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『鬼滅』水柱・冨岡義勇はなぜ周りに嫌われるのか? 「打ち解け度数」があまりに低い!

マグミクス / 2024年5月14日 21時55分

『鬼滅』水柱・冨岡義勇はなぜ周りに嫌われるのか? 「打ち解け度数」があまりに低い!

■冨岡義勇が「だからみんなに嫌われる」理由とは?

 2024年5月12日よりTVアニメ『鬼滅の刃』柱稽古編の放送がスタートし、あらためてその魅力にうっとり浸っている方も多いのではないでしょうか? 「柱稽古編」は、鬼の始祖である「鬼舞辻無惨」や「上弦の鬼」たちとの決戦を前に、主人公の「竈門炭治郎」ら一般隊士が鬼殺隊剣士の最上位である「柱」たちに稽古をつけてもらう、というのがメインストーリーです。そのため、これまであまり知られてこなかった柱たちの意外な「人となり」や、人間関係を垣間見ることができます。

 柱たちや鬼殺隊全体がこれまで以上に強い結束を必要とする状況にもかかわらず、孤立してしまったのが「水柱」である「冨岡義勇」です。この記事では「なぜ、義勇は周りに嫌われてしまうのか」を考えます。

 義勇は、炭治郎と妹の「禰豆子」が初めて出会った鬼殺隊の隊士であり、禰豆子の可能性を信じ、炭治郎を鬼殺隊へと導いた人物です。この出会いのシーンで義勇は炭治郎に自分の任務や鬼についての説明をし、「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」と叱りつけたため、義勇に対して「しゃべらない」というイメージを持った人は、それほど多くはないでしょう。さらに、厳しい態度をとりながらも、禰豆子を信じるという柔軟さや、「鱗滝左近次」に炭治郎を頼むという親切なところも、義勇の好感度をアップさせたはずです。

 しかしその後、「那田蜘蛛山」の戦いで「蟲柱」である「胡蝶しのぶ」から、義勇について衝撃的な発言が飛び出します。

「そんなだからみんなに嫌われるんですよ」

 これは、人と鬼が「仲良くすればいい」というしのぶに対して、「鬼が人を喰らう限りは」仲良くすることは無理だといったにもかかわらず、鬼である禰豆子をかばった義勇への言葉です。それに対して、義勇はこれまでのいきさつを語るでもなく、禰豆子の特異性について語るでもなく、ただ「俺は嫌われてない」と静かに真顔で答えるのです。

 その言葉を聞いた炭治郎は、「え!? そっちの話?」といったふうに驚き、しのぶも、「え!? 気付いていないの?」といわんばかりにビックリ……。そして、その後も説明しないまま、しのぶを抱え込んで動けなくしたり、説明し始めたかと思えば2年前の出会いからの長い話をしようとしたりで、義勇が「会話によるコミュニケーション下手」であることが明らかになるのです。

 さらに、その後の炭治郎と禰豆子の処分をめぐっての「柱合会議」では、何も語ろうとしない寡黙な義勇に対して、「蛇柱」の「伊黒小芭内」や「風柱」の「不死川実弥」が責任追及する場面もあり、柱のなかでの彼の立場が浮き彫りになります。「超」が付くほど個性的な柱たちのなかにあって、古参であるにもかかわらず、義勇はひたすらその気配を消しているようでした。

 そして、「柱稽古編」では、この義勇の「会話によるコミュニケーション下手」がとんでもない事態を招くことになります。

※次ページ以降、まだアニメ化されていないシーンの記述があります。原作マンガを未読の方はご注意下さい。

■「打ち解け度数」は柱のなかで最低!

TVアニメ『「鬼滅の刃」柱稽古編』第1弾キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 冨岡義勇は、集英社「週刊少年ジャンプ」誌上で行われた『鬼滅の刃』の公式人気投票で、1回目では4位、2回目では2位を獲得するほどファンの間での人気が高いキャラクターです。しかし、ほかの柱たちからすると、彼はけして好人物とはいいがたいようです。『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』の「柱相関言行録」というコーナーで、柱たちが義勇についてどう思っているのか、抜粋してご紹介します。

・「もう少ししゃべった方がいいと思う」(蟲柱・胡蝶しのぶ)
・「声が小さくて聞き取りづらい!」(炎柱・煉獄杏寿郎)
・「辛気臭い」(音柱・宇髄天元)
・「置物みたい」(霞柱・時透無一郎)
・「無口」(恋柱・甘露寺蜜璃)
・「嫌い」(蛇柱・伊黒小芭内)
・「嫌い」(風柱・不死川実弥)
・「さすがに口下手すぎ」(岩柱・悲鳴嶼行冥)

 ハッキリと「嫌い」といっているのは、実弥と伊黒のふたりです。彼らは、「自分はあなたたちと違いますみたいな感じが鼻につく」(実弥)、「拙者不幸でござるみたいな顔しててムカつく」(伊黒)と説明しています。

 また、しのぶをはじめ、煉獄さんや悲鳴嶼さん、無一郎は義勇の無口ぶりを指摘していますが、それでも彼らは義勇を嫌っているというわけではないようです。煉獄さんは、「努力家!」と義勇を評価していますし、蜜璃は「もじもじ」していることも「可愛い」と受け取っていてくれます。ただ、「全体的な打ち解け度数」は、柱のなかで最低の30%。やはり「寡黙すぎる」ことが、ほかの柱たちと打ち解ける障壁になっているようです。

 その一方で義勇自身は、しのぶや煉獄さん、蜜璃、悲鳴嶼さんは、「よく話しかけてくれる」ことで好意を感じています。義勇に対して怒りをむき出しにする実弥のことは「怒りっぽい」、口撃が厳しい伊黒に対しても「悪口を言われて悲しい」と、嫌ってはいないばかりか、彼らに「嫌われている」のも実はよく分かっていないのかもしれません。

「柱稽古編」でも緊急柱合会議の場から早々に去ろうとする義勇に対して、実弥と伊黒が怒りをあらわにします。義勇が「寡黙すぎる」だけでなく、「余計なひと言が多い」ことも、実弥や伊黒に彼が嫌われる原因のようです。この時は、実弥に「簡単な頭」といっていますし、強引に退出することをしのぶに「さすがに言葉が足りませんよ」とたしなめられても、「俺はお前たちとは違う」と言うだけで、自身の言動の理由を語ることはありませんでした。

 悲鳴嶼さんが空気を震わせるほどの大きな音で手を打って、皆に着席をうながしても、義勇だけはその場を離れてしまいます。ただ、それでもまだ、実弥に「嫌われている」とは思っていない様子が、のちに描かれます。

 実弥との手合わせの後、炭治郎の天然すぎる発言で実弥の好物を知った義勇は、実弥に会った時に好物を贈って「仲良くなろう」と計画するのです。「きっと仲良くなれると思う」と、珍しく「ムフフ」と笑顔を見せる義勇は、「嫌われなくなると思う」ではなく、「仲良くなれると思う」というところに、嫌われている自覚がないことが分かります。でも、このような「天然すぎるところ」も、実弥や伊黒に嫌われる原因のひとつかもしれません。

「柱稽古編」では、そんな義勇の悲しい過去や心の傷など、彼の人格形成にまつわるエピソードや変化も描かれます。義勇ファンでなくとも、楽しみにしている方は多いでしょう。

※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記
※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記

(山田晃子)

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