「子供には見せられん」「激烈な悪ふざけ」 R指定は当然のアニメ映画たち
マグミクス / 2024年5月26日 20時5分
■アニメ映画と油断してはダメ!
一般的にアニメ映画は子供向け作品が多く、家族で楽しく観られるもの、という印象ではないでしょうか。しかし、過激な濡れ場や残酷シーンが盛り込まれ、公開時には年齢制限を課された作品も少なくありません。今回は、家族とはとても観られない、R指定にされた劇場アニメを振り返ります。
●『囀る鳥は羽ばたかない』R18+(配信はR15+)
累計発行部数220万部(2023年3月時点)を超えるヨネダコウ先生の『囀る(さえずる)鳥は羽ばたかない』は、あの福山雅治さんも「素晴らしい名作」と絶賛したマンガです。2020年に『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』として劇場アニメ化が発表された際は、ファンから喜びの声が上がるとともに、過激な内容から「さすがに年齢制限入るよね?」とざわめきが見られました。
性に奔放なヤクザの若頭「矢代」と付き人兼用心棒の「百目鬼力(どうめき ちから)」が次第に惹かれあっていく……というごく端的な物語の説明からも分かるとおり、激しい濡れ場や暴力シーンが少なくありません。矢代、百目鬼はいずれも壮絶な過去があり、特に矢代は被虐性と男色に傾倒した一面を持つキャラクターです。
友人と恋人の行為を盗撮する、事務所で昼間から行為に至るなど常軌を逸した行動も厭わない矢代が、「部下には手を出さない」としながらも百目鬼に対する思いを抱いていく本作は、それまでBLに触れたことがない人をも引き込む魅力があります。矢代がヤクザの若頭であることから、過剰な暴力シーンも見られるなか、あまりにも濃厚な濡れ場のシーンを理由に劇場公開時にはR18+指定となっていました(配信版は規制を加えたR15+指定)。
劇場版アニメの続編制作も決定しており、「早く続きを観たい」「1作目が良かっただけに期待せざるを得ない」と、待ちきれないファンからの声も少なくありません。
●『ソーセージ・パーティー』R15+
アメリカ合衆国初のR指定CGアニメーション映画として話題を呼んだ『ソーセージ・パーティー』は、グロテスクな描写や下品なセリフを理由に日本でもR15+指定を受けた、かなりの問題作です。2016年の公開時は、小規模の上映ながら大きな話題を呼びました。
とあるスーパーマーケットを舞台に、外の世界に憧れていた食材たちが、自分たちが食われる運命にあることを知り、人間に反逆する姿を描いています。食材と人間の両方がひどい目に遭う描写が登場しており、親しみやすいデザインのCGアニメーションなだけに余計、衝撃的です。
食材たちの目線から真っ二つに切り裂かれるソーセージやトマト、皮を剥かれるジャガイモなど、私たちが普段、何気なく行なっている調理を残酷に描いており、戦争映画『プライベート・ライアン』の、ノルマンディー上陸作戦の場面のパロディと思われるシーンでは、食材たちの液が激しく飛び散り、ヌードル缶が飛び出た自分の臓物(麺)を身体に戻そうとする残虐表現もありました。また、一件落着した後のクライマックスの場面は、大人だけで見てもかなり気まずいかもしれません。
強烈な印象を残した『ソーセージ・パーティー』は、2024年7月よりアメリカのAmazon Prime Videoにてアニメシリーズの配信も控えています。主人公のフランクの声のほか原案と脚本も担当したセス・ローゲン氏が、Instagramにて「映画版はただのアペタイザー(前菜)にすぎませんよ」と予告しているように、さらにとんでもない内容になっていそうです。日本での配信は未定ですが、公開されればまた物議を醸すでしょう。
●『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』R15+(無修正版はR18+)
国内外を問わず高い支持を獲得し続けているマンガ『ベルセルク』(著:三浦建太郎)を原作にしたアニメ『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』は、特に人気の高い「黄金時代篇」の映画化3部作の完結編であり、原作コミックのなかでも特に衝撃的な「蝕(しょく)」の場面を再現したことで話題を集めました。
「蝕」とは、216年周期で現れる真紅のベヘリット「覇王の卵」を手にした者が、生贄と自らの肉体を捧げて超越者である「ゴッド・ハンド」へと転生する儀式のことです。主人公「ガッツ」が所属する傭兵団「鷹の団」の団長で、切磋琢磨しながら友情を築いた「グリフィス」は、一度ガッツが団を去った後に自暴自棄になって起こした行動の結果、すべてを失い絶望して「蝕」を引き起こします。
このとき、グリフィスが生贄として捧げたのは、何よりも大切なガッツや鷹の団の仲間たちでした。団員たちはおぞましい異空間のなかで、魔物たちによって次々と殺されていき、ガッツは恋人の「キャスカ」がグリフィスによって凌辱される様まで見せ付けられることとなります。
原作でも「初めて読んだときに体調が悪くなった」「今でも読むのを躊躇する」といった声も少なくない「蝕」を真正面から描いた劇場版アニメは、修正を加えたうえでR15+指定の作品として上映されました。一部劇場では修正を行わないR18+指定版も公開され、「これでこそベルセルク」と、観た人からは絶賛されています。
(田中泉)
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