評価を得ています。
ネット上では、「映画を見たほうが原作の解像度も上がった」「ちゃんと中学生のように見える役者さんの演技力がすごい」などといわれていました。実際に石川さんは「シネマライフ」のインタビューで「中学生っぽい服を買って、撮影の前の期間に着ていたりしました」と述べており、役作りへの高い意識もうかがえます。
●『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(R15+)
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は花沢健吾先生による同名マンガが原作で、2010年に実写映画化、2012年にTVドラマ化されています。
同作の主人公は、人生が上手くいかず、鬱窟とした日々を送る営業マンの田西敏行です。好きな女性の妄想に浸り、テレクラで誕生日を迎える「等身大のダメ男」である田西が、仕事や恋愛、ボクシングを通し成長していく物語でした。
田西が思いを寄せる同僚の植村ちはるが、ライバル会社の営業マンの青山に奪われるNTR展開や、青山が妊娠したちはるを捨て、結果彼女が中絶することになるなどの胸糞展開も印象的です。同作の実写映画化が発表された際、原作の田西のリアルなダメ男加減を再現すると「相当キモくなるのではないか?」と心配するファンもいました。
映画本編を見ると、田西役の峯田和伸さんのダメ男を体現したような見た目や行動の痛々しさが際立ちます。またちはる役を演じた黒川芽以さんの親しみやすさや、かわいさ、そして「悪女ヒロイン」ともいわれるズルさもあるちはるを、忠実に表現する演技力が話題となりました。
峯田さんは公開時「シネマカフェ」のインタビューにて、田西を演じるにあたり原作のキャラを意識せず、その場の空気感を大切にしていたことを語っています。
ネット上では、「峯田さんの演じる主人公が本当にダサいのにその倍かっこよくて最高だった」「泥臭くて報われない感じがよかった」など、キャラの魅力が原作に忠実に再現されたことで高い評価を得ていました。
峯田さんが「等身大のダメ男」を演じ切ったからこそ、不器用ながら真っすぐな男の田西が魅力的なキャラとなり、観客の心をつかんだのでしょう。また、最初は田西に協力してくれる悪役の青山を演じた松田龍平さんの演技も、「かっこよさとクズさ両方完璧に表現してた」「マジでむかつく」「嫌だけど自分がヒロインなら青山になびく気がしちゃうくらいのバランス」と絶賛されています。
■キャストの体当たり演技がすごい
●『宮本から君へ』(R15+)
熱血営業マンを全力で演じた池松壮亮さんが描かれた『宮本から君へ』ポスタービジュアル (C)2019「宮本から君へ」製作委員会
『宮本から君へ』は新井英樹先生による同名マンガが原作で、1990年に「モーニング」(講談社)で連載が開始され、第38回小学館漫画賞を受賞した作品です。
同作は、愛する女性のため一世一代の勝負に挑む熱血営業マンの宮本浩が、仕事や恋愛に悪戦苦闘しながら、暑苦しくも切ない生きざまを見せる物語でした。同作は宮本の恋人の中野靖子が屈辱的な性暴力を受けるシーンやその他バイオレントな描写が多々あるため、実写化が困難と思われていましたが、2018年にテレビドラマ化、2019年には実写映画が公開されます。
物語終盤が映像化された実写映画は過激な性暴力シーンや、階段での血まみれの喧嘩など衝撃的な場面が多く、鑑賞するには覚悟が必要な作品かもしれません。例の性暴力シーンは、靖子を演じた蒼井優さんの表情や取り乱した態度もリアルで、一部の観客から「耐えがたい」といわれるほど生々しいものでした。
しかし、主人公の宮本を演じた池松壮亮さんや蒼井優さんら俳優陣の演技で、過激なシーンもありながら愛する女性のために宮本が奮闘する様子など、感動的なストーリーを高く評価する意見も多く見られます。主演ふたり以外では、靖子を暴行する卑劣なラガーマンの真淵拓馬役を演じるために、30kg以上増量して撮影に臨んだ一ノ瀬ワタルさんの鬼気迫る悪役演技も衝撃的でした。
ネット上では「演出や撮り方から役者の力に圧倒された」「キャストの体当たり演技で見てるこっちも熱い気持ちにさせられた」「非常階段でのバトルからのラストまでの流れで泣いた」などと原作のハードな展開や、目を覆いたくなる生々しい部分を妥協なく再現した制作陣とキャスト陣への賛辞の声が上がっています。
(LUIS FIELD)
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