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悪人でも上司としてはベスト? ジャンプの「悪役集団」に転職するなら

マグミクス / 2024年5月14日 17時25分

悪人でも上司としてはベスト? ジャンプの「悪役集団」に転職するなら

■自分の欲求をごまかさずに生きてみたい

 マンガに登場する悪役集団には、正義の味方にはない不思議な魅力があります。なぜ法やモラルを無視した組織に惹かれてしまうのでしょうか。「週刊少年ジャンプ」の作品から、謎の魅力の正体について考えてみます。

●『ドラゴンボール』のフリーザ軍

 世界的人気マンガ『ドラゴンボール』に登場するフリーザ軍は、銀河に悪名高き武装集団です。リーダーのフリーザ以下、複数の異なる種族の宇宙人が協力して惑星を制圧したり、強奪したりと、高度に組織化されているのが特徴です。

 フリーザ軍の魅力は、リーダーのフリーザ個人によるものが大きいといえるでしょう。彼は圧倒的な戦闘力を誇る戦士でありながら、同時に組織運営者としての一面もあります。

 フリーザは論理的に明確で、一貫性のある指示を出しています。彼の態度には曖昧な点がないため、部下にストレスフルな「察し」を要求しないのです。以前、フリーザは理想的な上司であるというネットミームが流行ったのも分かります。

 しかし、それは任務に失敗した時のことを考慮していない評価だと言えるでしょう。ナメック星では、ドラゴンボールを持って逃げたベジータが見つからないザーボンに対し、「もしこのままおめおめと逃げられてしまったとしたら、あなたに責任をとって死んでいただきますからね!!」など、容赦のないペナルティを課しています。

 やはり悪事を生業とする組織に、合理的な運営は似合いません。悪のロマンを失い、ただの企業に成り下がってしまうからです。フリーザ軍には究極の「シバキ主義」こそふさわしいと言えるでしょう。

■個人の裁量が大きい魔王軍

『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の魔王軍

大魔王バーンが描かれた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』2年目ビジュアル (C)三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 (C)SQUARE ENIX CO., LTD.

 フリーザ軍よりも高度に組織化されているのが、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』に登場する魔王軍です。魔王軍では大魔王バーンを頂点として、魔軍司令ハドラーが不死騎団、妖魔士団、百獣魔団、氷炎魔団、魔影軍団、超竜軍団を率いています。魔王軍の組織図を初めて目にしたとき、その威容に心を打たれた読者は多いでしょう。

 魔王軍ではバーンがハドラーを飛び越えて各軍団に指示を出すことはないため、指示系統が明確で「命令一元化の法則」が守られています。業務遂行の具体的な方法は各軍団長に一任されているため、担当者の裁量が大きいのが特徴です。

 そして、魔王軍最大の魅力は太陽の光を魔界に降り注がせるという壮大なゴールを掲げて活動している、バーンのカリスマです。強大な魔力と強靭な肉体、深い叡智の持ち主であるバーンですが、部下にまで完璧を求めません。たび重なるハドラーの失敗を許し、チャンスを与える寛容さを持ち合わせています。

 失敗したものは命で償うというルールを課している悪の組織は多く、ペナルティの大きさから心理的安全性に欠けるフリーザ軍に対し、魔王軍では安心してチャレンジできるのです。バーンのようなリーダーのもとで働きたい人は多いでしょう。

●『NARUTO』の暁

『NARUTO』に登場する「暁(あかつき)」は、少人数ながらも犯罪者を含む凄腕の忍者ばかりが集まった、極めて危険なテロリスト組織です。彼らは金銭で戦争や暗殺を請け負っていますが、本当の目的は争いが絶えない世界に平和をもたらすことにあります。

 しかしその具体的な手段は極めて反社会的で、到底受け入れられるものではありません。尾獣(強力な力を秘めた尾を持つ魔獣)を集めて大量破壊兵器を作り、それを世界中にばらまくことで被害を恐れた国々が戦争を控えるようにする、というのです。かつてのリーダーの弥彦の死後、平和を目指す手段は大きく変わってしまいました。

 暁が掲げるのは世界に絶望しきった人間が、人類の最後の理性に賭けるようなビジョンだといえるでしょう。暁の魅力はおそろいの外套と笠をまとった、モラル無視の凄腕忍者集団というだけではありません。リーダーのペイン(長門)が抱えた絶望と悲壮な決意が読者の共感を呼び、多くのファンを惹きつけていると思われます。

●モチベーションが高い組織はかっこいい!

 数ある「ジャンプ」の悪役集団から大小合わせて3つを代表として取り上げましたが、彼らには共通点があります。

 魅力的な悪の組織には、モチベーションがあります。彼らは欲求に忠実で、たとえその目的が周囲に被害を及ぼすことがあっても意に介しません。正義の組織の多くが、平和という現状を維持しようとする点と対照的です。

 もちろん、現状維持を目的とする悪の組織もあります。たとえば大ヒット作『鬼滅の刃』の「十二鬼月」です。リーダーの「鬼舞辻無惨」の目的は無事に生き延びることだけであり、その手段として日光を克服する「青い彼岸花」を求め、配下の鬼たちに探索させています。

 しかし、鬼たちはすでに数百年もの長きにわたって社会に根を張っており、こっそり人間を食べながら自由に暮らしています。彼らの本当の望みは無惨を不死身にすることや日本転覆などではなく、鬼殺隊に狩られないこと、無惨の機嫌を損ねて粛清されないことだけです。

 気分屋でエゴイストな支配者「無惨」の数々の「パワハラ」に、現実を思い出してゲッソリした社会人は多いでしょう。自己保存以外の目的を持たない組織は、腐敗しやすいのかもしれません。例えその目的がモラルに反していたとしても、明確なビジョンを掲げる集団に人は惹かれるのです。

(レトロ@長谷部 耕平)

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