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洗練されたデザインの名機「ガンダムF91」 富野監督が「もっと個性を」とこだわったポイントとは?

マグミクス / 2024年3月5日 6時10分

洗練されたデザインの名機「ガンダムF91」 富野監督が「もっと個性を」とこだわったポイントとは?

■「F91」は「F90」だった?

 今も高い人気を持つ『機動戦士ガンダムF91』。そのタイトル通り、1991年に公開された『ガンダム』シリーズの劇場作品です。

 作品のエンディングで流れる森口博子の「ETERNALWIND~ほほえみは光る風の中~』は、当時はまだアニソンが登場することが珍しかった年末の「NHK紅白歌合戦」でも歌われ、これは『ガンダム』シリーズでも初の出来事でもありました。また、アニメ好きの女性の間では、カラオケのレパートリーにしている人も多い名曲です。

 そんな『F91』の主役モビルスーツ「ガンダムF91」ですが、その成立のエピソードはなかなか興味深いものです。

 TVシリーズをまとめた劇場用『ガンダム』三部作からおよそ10年、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でアムロとシャアの因縁にケリを付けた富野監督から、新たなガンダムのTVシリーズとしての構想案が提出されます。

 しかし、TVシリーズを成立させるのは予算等含め大変なことです。そこで、まずは劇場用として作ってみようという話になり、構想案の冒頭、プロローグとして書かれていた部分を原案としてまとめられたのが『F91』です。

 劇場用ということで、キャラクターには『機動戦士ガンダム』の作画ディレクター安彦良和さん、メカデザイナーには大河原邦男さんが指名されます。その大河原さんから最初に提出されたのが、実は後に「F90」となるデザインでした。

 しかし、それまでのガンダムのイメージから離れ、もっとインパクトのある個性ポイントを持ったデザインに変えたいとの監督の希望で、新たにデザインされたのが胸に大きなエアインテイクがついた「F91」だったのです。

 この時代、すでにモビルスーツはガンプラとも直結しており、当然F91はプラモデル化されますが、劇場の映画は上映期間が限られていて、注目を集めている期間も短いため、どうしても売り上げにも関係します。そこで生まれたプランというのが、ファンの方はよくご存じの、最初に提出されて採用を見なかったデザインを活かし、『F91』のサイドストーリーとして立ち上げた『F90』というわけです。

 実際のデザイン経緯と、物語(設定世界)の経緯は決して同じではありません。しかし商業的な流れは本来外に出るようなものではないですし、なにより作品世界を楽しんでいただくのがエンターテイメントの役割です。

 総合的なプランニングによって、この『F91』の世界は後に続くMSVなどにも繋がっていくのですが、それまでの、アムロとシャアの因縁とは全く切り離された新たな物語として人々の心をとらえた『F91』は、ガンダム世界のなかでも大切な作品です。

 そして、モビルスーツガンダムの「F91」も、今もたくさんのファンに愛されている名機であることに疑いはありません。

【著者プロフィール】
風間洋(河原よしえ)
1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規スタッフとして『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。

(風間洋(河原よしえ))

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