音ゲーの先駆者『パラッパラッパー』 ユーザーを虜にしたラップバトルの魅力とは?
マグミクス / 2020年1月20日 17時10分
■個性的なキャラクターたちがゲームを彩る『パラッパラッパー』
大きなオレンジ色のニット帽に青いタンクトップ、そしてデカめのパンツ。このキャッチーなストリートファッションに身を包んだのは、人間ではなく犬の男の子。そう、『パラッパラッパー』の主人公・パラッパです。
「プレイステーション」のリリースからちょうど2年が経った1996年の冬。彼はゲーム業界に”リズムアクション”(音ゲー)と呼ばれるジャンルを芽吹かせ、一大ムーブメントを巻き起こしました。
今でこそスマートフォンアプリやアーケードゲームなど、あちこちで見かける機会の多い音ゲー。しかし約25年前はまだ”音ゲー”と呼ばれるジャンルが本格的に成立していません。『beatmania(ビートマニア)』や『ダンスダンスレボリューション』といった音ゲーの人気シリーズが出回ったのも1997年あたりからで、音楽を主体に捉えてアクション性を付与したタイトル自体が少なかったのです。
そこに現れたのが、ゲーム内でかかる音楽に合わせてプレイヤー自身が演奏する『パラッパラッパー』。個々人のリズム感とボタンを押すタイミングがクリアに結びつくゲーム性は、現在まで続く音ゲー分野の屋台骨となりました。
加えて作品を彩るキャラクターも個性的。主人公のパラッパをはじめ、どこかユルい雰囲気を放つ PJ ベリー。いつも笑顔で可愛らしいサニー・ファニー。ハキハキとして気の強いケイティ・キャットなど、性格の異なるキャラクターがゲームを大いに盛り上げてくれます。
ビジュアルデザインやパラッパの成長を描いたストーリーを含め、世界観は明るくてポップ。その作風と目新しいゲームシステムに大勢の人々が心惹かれたのか、国内で140万本以上の売上を記録しています。
その後は続編の発売だけでなく、2001年にフジテレビでアニメ化もされた本作。『サルゲッチュ』のピポサル、『クラッシュ・バンディクー』のクラッシュや『どこでもいっしょ』のトロと並び、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の看板キャラとして、たくさんの人々に親しまれています。
ちなみに2012年にリリース済みの『プレイステーション オールスター・バトルロイヤル』では、パラッパがプレイアブルキャラとして参戦。激しくパンチを叩き込んだり、スケートーボードに乗って突進したり……いつものラップバトルでは見られない武闘派な戦いを披露しました。
■明るい世界観だが、ゲームは難しめ
プレイステーション3用ソフト『プレイステーション オールスター・バトルロイヤル』(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)
そんな本作ですが、肝心のリズムアクションはやや難しめ。と言うのも、指定されたボタンを押すタイミングがBGM(ステージ)ごとに少々異なるからです。画面上を流れるアイコンがボタンマークに重なった瞬間にプッシュ! するだけでは”COOL”とはならず。プレイ経験のある方ならきっと、ステージ4の料理教室でニワトリ先生の怒った顔を何度も目の当たりにしたでしょう。
とはいえ、だんだんとタイミングがつかめてくると、独特の高揚感が押し寄せてきます。それは「自らの指で音を奏でる楽しさ」。お手本の通りに操作すると聞こえてくるパラッパの元気な声は、「ラップをしたことはないけれど、多分こんな感じなのかな?」と筆者にある種の爽快感を味あわせてくれました。
またアドリブ演奏システムも忘れてはならないポイント。あえて指示を無視して演奏することの重要性も判明します。タイミングを試行錯誤するうち、ドン底だった評価がちょっとずつ改善され、いつしかお手本の先生もいなくなり……。最終的にマスターコースへ突入してパラッパの独壇場となった頃には、他の激ムズゲーム作品のクリア時に勝るとも劣らない達成感が到来。規則通りにボタンを押すだけでは分からない、演奏という行為の奥深さが少しだけ身に染みました。
2017年にプレイステーション4用ソフトとして、第一作のHDリメイク版がリリースされました。最新ハードでもう一度、パラッパの勇姿を見てみたいですね。
(龍田優貴)
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