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『聖闘士星矢』なぜ「一度見た技は二度と通用しない」のか 例外も見られる理由は?

マグミクス / 2024年5月11日 20時25分

『聖闘士星矢』なぜ「一度見た技は二度と通用しない」のか 例外も見られる理由は?

■星矢たちの技は「通用している」…なぜ?

 ギリシャ神話の女神アテナに仕える、星座の鎧「聖衣(クロス)」をまとう「聖闘士(セイント)」が、地上の愛と正義を守るために戦うマンガ『聖闘士星矢』。聖闘士はその戦闘において、自分の中に眠る「小宇宙(コスモ)」を高めて、超常現象をも発生させうる必殺技を放つことが可能です。

 その聖闘士の戦闘の中でも不思議なのは、「聖闘士には一度見た技は通用しない」という設定です。たとえば、主要キャラクターのひとり「白鳥星座(キグナス)の氷河」は、師匠である黄金聖闘士「水瓶座(アクエリアス)のカミュ」の最大の拳「オーロラエクスキューション」を受けて、一度は仮死状態になりますが、二度目の対戦以降は全く致命傷を受けなくなります。

 このルールは、神が相手でも適用されます。「龍星座(ドラゴン)の紫龍」と氷河は、「眠りを司る神ヒュプノス」の必殺技「エターナルドラウジネス」を受けますが、「聖闘士には同じ技は二度も通じん」と言って、技を破り勝利するのです。

 その一方で「同じ技が二度通用する」描写も多々あります。主人公である「天馬星座(ペガサス)の星矢」と戦った紫龍は、その必殺技である「廬山昇龍覇(ろざんしょうりゅうは)」を何度も放ち、そして最初の1発以降もダメージを与えていますし、星矢の「ペガサス流星拳」も最初は通用しないものの、後になってヒット数が増え、明らかに二度目以降も通用しています。

 氷河が黄金聖闘士である「蠍座(スコーピオン)のミロ」と戦った時には、ミロの必殺技であり「15発撃ち込む」という「スカーレットニードル」を氷河は14発受けて、瀕死となります。「同じ技が通用しない」なら、2発目以降は全く通用しないはずなのに、これはどういうわけでしょうか。

 星矢はじめ上述した氷河、紫龍、「アンドロメダ星座の瞬」および「鳳凰星座(フェニックス)の一輝」たち5人の主要キャラクターが繰り広げる戦闘は、「星矢たちの技は最初、通用しないが、後々になって小宇宙を高めて放った技で逆転する」という展開が多く見られます。そのため、彼らが例外なのではないか、とも考えてみましたが、上で触れたミロのスカーレットニードルは、のちに「冥闘士(スペクター)」となった元黄金聖闘士である「サガ」「カミュ」「シュラ」にも14発撃ち込んで通用していますから、どうも違うようです。

 また、黄金聖闘士の「双子座(ジェミニ)のカノン」は、冥闘士である「天猛星(てんもうせい)ワイバーンのラダマンティス」の必殺技「グレイテストコーション」を「一度見た技は通用しない」と、一度は完璧に破ります。ただ、「嘆きの壁」で黄金聖衣が共鳴し、カノンが聖衣を脱いだ後は、同じ技でも通用するようになりました。星矢たちだけが特別、というわけでもないようです。

 つまり二度目以降が、「通じない」時と「通じる」時がある、と考えられるわけです。

「15発打ち込む」の意味するところは…「聖闘士聖衣神話EX スコーピオンミロ ~ORIGINAL COLOR EDITION~」(BANDAI SPIRITS) (C)車田正美/集英社・東映アニメーション

●聖闘士たちの技の大元はすべて「小宇宙」!

