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「え、それ勝っちゃう?」ガンダム作品で格下機体が起こした「奇跡の番狂わせ」

マグミクス / 2024年4月7日 6時10分

「え、それ勝っちゃう?」ガンダム作品で格下機体が起こした「奇跡の番狂わせ」

■格下が「格上機体」に勝利するカタルシス

「ガンダム」シリーズの作品では、高い性能を誇る主役機の戦闘シーンや、強敵が無双するシーンは見どころのひとつです。

 しかし明らかに格下の量産機が、想像以上に健闘するシチュエーションにも心が躍ります。格下の機体が格上相手に見せた、善戦した場面やジャイアントキリングをした場面を振り返ってみましょう。

●連邦の「丸い棺桶」でまさかの大金星?

 ガンダムの世界で、最弱の機体といえば「ボール」を思い浮かべる人が多いはずです。「ボール」は、もともと宇宙用の作業ポッドをもとに量産化された簡易モビルスーツ(MS)で、安価なコストにより大量生産された機体です。そのため、当然兵器としての性能は低く、「丸い棺桶」などと揶揄されていました。

 そのようなボールの、想像を超える活躍が、OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に描かれています。

 第1話で、ジオン公国軍の「アイナ・サハリン」が搭乗する「宇宙用高機動試験型ザク」は、連邦の「初期型ジム」と交戦し、これを圧倒します。そのような友軍の危機を察知した「シロー・アマダ」は、武装の乏しい「先行量産型ボール」に乗って急遽出撃しました。

 アイナの乗る「宇宙用高機動試験型ザク」は、「ザクII」がベースになった「リック・ドム」開発のための試験機であり、その名の通り、高い機動性を誇ります。一方の「先行量産型ボール」は、作業用モビルポッドに申し訳程度の武装を備えただけの機体で、普通に考えたら勝ち目はありませんでした。

 しかし、「ボール」に乗ったシローは、宙域にあった残骸を巧みに利用しながら「ザク」に接近します。そして「ザク」に向かってワイヤーを射出すると、そのワイヤーを「ザク」に巻きつけて近接戦闘を挑みました。

「ザク」に乗ったアイナはワイヤーを切断しようとしますが、シローは「ボール」のサブアームを使って巧妙に阻止します。さらにシローは、「ザク」とほぼ密着した状態から「ボール」のキャノン砲を発射、その結果「ザク」と「ボール」はともに爆散しました。

 明らかに性能の劣る「ボール」で、「高機動試験型ザク」を相手に相打ち(両パイロットは生存)に持ち込んだだけでも、連邦側からすれば大勝利といえるでしょう。

●「ザク」に乗る新米が起こした下剋上

 OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、連邦の「トリントン基地」襲撃で無双していた重MSの「ドム・トローペン」を、連邦がジオンから接収した「ザクII F2型」で倒す場面がありました。

「ドム・トローペン」は一年戦争末期、「陸戦型ドム」や「トロピカルテストタイプ」をもとに改良され、主に砂漠などの酷所における高い機動性能がウリです。新型のロケット砲「ラケーテン・バズ」を携帯するなど、機動力と火力を兼ね備えた機体でした。

 一方、「ザクII F2型」も一年戦争の後期に量産化されたバランスの良い機体ですが、地上の酷所というフィールドにおいては、当然のことながら重MSの「ドム・トローペン」に分があります。劇中では「ドム・トローペン」が、連邦の運用していた「ザクII F2型」を一刀両断する場面もあり、新型の「パワード・ジム」まで倒していました。

 そのような「ドム・トローペン」(パイロットはアダムスキー少尉)と、トリントン基地のテストパイロット、「チャック・キース」の「ザクII F2型」が交戦します。キースの「ザクII」は、「ドム・トローペン」のヒート・サーベルで頭部を斬り飛ばされますが、トドメを刺そうとする攻撃をギリギリ回避し、逆にヒート・ホークの一撃で撃破しました。

 こうしてキースは、ベテランが乗る格上機体を撃破するという大きな戦果を挙げます。このときキースはまだ新米パイロットで、運が味方した部分はありますが、見事なジャイアントキリングを成し遂げたといえるでしょう。

■あまりにも切ない「壮絶な相打ち」

バーニィの無惨な死に様に胸が痛くなる……画像は「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 VOLUME I」(バンダイナムコフィルムワークス) (C)創通・サンライズ

●新型「ガンダム」に「ザク」が挑戦

 最新鋭の「ガンダム」タイプMSと「ザク」が一騎討ちを行い、驚異的な善戦を見せるというシーンが『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のなかで描かれました。

 ジオン公国軍特殊部隊「サイクロプス隊」に所属する「バーニィ」こと「バーナード・ワイズマン」は、「ガンダムNT-1(アレックス)」と戦うことになります。

「アレックス」はRX-78シリーズの機動性を大幅に向上させ、マグネットコーティングが施された機体です。テスト中のため、武装は完全に揃っていなかったものの、腕部に強力なガトリング砲を備えるなど、まさに最新鋭のガンダムでした。

 一方バーニィが乗る「ザクII改」も一年戦争末期にロールアウトした、「ザクII」シリーズの集大成ともいえる機体です。従来の「ザクII」から大幅に性能が向上し、スラスター推力に至っては、「ゲルググ」に匹敵するほどの数値を誇りました。

 とはいえ、「ガンダム」と「ザク」では比較にならないほど性能に差があるのは間違いなく、バーニィはその差を少しでも埋めるために、さまざまな策を準備しました。

 そして、ダミーバルーンを始めとするトラップを仕掛けた森のなかへと誘導し、接近戦へと持ち込みます。バーニィは、「アレックス」にかなりのダメージを与えましたが、それでも撃破するには及びませんでした。最終的にはビーム・サーベルでコクピットを貫かれ、バーニィは壮絶な戦死を遂げました。

 しかし、「アレックス」もまともに動けない状態まで追い込んでおり、「ガンダム」と「ザク」の性能差を考えたら、あっぱれな戦いぶりでした。

 ちなみに「アレックス」に搭乗していたのは、バーニィとひそかに惹かれ合っていたテストパイロットの「クリスチーナ・マッケンジー」です。

「相手が機体に不慣れなテストパイロット」「コロニー内で重火器が使えない」「直前の戦いのダメージが残っていた」など、「アレックス」に不利な条件ではありましたが、「ガンダム」撃破に「あと一歩」まで迫ったのは、バーニィの執念といえるでしょう。

 強い機体で無双するシーンは見ていて爽快ですが、実力の劣る機体で格上に挑む姿にも尊さを感じます。皆さんは、どんな戦いが印象に残っているでしょうか。

(大那イブキ)

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