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文字通り人生を左右する「宿命の女性」に出会ってしまった「ガンダム」の少年たち3選

マグミクス / 2024年4月11日 6時10分

文字通り人生を左右する「宿命の女性」に出会ってしまった「ガンダム」の少年たち3選

■女性に運命を翻弄される男たち

 フランス語には「ファムファタル」という言葉があり、「宿命の女性」などと訳され、「男性の運命を変える女性。男性を破滅に導く女性。妖婦。」といった説明がなされます(小学館「精選版 日本国語大辞典」)。「ガンダム」シリーズにも、まさに「宿命の女性」といえるような、個性的でクセの強い女性キャラクターが登場してきました。そうした女性たちに翻弄される男性キャラクターを振り返ってみましょう。

※本記事にはキャラクターの生死に関する記述が含まれます。

 たとえば『機動戦士Zガンダム』の主人公「カミーユ・ビダン」は、幼馴染の「ファ・ユイリィ」をはじめとして「フォウ・ムラサメ」などヒロインとの「噛み合わなさ」がすれ違いを生んでいきました。

 フォウとカミーユは、ホンコン・シティで知り合い、敵対勢力に所属する身でありながら、お互いに思いを重ねます。しかし、強化人間への処置の過程で失った、それ以前の記憶を取り戻したいフォウは、希望を与えるようなカミーユの言葉を信じられずに拒絶します。そのようなフォウも最後はカミーユに協力しますが、戦いのなかで爆発に巻き込まれ、姿を消してしまいました。

 TVシリーズではその後、カミーユは生きていたフォウとキリマンジャロにて再会を果たします。しかし、強化処置が進んでいたフォウはカミーユのことを忘れてしまったような素振りを見せ、また精神的にも大いに不安定な様子でした。やがて搭乗していた「サイコガンダム」のシステムに操られるように戦闘を始め、カミーユの説得で正気を取り戻すも、フォウは戦いのなかでカミーユを庇い、命を散らしてしまうのでした。

 そのようなフォウに、いわゆる「ヒロイン」として遅れを取っていると見られがちなファではあるものの、「戦いから遠ざけたい」というカミーユの思いは、ファに対してもフォウと同じくらい強く抱いていたようです。しかし、ファとしては「カミーユの手助けをしたい」という思いがあり、これをめぐりふたりは衝突、周囲からは「レクリエーション」と称してほほえましく見守られていました。

 そのようなカミーユの思いに反してファはパイロットとなり、そしてTVアニメ版では『Z』の物語が終幕を迎えたあとも、戦いの中に身を置き続けることになります。それでも生き延びて、最終的にはカミーユに寄り添う姿が描かれました。ファもまた、カミーユにとって「宿命の女性」だったということでしょう。

中央にカミーユ、その上がフォウ、右がサラ。ファは……バンダイナムコフィルムワークス「機動戦士ZガンダムII -恋人たち-」BD (C)創通・サンライズ

 同じく『Zガンダム』では、「カツ・コバヤシ」もまた、敵パイロットである「サラ・ザビアロフ」の手玉に取られてしまう場面が見られました。

 母艦である「アーガマ」にて、独房に連行されるサラをひと目見たカツは、彼女に好意を抱きます。その気持ちを利用されたカツは、言葉巧みなサラに惑わされ、彼女が脱走する片棒をかつがされるのでした。のちに、再び捕虜になったサラに精神面の成長を指摘されたカツは、当時の出来事を「人間不信に陥れば、用心深くなるさ」と皮肉っています。

 それでもカツはサラを思い続けていたものの、最終的には戦いのなかで、カツ自身の手でサラを、意図的ではないながらも撃ち殺してしまいました。

 ただ、そこで終わらないのが『Z』の物語でもあります。やがてカツも戦死してしまいますが、魂(意思)だけとなってからのカツとサラの関係も(カミーユを通して)描かれました。これをどのように受け取るかは、意見の分かれるところかもしれません。

■12年後まで深い傷を残す

躍動感のある姿のクェス。バンプレスト「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア クェス・パラヤ フィギュア」 (C)創通・サンライズ

 映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)に登場し、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』で主人公を務める「ハサウェイ・ノア」は、文字通り「宿命の女性」に振り回された結果、人生が大きく狂ってしまったといえるでしょう。

 ハサウェイは、同年代の少女「クェス・パラヤ」とシャトルで相席したことをきっかけに知り合います。ところがクェスは、ネオジオン総帥となっていた「シャア・アズナブル」に惹かれ、身を寄せてしまいます。

 クェスを取り戻そうと戦場に出たハサウェイは、その眼前で、味方であるチェーン・アギの攻撃によりクェスを失います。取り乱したハサウェイは混乱のなか、チェーンを殺してしまうのでした。小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(著:富野由悠季)では、知り合う経緯こそ同じものの、最後はハサウェイが自らクェスの乗る機体を撃墜しています。

 いずれにせよ、その12年後を描く『閃光のハサウェイ』の時代まで、ハサウェイの心中に深い傷を残す出来事となっています。本作で出会ったヒロイン「ギギ・アンダルシア」にクェスの幻影を重ねるシーンには、ゾクッとさせられた人も多いことでしょう。

 悲しい結果に終わってしまう話ばかりですが、どれだけ振り回されても相手を大切に思い続けるさまは、まさに恋は盲目といった感じなのかもしれません。

(LUIS FIELD)

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