実は「海外でバカ売れ」ジャンプマンガ 「怪獣」「忍者」意外にも大ウケの要素が?
マグミクス / 2024年3月25日 17時10分
■海外マンガ市場はまだまだ発展の余地あり?
日本のアニメやマンガは世界中に広がり、今や翻訳された連載がリアルタイムで公開されているほどです。なかには、日本国内でももちろん人気だが、海外での熱狂ぶりが強烈……という意外なジャンプ作品があります。
●アメコミのオマージュが光る!
最初に紹介したいのが「ヒロアカ」こと『僕のヒーローアカデミア』です。人口の8割が「個性」と呼ばれる超能力に目覚めた世界のなか、「無個性」の主人公デクが努力と根性で成長していくジャンプの王道展開が魅力です。ヒーロー、ヴィラン(悪役)、サイドキック(相棒)など、アメコミで使われている言葉が効果的に取り入れられているため、アメコミのマーベル・コミックスやDCコミックスに親しんでいる海外読者にとっても馴染みやすい世界観だと思われます。
日本のSNSなどではトレンドにあがるのを目にする機会が多くありませんが、全世界では累計発行部数8500万部を突破しており、海外では「Harvey Award」(ハーヴェイ賞)のBest Manga賞を受賞するなど高い評価を獲得しています。海外SNSでも人気で「Boku No Hero Academia」の略称である#bnhaのタグで数多くのファンアートが投稿されています。
●やっぱり忍者が好き!
『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』は、名作忍者マンガ『NARUTO -ナルト-』の15年後を描くスピンオフ作品です。2023年に一部が完結し、現在二部にあたる『BORUTO-ボルト- -TWO BLUE VORTEX-』が「Vジャンプ」で連載されています。日本においては連載中だった頃の『NARUTO -ナルト-』ほど話題にあがっていませんが、海外では現在でも『NARUTO -ナルト-』人気が高く、『BORUTO-ボルト-』とセットで語られることが多いです。
SAMURAIとNINJAはアニメブーム以前から、一部に誤解や先入観がありつつも、日本のアイコンとして広く知られていました。海外SNSを見る限り、印を結んだり、手裏剣を投げたり、忍術を使ったりする「オリエンタルでエキゾチック」なNINJAへの憧れがあるようです。
■最新作はどこでも「リアルタイム」に楽しまれている?
アニメ「マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編Vol.1 Blu-ray」(アニプレックス)
●アニメのオープニングで人気爆発?
『マッシュル-MASHLE-』は、魔法の技量によって身分が決まる「魔法界」において、一切魔法が使えない主人公マッシュが鍛えられた肉体だけを武器に、名門魔法学校イーストン校の最優秀生徒である「神覚者」を目指すというもの。『ハリー・ポッター』シリーズのオマージュが特徴ですが、超人的な筋肉で魔法を超越する展開が本作ならではの大きな魅力です。
特筆すべきは2024年3月現在放送中のアニメ2期のオープニングテーマです。Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」は公開後に海外で高い評価を受け、YouTubeで7700万回再生を突破しました。近年、アニメのオープニングテーマは海外の注目を集めており、YouTubeのコメント欄が英語やフランス語などで埋め尽くされている、というケースも見られます。
SNSではオープニングテーマの人気を受けて昨年完結した『マッシュル-MASHLE-』が売れはじめたという投稿も見られました。海外人気が日本に波及した例と言えるでしょう。
●主人公は32歳!
Webマンガサイト「少年ジャンプ+」において連載されている本作は2020年の「コミックス第1巻 年間売上ランキング」で1位を獲得し、2021年にはマンガ大賞にノミネートされた人気作です。
『怪獣8号』は日本での人気はもちろん、海外、特にフランスで高い人気を得ています。2021年にはパリの国立図書館の窓に13階(高さ45メートル、幅46メートル)分の巨大イラストが掲示され、フランス版コミックス第1巻は初週売上歴代1位を記録しました。フランス版『怪獣8号』1巻は初版で25万部も刷ったとのことですから、出版社は売れ行きに相当な自信を持っていたのでしょう。
『怪獣8号』には、ここまで紹介してきたジャンプ作品と明確に異なる特徴があります。それは、現在のジャンプマンガには珍しい32歳の主人公である点、怪獣化して力を得たことで、かつて諦めた夢や目標に向かって再チャレンジしている点です。この設定は青少年から少し上の年齢層までアピールできる強みがあります。2024年4月13日からアニメも放送されるため、これからさらに高い人気を獲得していくことでしょう。
●海外の評判も気になる時代
かつて日本と海外のマンガ(アニメ)ファンの間には、大きなタイムラグがありました。日本で流行っている作品を海外ファンが母国語で読むには、翻訳まで数か月も待つ必要があったのです。アニメなどの映像作品はさらに長く、数年のタイムラグがあったくらいです。
しかし今は違います。世界中のファンがリアルタイムでアニメやマンガを楽しめる時代がやってきました。日本で人気の作品を海外に輸出するのではなく、同時に発表する時代です。加えてSNSの発展により、各国のファンは国内だけでなく、国外での評判も目にするようになりました。
自分のお気に入りの作品が多文化圏でどのように受容されているのか調べるのは興味深く、ときには思いもよらなかった側面がフォーカスされます。王道を行くジャンプマンガには、やはり世界の広い地域で通用する普遍性があるようです。
(レトロ@長谷部 耕平)
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