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のび太の足の速さとティラノサウルスは同じくらい? 捕食シーンが少ない理由が「ちょっと残念」【4/17は恐竜の日】

マグミクス / 2024年4月17日 7時25分

のび太の足の速さとティラノサウルスは同じくらい? 捕食シーンが少ない理由が「ちょっと残念」【4/17は恐竜の日】

■ティラノサウルスからは走れば逃げ切れる?

 4月17日は恐竜の日です。21世紀になっても恐竜の姿や生態は謎に包まれており、多くの人びとの興味と想像力をかきたててきました。特にフィクションにおける恐竜は巨大で凶暴なイメージで描かれることが多く、肉食恐竜に追いかけられる展開は定番シーンだといえます。

 この記事ではアニメやマンガ、ゲームにおける恐竜から走って逃げられるのか、最近の検証結果と比較してみます。

 ティラノサウルスといえば、大型の肉食恐竜の代表ともいえる存在です。巨大な頭部に並んだ鋭い歯列は見るものに恐怖を与え、力強い骨格はいかにも強靭で凶暴そうです。1993年の映画『ジュラシック・パーク』で描かれたティラノサウルスは、自動車を追跡できるほどの脚力を持って描かれていました。いかにも獲物を追跡して捕食する肉食恐竜らしい描写です。

 ところが恐竜の歩行速度についての最近の検証によると、最大で時速27キロメートル程度しか出せなかったのではないか、とされています。これは骨の密度や足跡の化石、筋肉の推定強度などから導き出されました。つまりスタミナや地形の問題を除外すれば、人間が全力で走ってギリギリ逃げられる程度の速度だといえます。

●ドラえもん

『ドラえもん』では恐竜をテーマの中心に据えた作品がいくつも作られています。1980年に上映された『ドラえもん のび太の恐竜』は現在まで続く映画版『ドラえもん』の記念すべき第1作目です。その後、1987年に恐竜が生き残っている地下世界を舞台にした『ドラえもん のび太と竜の騎士』が上映され、2006年には『ドラえもん のび太の恐竜』がリメイクされました。

 どの作品も当時の検証結果が反映されているのが特徴で、1980年版の『ドラえもん のび太の恐竜』ではゴジラ型の直立したティラノサウルスが登場しましたが、2006年版では尻尾と胴体が水平なティラノサウルスが登場しています。ちなみに歩行速度については物語の都合もあってか、運動が苦手なのび太(アニメだと小学5年生)が走ってギリギリ逃げ切れない、といったところです。大人ならなんとか逃げ切れるでしょう。

●ドラゴンボール

 鳥山明先生のイラストにはたびたび恐竜が描かれていますが、意外なことに物語に関わるケースは稀です。その数少ない登場シーンのひとつ『ドラゴンボール』で描かれた恐竜は『ジュラシック・パーク』型の巨大で俊敏なイメージで、ピッコロによって荒野に置き去りにされた悟飯を追いかけていました。その突進力はすさまじく、激突した岩の柱が欠けるほどです。

 しかし悟飯は地球人と戦闘民族サイヤ人のハーフですさまじい潜在力を秘めています。荒野での生活に慣れてワイルドになった悟飯は追いかけてきた恐竜をジャンプでかわして、尻尾の肉をスライスしてステーキにするほどの強さを身につけました。

■ゲームに登場するすばしっこいティラノサウルスはいない?

リトルガーデンが描かれる「ONE PIECE Log Collection “GRAND LINE”」(エイベックス・ピクチャーズ)

●ONE PIECE

 現在クライマックスに向けて怒涛の展開が続いている『ONE PIECE』にも恐竜が登場しています。巨人島「リトルガーデン」には野生の恐竜が生息していますし、ワノ国では「動物(ゾオン)系 古代種」の悪魔の実の力によって恐竜人間になったキャラクターが複数登場しました。

 しかし超人ぞろいの『ONE PIECE』ワールドでは、ただの恐竜はあっさり撃破されてしまうため、ほとんど出番がありません。恐竜の描かれ方についてもトリケラトプス(人間)が首の板をプロペラのように回転させるなどオリジナル要素が強く、リアルな検証結果を重視していないようです。天才科学者ベガパンクが言うように「悪魔の実とは誰かが望んだ人の進化の可能性」だからなのかもしれません。

●ディノクライシス

 1999年に初代『PlayStation』で発売された傑作で、次世代エネルギー『サードエナジー』の実験事故によって生じた時空の裂け目からやってきた恐竜が大暴れします。1993年に公開された『ジュラシック・パーク』の影響が見られるのが特徴で、小型で俊敏なラプトルや圧倒的迫力のティラノサウルスが登場します。

 ティラノサウルスは飛行中のヘリコプターを噛み砕くほど強靭で、高速で移動する足場に追いつく勢いで疾走する絶対的恐怖として描かれました。1999年当時のイメージが圧縮された作品だといえるでしょう。

●モンスターハンター

「モンハン」として世界中で愛される『モンスターハンター』シリーズにはティラノサウルスに代表される恐竜は登場しませんが、恐竜の特徴を反映したと思しきモンスターが登場しています。

 例えば恐暴竜イビルジョーはゴジラ的なプロポーションですが、直立せず長大な尻尾を振りながら体のバランスを保っていますし、蛮顎竜アンジャナフの背中には毛が生えています。これらは恐竜研究の最新の検証が取り入れられた結果だと言えるでしょう。

 ではその動きや歩行速度はというと、瞬間的な突進は明らかにプレイヤーであるハンターのダッシュより素早く、ティラノサウルスの推定速度である時速27kmを超えています。「モンハン」ではリアルな恐竜研究の成果を取り入れつつ、ゲームとしての面白さを優先しているようです。

●フィクションの恐竜は強くて俊敏

 科学的検証が進むことによって、クリエイターは現実に基づいた仮説を立てられるようになり、作品のリアリティを追求できます。しかしその反面、エンターテイメント性と両立しないシーンが増えてしまうため不都合な知見を調整する必要が生まれました。ティラノサウルスが意外と鈍足だった、という検証結果はその最たる例です。

 マンガやアニメ、ゲームといったエンターテイメントは科学的知見とフィクションの齟齬を楽しく比較できる機会だといえます。恐竜の日に恐竜が登場するエンターテイメントを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(レトロ@長谷部 耕平)

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