「ガンダム」シリーズだけじゃない! サンライズの異色作4選「想像超える」「先駆的」
マグミクス / 2024年4月26日 6時25分
■ロボットだけじゃないサンライズアニメの魅力!
バンダイナムコフィルムワークスのアニメ制作スタジオであるサンライズは、「機動戦士ガンダム」シリーズを筆頭に数々の名作を世に輩出し続けており、その作風は多岐にわたっています。例えば今年でアニメ放送20周年を迎えた『ケロロ軍曹』や、2024年3月20日よりディズニープラスで配信が始まった『SAND LAND: THE SERIES』なども制作に携わっていました。
そのチャレンジ精神は、ほかのアニメ会社では見られないような画期的なアイデアを生むことも珍しくありません。これまでアニメファンを驚かせてきた異色作の数々を振り返ってみましょう。
●画期的なマーケティングで話題に!『TIGER & BUNNY』
バディヒーローアニメの「TIGER & BUNNY」シリーズは、2015年にバンダイナムコピクチャーズへ移管される前は、サンライズが制作していた作品です。当時は珍しかった3DCGをフル活用しているうえに、中年のおじさんが主人公という異色作で、2011年にTVアニメ第1期が放送された際には大きな反響を呼びました。
さらに斬新だったのは、スポンサー付きヒーローのアイデアです。作中のヒーローたちは、F1カーのようにスポンサーのロゴが記されたコスチュームに身を包み、街を守りながら広告塔の仕事もこなすのでした。
しかもそのスポンサーは実在の企業で、主人公の「鏑木・T・虎徹(ヒーロー名:ワイルドタイガー)」の衣装にはソフトバンク、「アントニオ・ロペス(ヒーロー名:ロックバイソン)」の衣装には牛角など、多様な企業名が画面に映り込んでいました。
この作中にさりげなく登場させる手法は、マーケティング用語で「プロダクトプレースメント」と呼ばれ、ハリウッド(アメリカ映画界)では定番となっています。日本のアニメでも、新海誠監督の映画『天気の子』(2019年)で大々的に導入されていました。『TIGER & BUNNY』はそれに先駆けること4年、かなり先駆的な試みだったのではないでしょうか。
●豪華すぎる悪ふざけ! 『銀魂』の「蓮蓬篇」
ハチャメチャな内容のギャグアニメとして人気を集める『銀魂』の1期、2期もサンライズが制作していました。同作に関する逸話は数えきれないほど存在するなか、ここで注目したいのは主人公の「坂田銀時」たちが幻の傭兵部族である「蓮蓬(れんほう)」と戦う「蓮蓬篇」です。
このエピソードは原作の時点で『機動戦士ガンダム』のパロディが満載でした。アニメとなって、どこかで見たことがあるデザインの兵器が多数登場したり、「アムロ」と「シャア」でおなじみの声優、古谷徹さんや池田秀一さんが参加したりと、さらに「悪ふざけ」が加速しています。
ほかにも「頑侍(ガンサム)」というロボットの出撃シーンでは、「ガンダム」シリーズ初代の主題歌『翔べ!ガンダム』が流れるという掟破りの演出も見られました。ちなみに、歌詞に登場する「ガンダム」には、自主規制音が入っています。
まさにサンライズでなければ許されないアニメといえるでしょう。作中では、その力の入れ具合から「通常の3倍」の予算がかかった……というネタも語られていました。
■怒涛のマシンガントークから異世界飯と現実のまで
画像は、食欲を刺激する『異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~』 (C)蝉川夏哉・宝島社/古都アイテーリア市参事会
●現実の胃袋に訴えかける『異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~』
近年、異世界ファンタジーにグルメ要素を融合したアニメが多数生み出されています。そのなかでも「飯テロ」に振り切っていたのが、2018年放送の『異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~』でした。
中世ヨーロッパ風の異世界とつながった居酒屋が舞台となっており、怠け者の衛兵やお忍びの聖職者、ギルドマスターなどが訪れ、絶品料理に舌鼓を打っていくというストーリーです。
面白いのは料理提供シーンで、まるで食レポ番組のようなテロップが表示されることでしょう。例えばイカソーメンの場合には、「ねっとり食感と爽やかさの融合。ちゅるんといきましょう」といった具合です。
ほかにもおまけとして、タレントのなぎら健壱さんが居酒屋を訪ね歩き、その回に登場した居酒屋メシを実食する実写コーナーが用意されるなど、アニメと現実の垣根を払拭するような取り組みが行われていました。
●声優の熱演をたっぷり堪能できる『波よ聞いてくれ』
沙村広明先生によるマンガを原作としたアニメ『波よ聞いてくれ』は、サンライズとして、かなりの異色作でした。
同作は失恋でやさぐれたスープカレー屋のアルバイトである「鼓田ミナレ」が、ひょんなことからラジオパーソナリティとしてデビューするというストーリーで、リアル路線の現代劇です。
『機動戦士ガンダム』のようなロボットものではなく、『ラブライブ!』のような、歌って踊るアイドルものでもないため、アニメファンの間では「サンライズってこういうアニメも作るんだ」「めちゃくちゃ意外」と驚きの声があがっていました。
また作品の構成も斬新で、第1話では本編約24分のうち、6割から7割の時間を使ってミナレの「マシンガントーク」が流れます。ミナレ役の杉山里穂さんによる熱演も相まって不思議な迫力を感じさせるシーンとなっており、多くの視聴者の心をわしづかみにしました。
サンライズについて、「ガンダム」シリーズのイメージが強いという人は多いかもしれませんが、こうして考えると多様なジャンルでさまざまなことに挑戦していることがうかがえます。だからこそ、サンライズはいまでも多くのアニメファンから全幅の信頼を寄せられているのかもしれません。
(ハララ書房)
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