『Zガンダム』パプテマス・シロッコとは何者? 物語を「難しくした」希代の悪役
マグミクス / 2024年5月29日 6時25分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_234102_0-small.jpg)
■「機動戦士ガンダム」シリーズ屈指の天才・シロッコ
『機動戦士Ζガンダム』では、地球連邦軍内部の軍閥である「ティターンズ」と「エゥーゴ」による内戦が描かれました。しかし、途中から複数の組織や戦力が現れ、対立行動の把握が難しくなっていました。放送当時は組織の構造が分からず、再放送やビデオ、のちの配信サービスで再度観て、ようやく勢力図を理解したという方もいるのではないでしょうか。
この難しさの一端となったのが、木星資源採掘船「ジュピトリス」の責任者である「パプテマス・シロッコ」という人物です。シロッコは、極めて高いニュータイプ能力と、モビルスーツの操縦技術を併せ持ちます。さらに、当時の最高水準クラスのモビルスーツを独自に設計するほどの天才技術者でもあり、強烈なカリスマ性を持つ野心家でした。彼は多くのキャラクターの動向に影響を与え、物語そのものを動かし続けました。単純な個人能力でいえば、「機動戦士ガンダム」シリーズに登場するキャラクターのなかでも最高ランクでしょう。
シロッコが初めて登場したのは第11話「大気圏突入」で、「ブライト・ノア」が機長を務める旅客用シャトル「テンプテーション」を可変モビルアーマー「メッサーラ」の性能試験を兼ねて襲撃するという、はっきり「悪役」と分かる演出となっています。
その後、シロッコは血判状を差し出す仰々しい演出を経てティターンズへと加入し、瞬く間に頭角を現します。月面都市「フォン・ブラウン」の武力制圧をもくろんだ「アポロ作戦」では旗艦である「ドゴス・ギア」の艦長を任され作戦に成功します。しかし、上官である「ジャマイカン・ダニンガン」の命令を無視した行動を取ったために、制裁を受けています。
■『Ζガンダム』はシロッコが敗れる物語
自身が開発した専用モビルスーツ「ジ・O」に搭乗した 画像は「HGUC 1/144 ジ・オ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
「戦後の地球を支配するのは女だと思っている」という思想を持っていることからか、シロッコは女性パイロットを側に置く傾向があり、ティターンズの若手パイロットである「サラ・ザビアロフ」を特に気に入っていました。なお、小説版ではシロッコが天涯孤独の身であることが明かされており、自身と同様に身寄りのいないサラを妹のようにかわいがっていましたが、終盤では男女の関係を意識しています。
また、元々はエゥーゴ所属だった「レコア・ロンド」は自身を襲った体験や、シャアこと「クワトロ・バジーナ」とのすれ違いなどもあり、シロッコの強烈なカリスマ性に惹かれて、ティターンズに寝返ります。シロッコも有力なパイロットとしてレコアを扱っており、自ら設計したモビルスーツである「パラス・アテネ」を与えています。
その野心的な振舞いから、ティターンズ上層部からは絶えず警戒されており、男性との関係性はそれほど良くはありませんが、例外的に「ヤザン・ゲーブル」とはウマが合うようです。ヤザンが部下となった際には、最新鋭MSの「ハンブラビ」を与えて厚遇を約束しています。
物語の最終盤では、アクシズの旗艦「グワダン」内で行われた「ハマーン・カーン」、「ジャミトフ・ハイマン」、シロッコによる三者会談の際、クワトロの乱入によって生じた混乱に乗じてジャミトフを暗殺。レコアによる「バスク・オム」の抹殺にも成功してティターンズを掌握し、事実上のリーダーとなりました。
コロニーレーザー「グリプス2」を巡る最終戦闘では、専用モビルスーツの「ジ・O」に搭乗し、ハマーンと共にクワトロの「百式」を追い詰めますが、レーザーの発射阻止には失敗し、ティターンズは艦隊の多くを失ってしまいます。撤退を余儀なくされたシロッコは、ジュピトリスの目前で「カミーユ・ビダン」の「Zガンダム」に遭遇し、圧倒します。しかし死者の意志を吸収したZガンダムが引き起こした超常現象によって、ジ・Oの制御が失われてしまいます。さらに、ウェイブライダー形態に変形したZガンダムの突撃を受けて絶命寸前となりますが、シロッコは最後の執念でカミーユの精神を崩壊へと導きました。
最強ランクのパイロットであるカミーユやクワトロ、ハマーンと互角以上に戦い、野心とカリスマで物語を動かし続けた、希代の悪役であるシロッコの生きざまと最期は、「機動戦士ガンダム」シリーズでも際立って印象的なものです。果たして、彼の野心の先には何があったのでしょうか? もしシロッコが生き残り、言葉通り戦後の支配は女性が行うとしたら、彼はどこに身を置こうとするのでしょう。案外、まだ見たことのない外宇宙を目指した「旅」なのかもしれません。
(早川清一朗)
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