『フォーチュン・クエスト』30周年で完結へ! 設定が意外と重くて容赦ない
マグミクス / 2020年1月15日 19時10分
■『フォーチュン・クエスト』が2020年に完結
1989年にシリーズ第一作が発売された深沢美潮氏によるライトノベル『フォーチュン・クエスト』が、2020年にとうとう完結します。30年を超える長期刊行となった本作をかつて楽しんでいたライターの早川清一朗さんが、『フォーチュン・クエスト』との出会いと最終巻に向けての想いを語ります。
* * *
ある日、仕事の合間にダラダラとツイッターを流し見していた時にそのツイートが目に飛び込んできました。
「30年続いたフォーチュン・クエスト、ついにエンディングです!」
このツイートを書き込んだのは『フォーチュン・クエスト』の作者である深沢美潮さんご本人。正直なところ「え!? まだ続いていたの!?」と驚いてしまったことをここにお詫び申し上げます。
『フォーチュン・クエスト』とは、1989年に角川スニーカー文庫で刊行が始まった、深沢美潮さん著作のファンタジーライトノベルです。イラストは迎夏生さん。とても明るく柔らかく、温かみを感じる絵を特徴としている方です。
筆者が『フォーチュン・クエスト』を読んでいたのは確か1989年からの数年間。「あれ? 完結してなかったっけ? でもそういえば何度か新作が発売されていたのを見かけた気が……」と少々混乱したので調べてみたところ、30年以上にわたってどのような形で続いていたのかを知ることができました。
1989年に刊行が開始された初代こと無印『フォーチュン・クエスト』は8巻で完結し、その後、担当編集者の転職に伴い電撃文庫へと移籍。『新フォーチュン・クエスト』がスタートしてこちらは 全20巻でいったん完結。続いて『新フォーチュン・クエストII』が始まり、これが最終シリーズになるようです。その他にもさまざまな短編や外伝も合わせると、40冊以上が刊行されていました。
パステル、クレイ、トラップ、キットン、ノル、ルーミィ、そしてシロちゃん。みんなの冒険はずっと続いていたのです。途中で離脱して申し訳ない……。
ちなみに『フォーチュン・クエスト』が刊行された頃はまだ「ライトノベル」という言葉がなく、「ジュブナイル」「ジュニア小説」「ヤングアダルト」または単に「ファンタジー」と呼ばれていました。これらが統一されたのは1990年代前半あたりなのですが、最終候補として挙がっていたのが「ライトノベル」と「ニートノベル」だったそうです。当時はニートという言葉も一般的ではなかったので候補に出てきてしまうのも致し方ありませんが、「ライトノベル」に決まって本当に良かったと思います。
■設定が意外と重くて容赦ない『フォーチュン・クエスト』
『新装版フォーチュン・クエスト1 世にも幸せな冒険者たち』(KADOKAWA)
さて、久々に『フォーチュン・クエスト』に興味が沸いたのでネット上で探したところ、『新フォーチュン・クエスト』26冊をまとめた合版本を見つけたので、お試し部分だけを久々に読んでみたのですが、ほんわかした見た目とは裏腹に、かなり容赦がない作品でした。
まず主人公のパステルは、同世代の子供たちと一緒にサマーキャンプに出掛けているときに住んでいた街を病気持ちの草食獣に襲われ、他の大人たちともども両親を失っています。 肉親である父方の祖母とは折り合いが悪く、ひとりで生きることを選んで冒険者になる……って、ちょいと重くありませんか? この設定。
他の登場人物も、ルーミィは生まれ故郷が大規模な山火事に遭い親や仲間の消息は不明。ノルは行方不明の妹を探しており、キットンは記憶喪失。ホワイトドラゴンのシロちゃんも家族を探していますし、みんな重い過去を背負っている傾向にあります。
かわいらしい絵柄と読みやすくふんわりとした文体にごまかされてきましたが、今、改めて読んでみると結構重たい設定です。それでもキャラクターたちが毎日を明るく元気に過ごしているのが『フォーチュン・クエスト』の魅力でもあるのでしょう。
また、『フォーチュン・クエスト』はライトノベルのメディアミックスが行われるようになった初期の作品でもあり、1993年にOVAが発売され、1997年には『フォーチュン・クエストL』というタイトルでTVアニメ化されています。その他にもコミカライズやラジオドラマ、はたまたカセットブックやボードゲーム、TRPGも発売されています。今となっては手に入れるのも難しくなってしまっているのが残念なところです。
とはいえ30年以上刊行され続けていた作品です。当然売れ続けていた作品であり、根強いファンはまだまだ残っています。2019年年末から2020年にかけて渋谷の”青山GoFa”では「フォーチュン・クエスト 30周年記念 迎 夏生原画展」が開催され、好評を博しています。
2020年は1月8日(水)~ 1月19日(日)まで開催されているので、興味のある方は行ってみてはいかがでしょうか。 筆者もなんとか時間を見つけて、この30年、パステルたちがどんな冒険を繰り広げていたのか、少し覗かせてもらおうかなと考えています。
(早川清一朗)
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