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『DQ4』発売から30年、ファミコン時代の終わりと共に シリーズに新たな方向性

マグミクス / 2020年2月11日 12時10分

『DQ4』発売から30年、ファミコン時代の終わりと共に シリーズに新たな方向性

■無邪気な子供時代の終わり、受験生と『ドラクエIV』

 1990年2月11日にエニックス(現:スクウェア・エニックス)から発売されたファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』(以下、ドラクエIV)は、「ドラクエ」シリーズ初となる公式の名前付きプレイヤーキャラクターが登場し、ストーリー性の高いタイトルとして人気作となりました。『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』など多くの派生作を生み出した同作について、発売が受験と被り遊びたくても遊べないという経験をしたライターの早川清一朗さんが、当時の記憶を語ります。

* * *

 ファミコンの「ドラクエ」シリーズの発売日が1月と2月に偏っているのは、子供たちがお年玉で買えるようにと配慮されていたためです。大変にありがたい話だったのですが、『ドラクエIV』に限っては、筆者にとって大変厳しい日程でした。この年に受験を控えていたのです。

『II』や『III』が発売される前はクラスメイトと「ドラクエ話」で盛り上がっていたものの、受験シーズンクライマックス真っ最中の発売とあってはそうはいきません。緊張感漂う教室の中で、「ああ、ドラクエIVがやりたい……」と思いながら、問題集を解いていました。

 ようやく受験が終わり、『ドラクエIV』を購入したのですが、ここで『III』に引き続き、「抱き合わせ販売」にぶつかってしまいます。セットになっていたのは野球のゲームだったことは覚えていますが、送球をキャッチするときにいちいちボタンを押さねばならず、面倒だったのでほとんどプレイせずに放り出してしまいました。

 受験からも解放され、安堵感に浸りながらプレイを開始した『ドラクエIV』は、期待通り、いやそれ以上の出来栄えでした。シリーズ初の固有の名前を持つキャラクターたちによる全5章仕立てのシナリオはどれも素晴らしく、とても楽しませてもらえました。パーティ構成も8人のキャラクターの中から4人を自由に選んで編成できる自由度の高さが面白さを倍増させていました。馬車に乗っているメンバーは戦闘中何をしているのだろうという疑問は沸きましたが、ファミコンの性能を考えれば8人全員を同時に稼働させるのは難しかったのでしょう。あと、戦闘がAI制御だったため、自由に動かせないところは少し戸惑いました。

 特にクリフト。ザラキを使う相手は選んで。

■敵味方共に魅力あふれるキャラクターたち

個性豊かなキャラクターたち(画像はスマートフォン用移植版 スクウェア・エニックス)

『ドラクエIV』最大の特徴と言えるのが、魅力あふれるキャラクターたちです。

 最初に気になったのは占い師のミネアと踊り子のマーニャ。褐色肌のお色気お姉さん姉妹と一緒に冒険の旅に出るというのは、思春期の少年にとってかなり刺激が強く、想像力羽ばたくシチュエーションでした。次に、天才武闘家にしてサントハイム王国の姫であるアリーナ。かわいく強くおてんばで、お城から抜け出すために壁をぶち壊すパワー型のキャラクターは、従来のお姫様のイメージを根底からひっくり返すほどのインパクトがありました。

 商人のトルネコは、正直どのようにストーリーに食い込んでくるのか見当もつきませんでしたが、金を稼ぎ、トンネル工事の資金を出してルートを開拓させ、船を購入するなど、お金が社会に対して持つ力をはっきりと示してくれました。こういった要素は今までの『ドラクエ』をはじめとするRPGではしばしば神の奇跡や他人の好意、あるいは偶然によってどうにかしていたことが多い部分でした。『ドラクエIV』で商人トルネコというキャラクターが人により生み出されたお金の力で難局を突破できたのは、『ドラクエ』のなかに社会が持ち込まれたことを示していたのではないかと、今改めて感じています。トルネコは後に「ドラクエ」シリーズ初のスピンオフ作品である『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』の主人公となり、多くのプレイヤーの時間を奪ったことでも強い印象を残しています。

 また、モンスターや魔族がキャラクターとして強い印象を残したのも、『ドラクエIV』の特徴です。
 
 1章に登場するホイミスライムの「ホイミン」は人間になりたい夢を叶えるために騎士のライアンと共に冒険の旅に出ます。ただ倒すだけの存在だったモンスターにも意思があったのです。モンスターを仲間にするシチュエーションはその後のシリーズにも引き継がれ、モンスターを仲間にして戦わせるのがメインとなった『ドラゴンクエストモンスターズ』も発売されました。

 ピサロとロザリーの悲劇も、魔族側にスポットを当てたストーリーとして強く印象が残っています。人類に敵対するには、敵対するだけの理由がある。当たり前の話ですが、その当たり前をはっきりと形にしてくれたのです。

 そしてこれら魅力的なキャラクターが『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』をはじめとする公式の二次創作作品で花開きます。個性豊かな作家たちが作り上げた無数の作品群は人気となり、柴田亜美氏や衛藤ヒロユキ氏のように、後に人気漫画家となる人物が花開く土壌となりました。

 印象深いキャラクターやストーリーを世に送り出した『ドラクエIV』でしたが、後継ハードであるスーパーファミコンの発売が迫っていたこともあり、ファミコン最後の『ドラゴンクエスト』となってしまいます。無邪気にゲームを楽しめていたファミコンの時代に終わりを告げた『ドラクエIV』を思い出すたびに、筆者は子供時代を思い出し、つい悲しくなるのです。

(早川清一朗)

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