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故・上原正三氏が手掛けた『秘密戦隊ゴレンジャー』 「正義と悪」を子供たちに示す

マグミクス / 2020年1月10日 18時10分

故・上原正三氏が手掛けた『秘密戦隊ゴレンジャー』 「正義と悪」を子供たちに示す

■上原正三氏が手掛けた、多数の特撮作品

 1975年から1977年にかけて放送された特撮テレビドラマ『秘密戦隊ゴレンジャー』は、現代まで続く東映戦隊シリーズの第一作であり、2020年1月2日(木)に亡くなった脚本家の上原正三氏の代表作のひとつでもありました。幼い頃から多数の上原作品に親しんできたライターの早川清一朗さんが、『秘密戦隊ゴレンジャー』への愛と上原氏への弔意をつづります。

* * *

 2020年1月2日、偉大なひとりの脚本家がその生涯を終えました。

 その名は上原正三氏。『秘密戦隊ゴレンジャー』『がんばれ!!ロボコン』『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』『イナズマンF』『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』『宇宙刑事シャイダー』など、数多くの特撮番組に携わった、かけがえのない人でした。

 筆者が脚本家という存在を意識したのは大人になってからですが、改めて上原氏の足跡をたどってみると、幼い頃から自分がどれだけ多くの上原作品を見てきたのか驚かされます。筆者に正義と悪を教えてくれたのは、間違いなく上原氏です。上原氏が書き上げた脚本は、人が人として生きるための大事な価値観として私のなかに息づいているのでしょう。

 上原氏が担当した作品は膨大で、印象深い作品は数多くありますが、今回はその中でも筆者の最も古い記憶のひとつである、1975年から1977年にかけて放送された『秘密戦隊ゴレンジャー』を取り上げようと思います。

 最近の戦隊は人数がだいぶ増えることもありますが、基本フォーマットである「メンバーは5人」「主人公たちは色違いの戦士に変身し怪人と戦う」「怪人と戦い必殺技で勝利する」という要素はこの作品で確立されました。巨大ロボットについては本作では登場せず、スーパー戦隊シリーズ第三作『バトルフィーバーJ』が初登場となります。

とはいえ当時の子供たちを楽しませるため、メカは豊富に存在していました。 ゴレンジャーのメンバーが腕に付けている通信機は、スマホが当たり前に存在する現代ではなんてことのないアイテムに見えますが、当時の子供たちにとっては憧れの品でした。ゴレンジャーに限ったことではありませんが、何か適当な物を通信機に見立て、子供同士で通信ごっこをして遊んだ記憶がある方も多いのではないでしょうか。筆者もその内のひとりです。

 それにゴレンジャーが乗るバイク! アカレンジャーだけが専用バイクに乗っており、アオレンジャーとキレンジャー、ミドレンジャーとモモレンジャーはそれぞれコンビを組んでサイドカーに乗り疾走するあの格好良さは、忘れようもありません。空飛ぶ戦艦バリブルーン、バリドリーンの雄姿とその最後も、記憶に強く刻み込まれています。

■上原正三氏が命を吹き込んだ『ゴレンジャー』

モモレンジャーと小牧りささん、ミドレンジャーが写る、『秘密戦隊ゴレンジャー』Blu-ray BOX 4(東映)

 しかし何より魅力的だったのは、ゴレンジャーたち5人の戦士ひとりひとりのインパクトでしょう。

アカレンジャー、海城剛を務めあげたのは誠直也さん。特撮番組としては既に『ファイヤーマン』で主役を務めた実績もあり、その風貌はド迫力そのもの。カッコいいというよりも強そうな雰囲気をバリバリに出していましたが、実際に当時は「芸能界けんか最強」とも言われていたそうです。多くのテレビ、映画にも出演しており、2012年には『海賊戦隊ゴーカイジャー』の最終回にアカレンジャー/ 海城剛役として出演し、元気な顔を見せてくれました。

 アオレンジャーを演じたのは宮内洋さん。多数の特撮作品に出演しており、日本の特撮を語るときは絶対に外せない人物です。ゴレンジャーでは当初は二番手役としてのアオの配役が不満で断ろうとしていたそうですが、プロデューサーが「アカが宮本武蔵ならアオは佐々木小次郎だ」と語り口説き落としたそうです。

 そしてゴレンジャーと言えば忘れてはならないのが、キレンジャーです。初代は畠山麦さん、二代目はだるま二郎さんが演じています。キレンジャーと言えばカレー。カレーと言えばキレンジャーと言うくらいにカレーを食べるシーンのインパクトが強いキャラで、ゴレンジャーを見た後、母親に「カレーが食べたい」とねだった記憶があります。しかし残念ながら畠山さんはその後、テレビドラマ『特捜最前線』の撮影中に自殺してしまいます。その時はアカレンジャー役の誠さんも撮影に参加しており、突然の訃報に大きなショックを受けたことを後に明かしています。

 唯一の女戦士、モモレンジャーは小牧りささん。その太ももから繰り出されるキックは世の少年をとりこにしました。ちなみについさっきまで「ピンクレンジャーじゃなくてモモレンジャーにしたのは、モモの方が語呂がいいからかな?」と思っておりましたが、小牧さんの太ももから名付けられたとたった今知りました。はい。気持ちはよく分かります。

ゴレンジャーチームの弟分、ミドレンジャーを演じたのは伊藤幸雄さん。やたらなぞなぞを出してくる印象が強いキャラクターで、ゴレンジャーの空気にコミカルさを加えるために一役買っていました。 なぜか戦闘中によくやられていたような記憶もありますが、ダメージ担当だったのでしょうか。

 この5人の戦士が時にシリアスに、時にコミカルに戦い抜いた2年間は、筆者のみならず、多くのファンの心に刻み込まれています。全84話のうち、上原氏が担当したのは実に51話分にのぼります。ゴレンジャーの魂とも言える上原氏に、今この場を借り、お礼を言いたいと思います。

 面白い作品をたくさんたくさん作ってくださって、本当にありがとうございました!

(早川清一朗)

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