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怪獣「ムルチ」が三枚おろしに! 『ウルトラマンA』に登場し、惨殺された謎

マグミクス / 2024年5月30日 7時25分

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■怪獣と超獣は違う

 今から52年前、1972年5月26日放送の『ウルトラマンA(エース)』第8話で視聴者に衝撃が走りました。怪獣「ムルチ」が、超獣「ドラゴリー」に口を引き裂かれて惨殺されたのです。再放送で観た人もいるでしょうから、このシーンを憶えている方はたくさんいると思います。しかし、この「ムルチ登場」に関しては長いあいだ謎が残りました。それは、「なぜ突然、怪獣が登場したのか?」、そして「なぜムルチだったのか?」です。

 まず、『エース』第7話のサブタイトルは「怪獣対超獣対宇宙人」でした。宇宙人の「メトロン星人Jr.」(※『ウルトラセブン』第8話以来の登場)が超獣「ドラゴリー」を従えて、エースと戦います。終盤、突然地面から白煙が巻き上がると怪獣「ムルチ」(※『帰ってきたウルトラマン』第33話以来)が出現。3対1の様相でエースは大ピンチ! ……というところで終了します。ストーリーは番組初の、2話完結でした。

 第8話「太陽の命 エースの命」は、先週の続きからスタートします。衝撃シーンはすぐにやってきます。エースへの攻撃をかわされたムルチがドラゴリーと激突し、これにドラゴリーがブチ切れます。ムルチは下顎を持たれ、ベリベリ~っとお腹まで引き裂かれてもん絶、さらに左足をもぎ取られて、無残な姿にされます。哀れ、ムルチの出番はここまででした。

 改めて、この「ムルチ登場」にはふたつの謎が残りました。放送から28年後の2000年に出された書籍『僕らのウルトラマンA : 検証・第2次ウルトラブーム』(辰巳出版)の裏話から解き明かすことができます。

●謎1:なぜ、怪獣を登場させたのか?

『エース』が戦う敵は、異次元人「ヤプール」が造り出す、怪獣より強力な「超獣」です。実は、怪獣と超獣を戦わせることで「強さの違いを見せたかった」という意図があったそうです。筆者も幼い頃、確かにこのシーンで超獣と怪獣に違いがあるのだと理解した記憶があります。

●疑問2:なぜ、ムルチだったのか?

『帰マン』に登場した際のムルチは、ウルトラマンを苦しめたといえるほど強い怪獣ではありません。「なぜ、ムルチなのか?」は誰しもが思ったはずです。

 実は、脚本の段階では「シーゴラス」でしたが、(※推測ですが、着ぐるみが使えるので)変更されてムルチになったそうです。着ぐるみは、イベントなどで使用されていた現物を借り受けたものでしたが、口が裂け、足までちぎれる演出によって使い物にならなくなり、スタッフはイベント担当セクションから厳しく叱責されたそうです。

 つまり、『エース』に登場したムルチは、シーゴラスの代替えで出演し、超獣の引き立て役として殺され、その裏側では着ぐるみまでお払い箱になった……というかわいそうな目に遭ったわけです。

■ムルチのモチーフは鮭

『帰ってきたウルトラマン』第33話「怪獣使いと少年」のエピソードを収録した『帰ってきたウルトラマン』DVD Vol.9(円谷プロダクション) (C)1971円谷プロ

 余談になりますが、ムルチは後年になって人気が上がります。巨大魚怪獣ムルチの顔は「鮭」をモチーフにしていたため、惨殺シーンを「ムルチの三枚おろし」、「鮭がサケ(裂け)た」とシャレが飛び出してネタになりました。赤い目もかわいいなど、どこか憎めないビジュアルもウケたようです。『ウルトラマンメビウス』第32話で、メイツ星人ビオが改造した「ゾアムルチ」として登場して以降、シリーズ放送のなかでもたびたび起用されるようになりました。

 ちなみに、これも後年になって『帰ってきたウルトラマン』第33話「怪獣使いと少年」が、差別などの社会問題を描く問題作だったとして注目を集めるようになりますが、この回に登場したのがムルチでした。別名が「巨大魚怪獣」だったからでしょうか、ウルトラマンとムルチが雨に濡れながら戦うシーンがありました。ウルトラマンがムルチを火の海に投げ込んで、まるで焼き魚にでもするかのようなシーンが印象に残っています。

(玉城夏)

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