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FC版『ドラクエ』のローラ姫はナゼさらわれた? 「めとるため」とはいえないワケ

マグミクス / 2024年5月18日 21時25分

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■クッパが姫をさらう理由は「恋心」 では「りゅうおう」は?

 王国の姫が竜にさらわれ、立ち上がった勇者が姫を救い出して竜を討伐する。原典が辿(たど)れないほど王道すぎるこの展開は、さまざまな形にアレンジされつつ、いまも多くの作品に用いられています。

 国産ゲームを紐解いてさかのぼると、特に連想しやすいのはファミコン版『ドラゴンクエスト』でしょう。悪の化身「りゅうおう」によってモンスターがはびこる世界となり、ラダトーム国王の娘「ローラ姫」もさらわれた後、勇者「ロト」の血を引く主人公が城を訪れることで物語の幕が上がります。

 しかし「姫をさらう」とひと口に言っても、その理由は作品ごとにさまざまです。果たして『ドラクエ』のローラ姫は、いかなる理由で連れ去られたのでしょうか。王道展開に流され、つい見落としがちな「さらわれた理由」について考えます。

 なお初代『ドラクエ』は、後にリメイク版がリリースされたほか、コミカライズにノベライズ、CDドラマなども作られました。各作品で設定が異なる場合もあるため、今回は原点であるファミコン版『ドラクエ』に絞ってお届けします。

●姫をさらう理由の定番「妻にするため」は、当てはまらない!?

 さまざまな物語で、姫は悪の化身にさらわれますが、その理由は千差万別です。人質にして国を相手に交渉に臨む場合もあれば、自分の妻にするべく連れ去る場合もあります。

 典型的な後者のケースは、ピーチ姫をさらうクッパです。一部の作品で理由が異なる場合はあるものの、クッパの恋心が理由でピーチ姫をさらう場合がほとんどでした。そこには種族の壁も関係なく、ただ恋のために突き進む男の姿があるのみです。

 では、りゅうおうがローラ姫をさらったのも、妻として娶(めと)るためかと聞かれれば、少なくともファミコン版『ドラクエ』に限ってみれば、イエスとはいえません。まず、ローラ姫をさらった理由について作中では言及されていませんし、すでに妻を娶っている可能性が少なからずあるためです。

 というのも、続編の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』に「りゅうおうのひまご」が登場します。ひ孫がいるということは、妻ないしそれに準ずる相手がいて、その女性がりゅうおうの子供を産んでいるはずです。少なくとも、りゅうおうが勇者に倒される前に出産もしくは妊娠していないと、その血筋が後の作品につながらなくなります。

 りゅうおうの子供を産んだ相手がローラ姫という描写はないため、別の女性がりゅうおうの子供を産んだ可能性が高いでしょう。すでに妻(らしき存在)がいるのはほぼ確定なので、少なくとも娶るためにローラ姫をさらったとは考えにくいところです。

 いわゆる「愛人」にしたかった可能性となるとゼロではありませんし、ローラ姫の幽閉場所がりゅうおうの住まいから離れていた点も妙なリアリティを感じますが、それよりも明確な「さらった理由」を作中の展開から予想できます。

■ローラ姫をさらえば、りゅうおうは「とあるメリット」が得られた

「ロトのしるし」のありかは、ラダトーム城までの座標で示される。画像はファミコン版『ドラゴンクエスト』

 りゅうおうがローラ姫をさらった理由は明示されていませんが、『ドラクエ』のなかでローラ姫が果たす役割は明確です。その役割こそが、彼女がさらわれた理由として最も説得力が高いように思われます。

 初代『ドラクエ』における勇者の目的は、りゅうおうを倒してこの地を平和にすること。そのためには、勝てるだけの実力を身につけなければなりませんし(=レベル上げ)、戦いを支える強力な武具の獲得も重要です。

