「なんというオチ」「きつ過ぎる」 アニメ映画が観客に与えたいろんな「トラウマ」
マグミクス / 2024年5月14日 19時55分
■箱のなかで脈打つ心臓はエグすぎる
ファミリー向けの内容が多いアニメ映画ですが、たまにトラウマになるほど恐ろしい描写、展開が話題になる作品もあります。R指定になった作品もあれば、過激な描写はなく全年齢向けながら、まさかの展開で観客に衝撃を与えたアニメ映画もありました。今回はそんなさまざまな「トラウマアニメ映画」を振り返りましょう。
※この記事には『メイドインアビス 深き魂の黎明』『アシュラ』『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』のネタバレが含まれています。
●『メイドインアビス 深き魂の黎明』
かわいい絵柄と、それに似合わぬハードな内容の冒険物語で人気を博したアニメ『メイドインアビス』は、2020年に劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』が公開されました。TV版の1期と2期をつなぐ作品として制作されており、1期の段階でトラウマになりそうな描写もあったため、ハードな内容を覚悟して観た方も多かったのではないでしょうか。映画は公開直前に、R15+指定の年齢制限が付けられました。
どこまでも続く深い大穴「アビス」、主人公の「リコ」はこのアビスに挑んで帰らぬ人になったはずの母親から届いた封書をきっかけに、母親に会うため機械の身体を持つ「レグ」とアビスに挑みます。劇場版の物語は、リコとレグに「ナナチ」を加えた3人が、アビスの「深界5層」に到達するところから始まりました。
深界5層に設置された全線基地(イドフロント)にて3人は、探掘家の最高峰である「白笛」の「ボンドルド」と出会います。彼が発明した「カートリッジ」は、「上昇負荷」というアビスの「呪い」を受けなくなる画期的な装備でした。しかしその正体は、子供から脳と脊髄と最低限の臓器以外の全てを削ぎ落とし、生きたまま箱詰めにして呪いを代替させる装置だったのです。
あまりにもおぞましいこの発明品だけでドン引きした人も多いでしょうが、さらにボンドルドは物語終盤で、娘の「プルシュカ」までこの「カートリッジ」に加工しています。リコたちとプルシュカが、深い友情を育んでいただけに、この展開はかなりきついものがありました。また、彼女が「カートリッジ」に加工される場面や、「カートリッジ」のなかで脈打つ彼女の心臓が描かれた場面もトラウマ級です。
ただ同作は、トラウマレベルの残酷さがあるからこそ、それを乗り越えて進むリコたちに大きな感動ができる物語でもあります。映像や音楽も素晴らしい作品ですが、エグい場面を覚悟したうえでご視聴ください。
●『アシュラ』
2012年に公開された3DCGアニメ映画『アシュラ』は、ジョージ秋山先生の同題マンガが原作の作品です。その原作マンガは1970年初頭に発表され、あまりにも過激すぎる内容から長らくアニメ化不可能といわれていました。
物語の舞台は飢饉によって餓死者が大量に出ている平安時代末期で、道端に死体がいくつも転がっている地獄のような光景が広がっています。そうしたなか、ひとりの妊婦が赤ん坊を出産しました。やがて、飢えに耐えかねて人間の死体を貪るようになった女性は、ついに我が子を焼いて食べようとしたのです。寸前で我に返った女性は逃げ出し、残された子供は、人間を殺して食べるという獣同然に成長しました。
出産や子殺し、人肉食など、導入部分のエグさは飛び抜けており、このシーンだけをずっと覚えているという方も多い作品です。冒頭で殺されかけた子供は、旅の僧侶に「アシュラ」という名を与えられました。そして優しい女性と出会い、人間の営みや理性、愛情を知り、獣同然の自分という存在に苦しむようになっていきます。
導入部分はとても悲惨ですが、だからこそアシュラの苦しみに共感でき、彼が救われる方法を考えてしまう物語展開は秀逸でした。また、同作は『ドラゴンボール』の孫悟空役で知られる野沢雅子さんや。『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイ役を務めた林原めぐみさんなど、キャストがかなり豪華なことでも有名です。特に、アシュラという重い設定のキャラクターを演じた、主演の野沢雅子さんの演技は必見です。
■え? 国民的RPGの映画でまさかのオチ
●『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』ポスタービジュアル (C)2019「DRAGONQUEST YOUR STORY」製作委員会 (C)1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
国民的RPGシリーズの1作『ドラゴンクエストV』をベースにした、3DCGアニメ映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は2019年に公開されました。基本的には王道冒険ファンタジーで、残酷描写もありませんが、物語の最後に仕掛けられたどんでん返しによって、衝撃を受けたファンも多かったようです。
冒頭から『ドラクエ』シリーズでおなじみのすぎやまこういち氏による音楽の流れるなか、父親である「パパス」との別れ、奴隷生活、モンスターの仲間、花嫁候補である「ビアンカ」と「フローラ」の選択など、『ドラゴンクエストV』をプレイしたことがある方なら、懐かしさに涙腺を刺激される内容が続きました。3DCGで描かれたファンタジー世界の美しさも想像以上で、素晴らしい没入感を体験できます。
しかし、主人公たちがパパスの仇を激闘の末に倒したタイミングで、ラスボスである「ミルドラース」に擬態した「コンピュータウイルス」を名乗る存在が現れたのです。そして、この映画が、VRゲームとしてリメイクされた『ドラゴンクエストV』をプレイしている、現実の人間の物語だったことが明かされます。
さらに、このウイルスは「これはただのゲームだ」「大人になれ」と訴えかけてくるのです。この展開は、すでに大人になっており、懐かしさを求めて映画を観にきた観客にショックを与え、「そんなことは分かってる」「現実に戻さないで」「思い出が壊された」など、公開以来、多くの否定的な意見が聞かれます。
もちろんそのまま主人公が現実に戻る、というようなことはなく、ちゃんとミルドラース(ウイルス)を倒すのですが、終盤の展開が原因で『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の評価は芳しくないものとなりました。「当時ドラクエ5やってた世代は涙腺崩壊する場面が多数あると思う これから観る方へのアドバイス ゲマ倒したらすぐ鑑賞をやめること」「前半めっちゃ面白かった! テンポもいいし、ドラクエを3Dで再構築した映像がハマってた。でも衝撃のラストはトラウマ級」「ラストは子供が観たらトラウマものかもしれないが、大人向けのSFとして観ればいい」など、褒めるにしてもラストについては苦言が出てしまっています。
『ドラゴンクエストV』を未プレイの方や、メタ作品だと割り切れる方は、『ドラゴンクエストV』の映画として観ない(プレイしている人の物語として観る)ことを前提に、各種配信サイトで視聴してみてはいかがでしょうか。
(SU_BU)
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