「泣いちゃう」「やり過ぎだろ」 一応子供向けのトラウマアニメ映画
マグミクス / 2024年4月11日 12時10分
![「泣いちゃう」「やり過ぎだろ」 一応子供向けのトラウマアニメ映画](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_223684_0-small.jpg)
■家族で楽しく観るはずが
不思議な世界を冒険したり、仲間たちと友情を育んでいく子供向けのアニメ映画は、親としても安心して子供と観ることができます。
しかし、妙にリアルな描写や重苦しいストーリー展開、恐ろしいキャラクタービジュアルによって楽しいアニメ映画かと思いきや、トラウマ級の作品になっていたケースもありました。
●『コララインとボタンの魔女』
同名の児童文学作品を原作とする3Dストップモーションアニメ映画『コララインとボタンの魔女』は、ゴシックで少し不気味な雰囲気が特徴的な作品です。
多忙な両親にかまってもらえず、ひとり孤独に過ごしていた少女コララインはある日引っ越してきたアパートの壁に小さなドアを見つけます。ドアの先にはボタンの目をしたコララインの両親が住んでおり、どんな願いも叶う夢の世界が広がっていました。コララインはすっかりドアの先の世界を気に入りますが、住むためには「ボタンの目に付け替えなければいけない」という条件を提示されます。
やがて本当の両親の失踪を知ったコララインは、両親と自分の目をかけて勝負をすることとなります。1番身近で頼りになる存在の両親が失踪し、「目がボタン」という恐ろしいビジュアルで偽物の両親が登場する展開は、子供が観たらトラウマになってしまうかもしれません。
実際に「CMの時点ですでに怖くて今も観られない」という声もあった一方、「雰囲気はむしろ好み」「子供のときに観たら嫌いになってたけど、大人になってから観たから耐性はあった」とダークファンタジーの雰囲気あふれる作風に魅力を感じる人も多いようです。
●『ウォーターシップダウンのうさぎたち』
『ズートピア』や『ライオンキング』といったディズニー作品をはじめ、子供向けアニメ映画のなかには動物を主人公とする作品も珍しくありません。デフォルメされた動物たちが人間さながらに冒険する作品は、大人も子供もわくわくしながら観られるでしょう。
しかし、リチャード・アダムス氏の児童文学が原作の1980年日本公開の映画『ウォーターシップダウンのうさぎたち』は、野うさぎを主人公にしたアニメ映画でありながら残酷な描写が多く、トラウマを植え付けられたという人が続出している作品です。タイトルで検索すると、サジェストで「トラウマ」「怖い」と出てくるほどです。
同作は「この土地に災いがふりかかる」という予知能力を持つうさぎの予言に基づき、主人公のうさぎヘイズルが数羽の仲間たちを引き連れて新天地を求めて旅に出る……というストーリーです。
予言をまともにとりあってもらえず、ごく少数の仲間たちで旅立ったヘイズルたちは後に故郷に残っていたはずのうさぎと再会します。息も絶え絶えのうさぎは、住んでいた土地が宅地開発のためにブルドーザーで掘り返され、逃げ場を失った仲間たちが苦しみながら死んでいったことを語るのでした。
このときの回想シーンは、赤い目をした鼠色のうさぎたちが穴のなかで押しつぶされる様がリアルに描かれており、「小さい頃に観たけど強烈過ぎて泣いた」「うさぎの目がリアルで怖い」と特に強烈な場面として焼き付いた人が多いようです。
また、ヘイズルたちの前に立ち塞がる最大の敵であるうさぎ、ウーンドウォート将軍は鋭い爪やぎょろりとした目の恐ろしいデザインも相まって子供たちにトラウマを植え付けました。さらに、ウーンドウォート将軍は自分よりも体の大きい犬に致命傷を与えるほどの攻撃力も持っており、「勝ち目のなさに絶望しそうになった」という声も聞かれます。
そんなトラウマ必至の作品ですが、2018年にはNetflixで再アニメ化されるなど、今なお根強い人気を持っています。
●『パルムの樹』
誰もが知るおとぎ話『ピノキオ』をモチーフに、人間に憧れるロボットのパルムが地底世界を目指して旅をする2002年公開のアニメ映画『パルムの樹』も、重苦しく残酷なシーンが多い作品です。
『AKIRA』や『風の谷のナウシカ』にも携わったアニメーターのなかむらたかし監督による、幻想的でノスタルジックな世界観が伝わるCMが流れていましたが、本編は子供がトラウマになりそうな場面が続出しました。
トラウマ作品と言われる理由のひとつとして、まず主人公パルムの存在があげられます。人間になることを夢見るパルムは、かつて植物学者のフォーが愛する妻シアンのために作り出した存在で、愛されることに飢えているキャラクターでもありました。そんなパルムはヒロインのポポをシアンと思い込んで詰め寄る、返り血を浴びながら歪んだ表情で「人間になりたい」と絶叫するなど、作中でさまざまな強烈な姿を見せています。
また、ロボットゆえに手足がちぎれる、体液があふれるといったシーンも多く、「ファンタジーだと思ったのに」「パルムが怖過ぎて共感するどころじゃなかった」など、CMに騙されて恐ろしい思いをした人も多かったようです。一方で徐々に人間らしさを獲得していくパルムの心理描写や壮大な地底世界の表現など、SFファンタジーとして高く評価する声も少なくありません。
(田中泉)
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