『ダーティペア』の衝撃 「アニメは卒業しようかな」少年をTVに引き戻した
マグミクス / 2020年2月2日 7時10分
■ユリとケイ『ダーティペア』の衝撃的なビキニスタイル
1985年に放送されたTVアニメ『ダーティペア』は、ユリとケイ、ふたりの美女が披露する華麗なアクションとそのセクシーな衣装で注目を集めました。小学生の頃に『ダーティペア』に出会い、ユリとケイの魅惑の双丘と脚線美の虜になってしまったライターの早川清一朗さんが、当時の衝撃を語ります。
* * *
TVアニメの『ダーティペア』は1979年に作家の高千穂遙氏が発表を開始したSF小説シリーズを原作に製作されています。2019年には原作開始40周年を記念してBlu-ray BOXが発売されました。2020年は、TVアニメ放送からちょうど35年にあたります。
筆者が『ダーティペア』に出会ったのはちょうど小学校高学年の頃。ほぼビキニスタイルの美女であるユリとケイが未来の宇宙で大暴れしている光景は、まさに衝撃でした。
今でこそ露出の多い女性アニメキャラは数えきれないほどいますが、当時だと『うる星やつら』のラムちゃんくらいしか心当たりがありません。実写なら東映版『スパイダーマン』のアマゾネスが印象深いキャラクターでしょうか。
とにかくすごく綺麗なお姉さんが胸の谷間とお腹、太ももを惜しげもなくさらしているのです。思春期を迎えかけていた少年が興味を持たないわけがありません。今はどうなのか分かりませんが、当時は「アニメは子供が見るもの」という風潮があり、筆者も「アニメはそろそろ卒業かな……」と考えていました。しかし『ダーティペア』を偶然見てしまったことにより卒業は一旦保留することにして、毎週月曜日の19時になるとTVの前に陣取って動かない小学生と化したのです。
こうして見始めた『ダーティペア』ですが、お色気だけではなく専用の宇宙船「ラブリーエンゼル号」などのメカニックや、アクションは見ごたえがありました。またストーリーも、『うる星やつら』で頭角を現し、後に『機動警察パトレイバー』を手がける伊藤和典さんや、『スーパー戦隊シリーズ』や『仮面ライダーシリーズ』で名を馳せた井上敏樹さんらが参加しており、非常にレベルが高いものでした。
■OP・EDはアニメ歌手の地位が低くみられていた時代の名曲
『中原めいこ ツイン・ベスト』(EMIミュージック・ジャパン)
『ダーティぺア』で特に印象に残っているのがオープニングとエンディングです。オープニングの『ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット』はテンポが良い曲で、作品の世界観とユリとケイのキャラクター性を存分に描き出した傑作です。
エンディングの『宇宙恋愛(スペースファンタジー)』は、今まで観ていたアニメとは数段違う世界を見せてくれました。車の運転席のような場所に乗り、曲に合わせて左手の指でハンドルをたたきながら宇宙に浮かび上がる光の道路を走る光景は、本当に未来の大人はこういった世界を生きているのではないか? と思わせるものでした。
最後、実はユリとケイがラブリーエンゼル号に乗っていることが分かり、光と化して遠くへと消え去るシーンでエンディングは終了します。曲とアニメーションが溶け合った、とても美しい終わり方です。
どちらの曲も歌っているのは中原めいこさん。1980年代に活躍したシンガーソングライターです。実は『宇宙恋愛』は『ダーティペア』放送の2か月ほど前に発売された中原さんのレコードアルバムに収録されています。アニメのために作られた曲が先行して収録されたのか、中原さんの曲をアニメに転用したのかは不明です。いずれにせよ、まだアニメーションの歌手の地位が低く見られていた時代に名曲を送り出してくれたことには感謝しかありません。後に筆者は成人後に車に乗って『宇宙恋愛』を聞きながら高速道路を疾走してみたのですが、まるで自分が『ダーティペア』のエンディングの世界にいるかのような感覚を抱いたのをよく覚えています。
さて、『ダーティぺア』のTV放送は24話で終わり、その後は多くのOVAが作られました。
2019年に発売されたBlu-ray BOXにはこれらすべてが収録されているだけではなく、ユリ役の島津冴子さんとケイ役の頓宮(とんぐう)恭子さんによる、オーディオコメンタリーが収録されています。筆者もまだ聞けていないのですが、果たして久々の再開となったユリとケイがどんな話をしているのか楽しみで仕方がありません。
(早川清一朗)
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