コンプラ的にもう無理? いつの間にか無くなったマンガ・アニメの「不適切表現」
マグミクス / 2024年4月4日 17時10分
![コンプラ的にもう無理? いつの間にか無くなったマンガ・アニメの「不適切表現」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_223151_0-small.jpg)
■ゴールデンタイムのアニメでも「不適切表現」
昭和から平成中期までのアニメには、今から考えるとありえないような「不適切表現」があふれていました。どのようなものがあったのか、振り返っていきましょう。
●スカートめくり
「スカートめくり」が子供のイタズラの一種とみなされていた時代がありました。もともとは永井豪先生のマンガ『ハレンチ学園』から流行に火がついたもので、昭和のアニメにはスカートめくりが当たり前のように登場しています。
『ドラえもん』(79年)には女子のスカートめくりをするエピソードが複数ありました。「悪魔のパスポート」はそのひとつ。どんな悪事でも許される「悪魔のパスポート」を手に入れたのび太は、しずかちゃんのスカートを堂々とめくってみせました。06年にリメイクされたときは、のび太がスカートをめくろうとして未遂に終わりますが、「悪魔のパスポート」をかざされたしずかちゃんが自分のスカートをめくるよう「どうぞどうぞ」と迫って、逆にのび太が逃げるという演出になっていました。
ちなみにドラえもんは「スカートめくり用マジックハンド」という強烈な道具を所持しています。20年の「ドラえもんが受験生??」に登場してファンを驚かせましたが、このときはスカートをめくらず、しずかちゃんを助けるために使用されました。
『まいっちんぐマチコ先生』(81年)には毎回のようにスカートめくりが登場し、当時でも問題視されていました。一方、日曜のゴールデンタイムに放送されていた『さすがの猿飛』(82年)は主人公の猿飛肉丸が必殺技「神風の術」でスカートめくりするのがお約束で、オープニングでもスカートめくりをしています。
スカートめくりが登場する作品として少々意外なのが『宇宙戦艦ヤマト』(74年)です。分析用ロボットのアナライザーがセクハラ好きで、乗組員を治療している森雪に対して背後からスカートめくりをしていました。
スカートめくりはれっきとした性暴力であり、子供の頃に被害に遭った人がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を生じることもあります。絶対に行わないようにしましょう。
■宮崎駿監督作品の「不適切表現」とは?
『未来少年コナン』Blu-rayメモリアルボックス(バンダイビジュアル)
●未成年のタバコ
現在のアニメで徐々に減少しているのが喫煙シーンです。『ルパン三世』の次元大介や『ONE PIECE』のサンジなどは愛煙家のままですが、多くのアニメでは登場人物が成人でも喫煙シーンはカットされつつあります。
厳しい扱いを受けているのが未成年の喫煙です。かつては「不良」を示す演出のひとつとしてタバコが使われていました。『あしたのジョー』(70年)ではドヤ街の子供たちがタバコを吸うシーンが描かれています。最年少の女の子・サチがタバコをくわえるシーンまであるのが驚きです。『アパッチ野球軍』(71年)でも不良学生たちが堂々とタバコを喫っていました。
『ど根性ガエル』(72年)のピョン吉とひろしはタバコに否定的でしたが、父を亡くした子を励ますためにタバコの煙で輪を作ろうとしていたクラスメイトの新八と一緒にひろしもタバコを喫ってみせました。『未来少年コナン』(78年)では、12歳のコナンと10歳のジムシィがタバタバという名のタバコを吸う場面があります(あれはタバコではないという人もいますが、どう見てもタバコでしょう)。
『きまぐれオレンジ☆ロード』(87年)の鮎川まどかは15歳にして常習的な喫煙者でした。ただし、第1話でタバコに火をつけようとしたところを、春日恭介の超能力で破裂させられてしまいます。近年では『NANA-ナナ-』(06年)で、主人公で18歳のナナがタバコを吸う場面がありました。電車の中で堂々と吸っていたところも時代を感じさせます(灰皿のある喫煙車両でした)。
このような未成年の喫煙シーンは、少なくとも地上波で放送される今のアニメに登場することはないでしょう。タバコは20歳を過ぎてから。
●『クレヨンしんちゃん』の「ゾウさん」
国民的人気アニメ『クレヨンしんちゃん』(92年)の主人公、「嵐を呼ぶ5歳児」こと野原しんのすけは、下ネタ好きで知られています。第1話「おつかいに行くゾ」の登場シーンでは「ゾウさん」をしていました。
「ゾウさん」とは、下半身を露出してゾウの絵を描き、局部をゾウの鼻に見立てて腰を振って踊るというもの。本郷みつる監督は「『しんちゃん』はコレだろう」とプロデューサーたちと共通認識があったと語っています(『クレヨンしんちゃん大全』)。
しかし、「ゾウさん」の登場回数は徐々に減っていき、近年ではまったく見られなくなってしまいました。脚本家の川辺美奈子さんは「ゾウさん」が禁止されたことを明かしています。幼い男の子が下半身を露出して遊ぶのは「不適切」かどうか議論が分かれそうですが、少なくともテレビ局側は「不適切」と判断したようです。
一方、「ケツだけ星人」をはじめとするお尻関連のギャグはまだまだ健在なので、これからもしんちゃんのおケツは末永く見続けたいものです。
(大山くまお)
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