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『Zガンダム』なぜブライトはスペースシャトルの船長という閑職についていたのか?

マグミクス / 2024年3月15日 6時10分

『Zガンダム』なぜブライトはスペースシャトルの船長という閑職についていたのか?

■幽閉もされず抜擢もされない一年戦争の英雄

「ブライト・ノア」は、アニメ『機動戦士ガンダム』において、強襲揚陸艦(劇中セリフでは新型戦艦)「ホワイトベース」の艦長として、地球連邦軍に貢献をした人物です。

「ホワイトベース」は護衛もないまま単艦運用をされることが多く、囮艦のような使われ方もされた一方、ジオン公国を支配するザビ家の「ガルマ」を巧みな戦術で戦死に追い込むなど、ブライトの戦術指揮により目覚ましい戦果を挙げました。

 そうしたブライトですが、一年戦争後には、地球とスペースコロニーを往復している小型スペースシャトル「テンプテーション」の船長になります。ブライト自身は一年戦争の英雄として知名度も高く、続編『機動戦士Zガンダム』では主人公の「カミーユ」がサインをもらいに宇宙港まで行くような人気者でもあるのに、なぜ、ブライトは小型シャトルの船長という「閑職」に回されているのでしょうか。

 ブライトがそのような任務についている理由は「ニュータイプの存在を恐れた地球連邦の上層部の意向で左遷された」という設定があります。

 筆者はこの説明にやや不思議さを覚えます。ブライトは「ニュータイプ部隊」と呼ばれた「ホワイトベース」の艦長ですから、上層部がニュータイプを危険視しているのであれば、「アムロ」のように「監視付きで幽閉」されてもおかしくはありません。

「ニュータイプ能力」自体は、地球連邦には強化人間などを作れる技術があり、ある程度、測定できるため、オールドタイプであるブライトは脅威にならないと判定されたのでしょうか(カツの戦死時に声を聞くなど、ブライトがそのような能力を全く持っていないわけではないのですが)。

「ブライトはオールドタイプなので無害」と考えられるなら、知名度が高く、有能な彼をジオン狩り部隊であるティターンズに招くという流れも考えられるはずです。しかし、実際にはそのようなことがないどころか、階級が下である「ティターンズ」の軍人に殴られる屈辱まで味わっています。

■家族構成も関係アリ…?

『Z』ではシャア(クワトロ)とも共闘した。「ノア家のアルバム」より (C)創通・サンライズ

 KADOKAWAの雑誌「月刊ガンダムエース」にて連載中のマンガ『機動戦士Zガンダム Define』(著:北爪宏幸/原案:矢立肇、富野由悠季)では、ブライトがティターンズへの抜擢を断り、その方針に異を唱えたことで、階級も降格され、左遷されているという流れが描かれました。

 この作品は独自設定も見られるため、公式かどうかはわからないものの、『Z』におけるティターンズのブライトに対する扱いを考えるに、そのようなことがあっても不思議はないでしょう。「エゥーゴ」に入ってから、ブライトの階級は中佐から大佐になっていますので、降格された分が元に戻されたのかもしれません。

 さておき、ブライトが「幽閉」されず閑職についている理由は、妻の「ミライ」が「ヤシマ財閥」の令嬢であることが関係していると思われます。ヤシマ財閥は角川コミックス・エース『データガンダム キャラクター列伝 〔宇宙世紀編 I〕』(著:岡崎昭行/画:美樹本晴彦/編:ガンダムエース/2010年)によると、ミライの祖父が運営する「ヤシマ重工」も傘下企業としています。ここはマゼラン級戦艦や「陸戦型ガンダム」の実弾兵装などを手がけていますから、軍に影響力があるのでしょう。

 その娘婿であるブライトを「幽閉」などしたら、ヤシマ財閥を敵に回すことになります。かといって、ブライトがニュータイプを糾合して反乱を起こすことも避けたいため、ほぼ非武装(『Z』第10話から武装化されますが)の「テンプテーション」船長としているのでしょう。ちなみに、巨大財閥「ヤシマ産業」はサイド7のコロニー建設を受注し、同サイドへの宇宙貨客船も運行しているので、ヤシマ家のコネで起用されている可能性もあります。

 なおティターンズは、『機動戦士Zガンダム Define』によれば、核爆弾を仕掛けた「ジャブロー」基地から脱出した地球連邦軍将兵を、口封じのために殺害する組織です。地球連邦政府議員でもあるブレックスを暗殺するような組織でもあります。

 ブライトの左遷先が戦闘艦艇ではなく、非武装のシャトルであるのは「事故死に見せかけて、いつでも消せる」ようにするためでしょう。

 なお、反地球連邦組織であるエゥーゴや「カラバ」には、「ハヤト」や「カイ」といった旧ホワイトベースクルーが参加していました。もしブライトがエゥーゴに入らなければ、危険分子と見られて、事故死という形で消されていたかもしれません(実際、エゥーゴに入ったことで、妻子が人質に取られそうになる描写もされています)。

(安藤昌季)

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