「タイトル嘘は反則」「何を信じたらいいの」 1話から度肝抜かれたアニメ3選

■タイトルすらフェイクだったアニメとは？

　アニメを新たに見始める際、物語の導入はかなり重要で、それ次第で続きを見るか決める人も多いでしょう。今回は、第1話の予想外な展開によって視聴者をのめり込ませたアニメを紹介します。

●『ハイスクール・フリート』

　2016年よりオリジナルTVアニメとして放送された『ハイスクール・フリート』は、国土水没によって海上大国となった日本で、憧れの職業である海上保安の戦艦隊員「ブルーマーメイド」を目指す女子高生たちの物語です。

　主人公の岬明乃（みさき あけの）たちは海洋学校へ入学後、教育用戦艦「晴風（はれかぜ）」で海洋実習へ出ますが、ほのぼのとした航海から一変、突如として危機に見舞われます。

　教官の乗る戦艦「さるしま」から突然砲撃を受けるも、明乃の判断で演習用の砲弾で応戦し、なんとかその場を切り抜けました。しかし、教官により「晴風」が反乱を起こしたと誤報を流され、彼女らは反乱者として追われる身になるのです。

　当初『はいふり』というタイトルで「ゆるふわ」系の物語だと思われていた同作ですが、第1話のラストで『ハイスクール・フリート』のロゴが表示され、物語の真のタイトルが明らかになります(Fleetは「艦隊」の意味)。

　第1話の放送終了後の夜中に、秋葉原の広告が真のタイトルバージョンに差し替えられるなど、企画段階から緻密な構想が練られていたことがうかがえます。

●『がっこうぐらし！』

『がっこうぐらし！』は、原作：海法紀光先生（ニトロプラス）と作画：千葉サドル先生により2012年から2019年まで「まんがタイムきらり」（芳文社）にて連載されたマンガが原作のアニメです。

　アニメ版の第1話の前半では、主人公・丈槍由紀（たけや ゆき）をはじめとする女子高生たちのほのぼのとした学園生活が描かれます。ところどころ、学校内で机のバリケードが作られていたり、食事をするシーンでカンパンを食べていたり、ゆきとともに行動する恵飛沢胡桃（えびすざわ くるみ）がシャベルを担いでいたりと、不自然な点が描かれているのですが、終盤で一気に伏線が回収されて物語はひっくり返ります。

　第1話の前半は、ゆき視点で幻想の学園生活が描かれており、終盤で友人目線に切り替わりました。ゆきのいる教室内には割れた窓ガラスや血塗られた机が浮かび上がり、廊下や校庭にはゾンビが徘徊しているのです。

　物語の真の舞台は、ゾンビ化するウィルスによって人類のほとんどが滅亡してしまうパンデミックが起こった後の世界でした。

　こちらも放送前は徹底してゾンビものであることを隠した宣伝がされており、日常系のゆるさからの急展開に今でも「1話で衝撃を受けた以来どハマりした神アニメ」と声が上がるなど、のめり込んでしまった人が多い作品です。

●『喰霊 -零-（がれい ぜろ）』

『喰霊 -零-』は、2005年から2010年に「月刊少年エース」（KADOKAWA）にて連載されたマンガ『喰霊』（作：瀬川はじめ）の前日譚を描いたアニメです。

　同作は、怨霊による災害や事故が日常となった世界で、防衛省超自然災害対策本部特殊戦術隊第四課（通称：特戦四課）の観世トオル（かんぜ とおる）を中心に物語が展開されていく「はず」でした。しかし、悪霊たちと戦う最中、第1話の終盤でメンバー全員が殺されてしまいます。

　実は本作は2話目で登場するふたりが本当のメインキャラであり、第3話目以降で1話、2話につながる過去の物語が描かれます。姉妹のように仲が良かったふたりの主人公、土宮神楽（つちみや かぐら）と諌山黄泉（いさやま よみ）が、退魔師として悪霊を退治していく様子が描かれますが、次第に運命の歯車が狂わされていくことになりました。

　放送前のプロモーションでは、特戦四課がメインと思わせる声優の座談会が公式HPにも公開されるなどの仕かけが施されており、視聴者を驚かせました。

　このフェイク演出は「当時完全に騙された！」などと、アニメ化から10年以上経過する今でも衝撃のアニメとして語られています。

（LUIS FIELD）