 しかし、レベル上げや装備品の獲得は、「冒険の途中で得られる副産物」という側面も持ち合わせています。最低限のレベルでもクリアは可能ですし、装備品が最高級でなくともレベルや戦略で補えるため、一定以上のレベルや装備品は必須ではありません。

  レベルや装備品の獲得は、冒険を通じて自然とカバーできる範囲です。ところが、りゅうおうが住む城へ行くためには、「にじのしずく」を使い、橋をかけなければなりません。このアイテムがなくては目的の達成は叶わず、勇者が冒険する時間のほとんどは「にじのしずく」を入手するための過程ともいえるほど重要なアイテムなのです。

 この「にじのしずく」を獲得するには、3つのアイテムが必要です。そして、そのうちのひとつ「ロトのしるし」を手に入れる手段に、ローラ姫の存在が大きく関わってきます。

●「おうじょのあい」が「ロトのしるし」への道を示す!

「ロトのしるし」がある場所のヒントは、ローラ姫とはまったく関係なく手に入ります。しかしヒントの内容は、ラダトーム城から逆算した地点の座標を示したもので、その数字だけで場所を特定するのは至難の業なのです。フィールドを完璧にマッピングしたり、1歩進むごとに座標を確認すれば不可能ではありませんが、当時の少年少女にとってはかなりの難度でした。

 そのような勇者を支えてくれるのが、ローラ姫です。とあるダンジョンで「ドラゴン」を倒し、ローラ姫を救出して「ラダトーム城」へ連れ帰ると、感謝の言葉と共に「おうじょのあい」がもらえます。

「おうじょのあい」はアイテム扱いで、冒険中に使用すると次のレベルアップまでに必要な経験値を教えてくれるほか、ローラ姫がいるラダトーム城までの距離を座標で示してくれます。どれだけ離れていても彼女の愛が届いているという表現なのかもしれませんが、この情報があれば「ロトのしるし」の発見が容易になるのです。

 ヒントの座標を目指し、「おうじょのあい」でその都度自分の位置を確認、道中モンスターと戦ったり、毒の沼が立ちはだかったりはするものの、あとは座標を合わせるだけで「ロトのしるし」のありかへとたどり着けます。

 もし「おうじょのあい」がなければ、「ロトのしるし」を手に入れられなかったプレイヤーも多かったはず。そうなれば「にじのしずく」も入手できず、りゅうおうの打倒どころか対面すらままならず、『ドラクエ』の世界はモンスターがはびこったままとなったでしょう。

 つまりりゅうおうは、勇者の「ロトのしるし」入手を阻(はば)むため、「おうじょのあい」が得られないように幽閉した、と考えることができます。そうすれば「にじのしずく」も手に入らず、りゅうおうは身の安全が保障されます。

 不埒な勇者を寄せ付けないよう、その侵入手段を断つ。知的な戦略で保身を図るりゅうおうは、セキュリティ意識が高かったといえそうです。

* * *

 あくまで状況証拠からの推測ですが、関係性を踏まえると十分考えられます。力押しで問題を解決するラスボスも多いなか、その知的な戦略は脱帽モノです。

 しかし、ファミコン版『ドラクエ』の場合、「おうじょのあい」は非常に便利なものの、「ロトのしるし」の入手に絶対不可欠ではありません。場所さえ分かっていれば入手できますし、前述したとおり自力で見つけるのは困難ながらも可能です。

 プレイヤー次第では、ローラ姫を助けず「おうじょのあい」も知らぬまま、「にじのしずく」を手に入れることができます。その場合、りゅうおうは愛を知らぬ勇者に倒され、ローラ姫は幽閉されたままエンディングを迎えることに。色々な意味でハードな展開ですが、生粋のゲーマーにはりゅうおうの策略も無効のようです。

ファミコン版『ドラゴンクエスト』 
(C)1986 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserve.

Nintendo Switch版『ドラゴンクエスト』 
(C)1986, 2019 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

(臥待)

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