【漫画】「貧弱そうなコンビニ店員」が万引き犯を返り討ち→実は「最強」でした!【作者インタビュー】
マグミクス / 2024年6月12日 11時10分
![【漫画】「貧弱そうなコンビニ店員」が万引き犯を返り討ち→実は「最強」でした!【作者インタビュー】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_230094_0-small.jpg)
■異色バトルマンガはどう生まれた?
「あ…あの ポケットの中見せていただいてもよろしいでしょうか…?」
立川のコンビニ店前。貧弱そうな丸メガネの店員が、万引きしたと思われる不良集団を呼び止めます。すると、「舐めてんのか てめぇ」と不良は逆上し、しまいには胸ぐらをつかんで店員に殴りかかろうとします。「ぎゃああ!!」と響き渡る悲鳴。店員がやられた……と思いきや、倒れていたのはまさかの不良のほうで――!?
丸山恭右さんがスマートフォン・PC向けマンガサービス「サイコミ」にて連載中の『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』は、『川島・山内のマンガ沼』(読売テレビ)や『アメトーーク!』(テレビ朝日)でもオススメ作品として紹介された異色バトルマンガです。「最強」を求める全ての格闘家・闘技者が辿(たど)り着くコンビニ店員ツヨシと、彼を取り巻く人物を描きます。「貧弱そうな丸メガネの店員が実は最強だった」という第1話の強烈な導入で、多くの読者の心をつかみました。
本作は2024年5月に第1章が終了し、休載を経て6月から新章が連載開始されます。作者の丸山恭右さんに、本作誕生のきっかけや主人公「川端強」の描き方など制作秘話を訊きました。
『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』第1巻表紙(小学館)
――「立川のコンビニ店員がまさかの最強だった」という強烈な導入やキャラの魅力で、多くの読者から支持を集めています。本作品が誕生したきっかけは?
『イップ・マン 序章』という映画を観たのがきっかけでした。中国拳法の達人が強者たちをどんどん倒していく爽快な映画なのですが、それに憧れて、太極拳教室に通いました。太極拳は、中国を代表する武術流派のひとつです。
極めると、「気」というものを使い、筋力に関係なく、自分よりも図体の大きい人を吹き飛ばすことができるそうです。さらに、「内部破壊」といって、内臓にまでダメージを与える強烈な威力を持つパンチを撃つことができるらしいという夢のような武術でした。
そんなマンガのような設定に惹かれ、すぐにのめり込みました。しかし、半年経っても全く強くなれる気配がなく、それを当時の担当編集さんに話したところ、めちゃくちゃに笑われ、こう言われました。
「太極拳なんかで強くなれるわけ無いじゃんww」
呆然です。そして見せられたのが、総合格闘技の選手にボコボコにされる太極拳使いの人の動画。僕はとんでもないショックを受けました。自分のこの半年はなんだったのか。
でも、中国は日本の人口を遥かに凌ぐ大国です。たまたまその人が弱かっただけかもしれない。そう思い、本当に強い太極拳使いの人を探しましたが、なかなか見つけることができません。
そして、無敗を極めるプロの格闘家ですら、「実戦で『気』を使うには無理がある」と言っている始末。
マンガのような武術は、本当にフィクションの中だけだったようです(※真相はわかりません)。それがきっかけで、「逆に太極拳使いが世界最強で、コンビニ店員(メジャーだけど一番強くなさそうな職業)だったらめちゃくちゃ面白くないか?」という話になり、ツヨシというキャラクターが生まれました。
――今作を描くうえで気を付けた点や、お気に入りシーンなどはありますか?
『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』を描くうえで気をつけているのは、バカバカしいことをどれだけ真面目に描けるか、ということです。
主人公は太極拳使いで、世界最強で、コンビニ店員ですが、さらに金的で相手を倒しにいくという個性を持っています。人生をかけ、強さに全てを捧げてきた者たちが片っ端から金的で倒されていきます。そんな無惨なことはありません。
これをあえて超真面目に描くことで、謎の空気を醸し出すマンガになったような気がしています(笑)。
お気に入りのシーンは、星崎というキャラが山ごもり修行に行った先が、ただの豪華な別荘だった回です。過去一いいネームが描けたと思いました(笑)。
■主人公「川端強」を描くうえでの工夫は?
相手の金的を狙う容赦のない主人公「川端強」。画像は『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』第1話より
――主人公「川端強」というキャラクターを描くうえで心がけていることは何ですか?
ツヨシの感情は極力他の誰かの視点から描くようにしています。
これは元々初めから、原作であるZooさんと話して決めていたことです。ツヨシはこの作品において特別な立ち位置にいます。
超陰キャの主人公が強過ぎる、なんで!?という引きがこの作品の面白さの軸になる部分でもあるので、さらし過ぎると物語が一気につまらなくなってしまいます。そのため、ほとんどのシーンでツヨシの深い部分の気持ちは、ツヨシ目線では描かないように工夫しています。
おかげでツヨシというキャラの価値が作品内で少しずつ上がってきたように思います。
――丸山先生は、実際に格闘技を習われています。格闘技を行う理由と、その経験が本作にどのように活かされているかを教えて下さい。
シンプルに健康になりました(笑)。週刊連載はやはり仕事量的に引きこもりになるので、運動する機会があるのはすごくいいですね。腰も痛くなりませんし、生産性にもつながっています。マンガ家と格闘技は相性いいのかもしれません。
また、実際に格闘技を習うことで、パンチしている絵に腰が入るようになりました(笑)。手打ちだと弱そうなキャラに見えてしまいます。
フォームも実際に体験してみるのとしないのとでは、全然絵が違っていたと思います。取材の大事さを身を持って体感しました。また、原作のZooさんとシナリオの内容を打ち合わせしている時に、実戦を想定して動きながら内容を考える、ということにも活きています。
複雑な攻撃のやり取りは脳内の中だけでイメージするには限界があります。こう動いたらこう動くよね、そしたらこうするよね、と言いながらキャラを動かしていくと、思いもしなかった展開が生まれることがあります。
実際に格闘技をやっていなかったら、この打ち合わせはできなかったと思います。
――丸山先生がマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。
小畑健先生への憧れはかなり大きいです。初めて『DEATH NOTE』を読んだ時、内容も絵もここまで完璧なマンガがあったのか……と衝撃を受けたのを今でも覚えています。その後、『バクマン。』にドハマリし、マンガ業界に足を踏み入れました。
深い感銘を受けた経験があると、多くの人が辛いと思いがちな修行の時間も楽しく思える気がします。おかげで10年以上絵を描き続けることができています。
――2024年6月には、本作の新章が始まります。どのような点に注目して欲しいですか?
「世界革命編」ということでツヨシの世界観は一気に広がります。それもあり、取材で実際に海外の大国を巡る旅をしてきました。
その経験を存分に作品に活かしたいと思っています。また、これまで活躍したキャラや、新キャラも多く登場する予定です。彼らがどのように暴れるのかはまだわかりませんが、きっと波乱に満ち溢れた展開を起こしてくれるはずです。
僕自信もどんな結末を迎えるのか楽しみにしながら執筆をしています。読者の皆さんに喜んでいただけるよう、全力で作品に向き合いたいと思いますので、どうか応援いただけますと幸いです。
『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』
(C)Kyosuke Maruyama・Zoo/Cygames, Inc.
(マグミクス編集部)
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