「えっ後味わるッ」「連載中なら仕方ない?」 原作と違うラストに物議の実写映画
マグミクス / 2024年5月31日 20時25分
![「えっ後味わるッ」「連載中なら仕方ない?」 原作と違うラストに物議の実写映画](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_234090_0-small.jpg)
■原作通りとはいかない実写映画の最後
人気マンガを原作とした実写映画は毎年、盛んに製作されており、そして、だいたい120分ほどの上映時間にまとめるために、ストーリーが改変されることは多々あります。なかには、完結の仕方まで変わってしまった作品も存在しました。そうした原作と異なる「悲しい」終わり方をし、物議を醸した実写映画を振り返りましょう。
●『GANTZ』
2000年から「週刊ヤングジャンプ」(集英社)にて13年にわたり連載された人気SFマンガ『GANTZ』(著:奥浩哉)は、2011年に前編と後編の2部構成で実写映画化されました。死んだはずの人間たちがマンションの一室に転送され、謎の黒い球体「ガンツ」から出される指令を受けて、特殊な強化スーツを着てさまざまな「星人」と壮絶な戦いを繰り広げていきます。
原作通りの激しい描写を完全再現とまではいきませんでしたが、PG12指定のレイティングで過激なシーンもあり、CGも駆使した戦闘シーンや登場する星人のクオリティ、キャストの再現度など「邦画でここまでの映像が観られるとは」「地下鉄のバトルシーンが素晴らしい」「本郷奏多の西君が完璧」と、好評の声もあがりました。
しかし、まだ原作が連載中だったこともあり、2部作の後編にあたる映画『GANTZ PERFECT ANSWER』の結末は、原作とは大きく異なった形で幕を閉じています。映画公開後に描かれた原作のラストは、主人公「玄野計」たちが宇宙船で侵略に来た巨人との死闘を繰り広げ、戦いに勝利しました。そして人類の危機を救ったとして観衆から感謝され完結します。
一方で実写版では、玄野(演:二宮和也)が、ガンツのなかに入っている「玉男」の身代わりとなって、ガンツにエネルギーを供給することを決断します。
玄野は今まで一緒に戦ってきた「加藤勝」(かとう まさる/演:松山ケンイチ)に別れを告げて、ガンツを維持しつつ「もう誰もこの部屋には転送しない」ということを決め、球体のなかへ入っていくのでした。そして現実世界では、戦いで死んでいった仲間たちがガンツや玄野に関する記憶はないものの生き返り、主人公の犠牲の上での一応のハッピーエンドで完結します。
「後編はオリジナル要素が多すぎる」「中盤までは楽しめたけど後半がかなり駆け足だった」「あのラストだと多恵ちゃん(ヒロイン)が可哀そうすぎる」と批判的な声が出る一方で、「終わり方は原作よりも綺麗にまとまっている」「こういう切ない系ラストは好き」など好意的な声もありました。
●『僕だけがいない街』
青年向けマンガ雑誌「ヤングエース」(KADOKAWA)にて2012年から2016年まで連載された『僕だけがいない街』(著:三部けい)は、2016年に藤原竜也さん主演で実写映画化されています。
主人公「藤沼悟」(演:藤原竜也)は、「再上映(リバイバル)」という特殊能力を持つ売れない漫画家です。リバイバルは、「悪いことが起きる(事件や事故など)」数分前に時間が戻り、原因を解決するまで何度もタイムリープを繰り返すことができます。自分の意思に関係なく発動するリバイバルに翻弄されながらも、18年前の連続誘拐殺人事件解決に奮闘する悟の姿が描かれ、話題となりました。
こちらも映画撮影時、まだ原作が完結していなかったため、映画では違う結末を描いています。原作では、悟が連続殺人事件の真犯人である「八代学」を追い詰めることに成功し、八代が逮捕され事件解決に向かいます。しかし、実写版では八代(演:及川光博)と最後もみ合いになり、悟が八代に首を切られ、そのまま息を引き取るというバッドエンドに変更されました。
ただ、物語の最後では、悟の死後から10年経ち、彼の命日に母親や友達が集まる姿が描かれます。なかには、悟がリバイバルによって過去を変え、命を救われた「雛月加代」(演:森カンナ)の姿もあり、彼女の側には娘がいました。悟が奮闘したことにより、死んだはずだった人も生きることができ、その命はすでに次の世代まで受け継がれ、単に悲しい結末だったとも言い切れません。
こういった改変により、『僕だけがいない街』というタイトルにもまた違った意味合いが生まれています。真逆の結末に、作品を観た人からは「複雑なストーリーをよく2時間弱でまとめた」「原作勢からするとミステリー感がいまひとつと感じる」と、賛否が分かれる結果となりました。
ちなみに本作はアニメ化もされていますが、こちらも原作完結前に放送が始まったため、また違ったラストとなります。一方で、2017年のNetflixドラマ版はラストまで原作に忠実で、話題になりました。
■イケメンキャストで実写化された名作BLマンガの結末とは?
映画『窮鼠はチーズの夢を見る』キービジュアル (C)水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会
●『窮鼠はチーズの夢を見る』
『窮鼠はチーズの夢を見る』は2004年に女性向けマンガ雑誌「Judy」(小学館)の増刊号「Nighty judy」の読み切り作品として掲載された、水城せとな先生によるマンガ作品です。2020年に大倉忠義さん主演で実写映画化されています。BL作品かつ過激な描写が多い原作のため、実写化が発表された当時、ファンからは「本当に実写化して大丈夫なの?」と心配の声もありました。
不倫を重ねていた主人公「大伴恭一」(演:大倉忠義)は、大学の後輩「今ヶ瀬渉」(演:成田凌)から不倫の証拠を隠す代わりに、身体の関係を持つことを持ちかけられます。一度は拒絶したものの、結局、恭一は渉のペースに流されて一緒に暮らすことになるのでした。
原作では恭一の元カノが登場し、渉が姿を消すなど紆余曲折ありますが、最終的に恭一と渉は愛を確かめ合いハッピーエンドで幕を閉じています。
しかし実写版では恭一が、不意に姿を消してまった渉の帰りを待つという含みを持たすような展開で終わり、ふたりが結ばれたかどうかは定かではありません。帰りを待つ恭一に対し、渉は泣きながらほかの男に抱かれており、恭一のもとへ帰りたいけれど踏ん切りがつかないシーンが描かれていました。
ファンからは「恭一の優柔不断な演技は見事だった」「切ないシーンが多いだけに最後は原作通りにしてほしかった」といった感想があり、キャスト陣の体当たりの演技に賞賛がある一方、ストーリー展開には一部、不満の声が出ていました。
(LUIS FIELD)
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