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クライマックスで「師匠を撃破」フェルンの成長 アニメ2クールでのフリーレンの変化とは?

マグミクス / 2024年3月21日 21時45分

クライマックスで「師匠を撃破」フェルンの成長 アニメ2クールでのフリーレンの変化とは?

■「私、フリーレン様を殺せるかもしれません」

 2クールにわたって放送されたTVアニメ『葬送のフリーレン』も、間もなくフィナーレを迎えようとしています。フェルンがフリーレンのコピーを倒して成長を示し、ひとつの区切りを迎えるのは理想的な展開といえます。そしてフリーレンもまた、フェルンやシュタルクと共に成長しています。彼女たちの歩みを振り返ります。

「もしかしたら私、フリーレン様を殺せるかもしれません」

『葬送のフリーレン』第24話「完璧な複製体」は、フェルンが口にした衝撃のひと言で幕を下ろしました。特に悲壮な覚悟もなく、淡々とした口調で、1000年生きた大魔法使いであるフリーレンの複製を倒せると言い出したフェルンに対し、フリーレンも特に驚くことはなく笑顔で「じゃあ、作戦を立てようか」と答えています。初登場の時点ではまだ小さな女の子だったフェルンが、すでに自分を倒す力を秘めた魔法使いであることに、フリーレンは何の疑いも持っていないことを示すシーンです。

 類まれなる才能を持ち、一般攻撃魔法を圧倒的な速さで連射し、手数で圧倒して強敵たちを打ち破ってきた、フェルンの魔法使いとしての成長速度は驚くべきものがあります。もちろんフェルンの成長とはそれだけではなく、「空が半分しか見えない」レベルの肉体的成長に加え、シュタルクとの不器用なやり取りや、フリーレンの日常生活の世話まで含めた人間的成長も見逃せません。

『葬送のフリーレン』は魔王が倒され、勇者ヒンメルが死んだ後の世界を描いているため、「魂の眠る地(オレオール)」を目指すという目的はあるものの、あくまで中心的に描かれているのはその道中での出来事という作品です。そのためか「登場人物の成長」がストーリーを楽しむ上で重要なポジションを占めています。

 フェルンが魔法で一枚岩を射抜き、シュタルクが巨大な竜を一撃で倒し、共に強大な魔族に打ち勝ち、ダンスを踊る。魅力的なシーンの多くが、「成長」を示すエピソードであることも、『葬送のフリーレン』の大きな特徴といえるでしょう。

■1000年生きたフリーレンも成長している

TVアニメ『葬送のフリーレン』第14話「若者の特権」より、フリーレンとヒンメルの回想シーン (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

 もちろん、成長しているのはフェルンとシュタルクだけではありません。フリーレンも、ストーリーの最序盤でヒンメルの死を経て、自分が彼について「人の命は短いから」と知ろうとしなかったことを後悔して涙を流しており、それまで過ごしてきた時間のなかでは得られなかった大きな経験を積んでいます。『葬送のフリーレン』のなかに存在するゆるやかなストーリーの軸のひとつが、ヒンメルの死をきっかけに人を知ろうとする「フリーレンの成長」にあることも間違いないのでしょう。

 その後もフェルンの面倒を見たことにより、多少の子育てと魔法の師匠としての経験を積んでいます。もっとも前者についてはすでに逆転しており、むしろフェルンが世話の経験を積んでしまっている状態なのは面白いポイントです。

 おそらく一緒に冒険している間にはまったく気付かなかった、ヒンメルがフリーレンに向ける想いに少しずつ気付いていくのも重要なポイントです。

 特に第14話「若者の特権」では、フェルンとシュタルクの関係が深まるストーリーが描写された上で、フリーレンがヒンメルの行動の意味に気付いたのではないか? と思わされる展開が描かれました。この話ではシュタルクがフェルンに「久遠の愛情」の花言葉を持つ鏡蓮華(かがみれんげ)の意匠入りのブレスレットを贈りました。実はフリーレンも、かつて同じ意匠の指輪をヒンメルから送られていたのです。

 しかもモンスターの襲撃を受けた際に指輪を落としてしまったのですが、宝箱漁り以外あまり物事にこだわらないフリーレンが、その指輪に関しては頑張って探すという行動に出たのです。その後の回想シーンでは、フリーレンがヒンメルから指輪を受け取ったシーンが描かれていました。ひざをついてフリーレンの左手の薬指に指輪を通すシーンは、はたから見れば完全にプロポーズでした。

 受け取った時のフリーレンは、ヒンメルの気持ちにまったく気付いていなかったでしょうが、花言葉の意味を知り、ヒンメルの行動の意味を多少なり感じ取ったのでしょう。

 TVアニメは2024年3月でいったんの終わりを迎えますが、原作ではすでにその後の展開も描かれています。再びのアニメ化がいつになるのかは分かりませんが、いずれまた、フリーレンたちがさらなる成長を遂げる物語に出会えるかもしれません。そのときを楽しみに待ちたいと思います。

(早川清一朗)

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