 ひとつだけ間違いないと思われるのが、「技を放つ者の小宇宙が高まると、技名が同じでも、同じ技とは見なさない」ということです。白銀聖闘士「蛇遣い星座(オピュクス)のシャイナ」や前出の「サガ」は、星矢のペガサス流星拳の速度がだんだんと高まって、最後に技をくらっていますから、これは間違いないでしょう。

 恐らくスカーレットニードルも、15発全てが違う小宇宙や動きで放つ技であり、「同じ技」ではないのかもしれません。1発ごとに小宇宙のこめ方を変えているからこそ、光速で「1秒間に1億発」の拳を放てるはずの黄金聖闘士が、一瞬で15発全てを撃ち込めないということです。

 そして、聖闘士は相手の聖衣を見ただけで、何座の聖闘士なのか間違えることなく言い当てています。各自の持ち技についても教育されていると考えていいでしょう。

 音速や光速の拳を放つ聖闘士の技は、普通に考えて、喰らったら絶対に助からないはずです。つまり、聖闘士は「相手の技をどう防御するか」を重点的に会得するのでしょう。聖闘士の超人的な拳は、各自の腕力で放っているわけではありません。それは青銅聖闘士「大熊星座(ベアー)の激(げき)」が、怪力で放つ「ハンギングベアー」で星矢を締め上げた際に、星矢は小宇宙を高めて脱出していることでもわかります。

 であるなら、聖闘士は相手が使う技を見て「小宇宙がどう動いているのか」の波長のようなものを感じ取り、自分の小宇宙をぶつけて干渉することで、その技が正しく発動しないようにできるのでしょう。

 その精度が非常に高いから「一度技を見ると、同じような強さの小宇宙で技を放ってきた場合は、小宇宙で技に干渉して失敗させられる」のだと思います。そして必殺技は「小宇宙をどう動かすのか」の手順を踏んで発動するので、格下の弱い小宇宙であろうと、一度でも技を見られた場合は技に干渉されるということです。干渉には小宇宙の強さは不問だから、青銅聖闘士の紫龍たちが、ヒュプノスの技を止められるのでしょう。

■「小宇宙」は「変質するもの」だとすれば…?

師匠であるカミュとの死闘は屈指の名勝負。「聖闘士聖衣神話EX キグナス氷河(最終青銅聖衣)」(BANDAI SPIRITS) (C)車田正美/集英社・東映アニメーション

 加えて星矢たちのように、戦闘中に著しく成長する聖闘士は、小宇宙の性質自体が変わるのではないでしょうか。その結果、一度見られた技でも通用するようになるのでしょう。この原理を全聖闘士が学んでいるなら、同じ技を使った星矢たちに、対戦相手が「一度見た技は通用しない」と宣言しない理由が説明できます。

 内心で「こいつが戦闘中に成長し、技の性質を変えられるタイプの聖闘士か。これは同じ技とは言えんな」と思っているのでしょうし、逆に星矢たちが「一度見た技は通用しない」と言っているタイミングは「(前に技を受けたときと同じ強さ、波長の小宇宙だから)聖闘士には一度見た技は通用せん」と発言している、ということです。

 なお、劇中でカミュは、自分の必殺技であるオーロラエクスキューションを氷河が放とうとした際、氷河に対し「オーロラエクスキューションは凍気を無限大に発揮する、カミュ最大の技と言ったはず。一度や二度、その身に受けたからといって、やすやすと真似ることなどできん」と言っています。

 このセリフから考えて、オーロラエクスキューションは「凍気が高まり続けることで、技の波長が無限大に変化し続ける」技なのでしょう。だから、氷河に「聖闘士ならば一度見た技は二度と通用しない。そう貴方に教えられたはず」と言われた後でも、この技を放つことを選んだのです。

 つまり、カミュは弟子を前に、自分が教えたことを忘れているような人物なのではなく、技の裏付けとなる小宇宙の波長を変化させる技術に自信があったということでしょう。しかし、氷河は敬愛するカミュの凍気を完璧に理解しており、無限大に変化した凍気に波長を合わせ、それを上回る絶対零度の凍気でカミュを倒した、ということだと思われます。

 その波長は、聖衣を身に着けることでより正確に感じ取れるのでしょう。だから黄金聖衣を脱いだカノンは、グレイテストコーションの波長を読み違え、三度目の技を喰らったのだと考える次第です。

(安藤昌季)

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