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なぜこれほどぬるくなった? 「ドラクエ」シリーズの「はぐれメタル狩り」今昔

マグミクス / 2024年5月31日 21時25分

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■ファミコン世代はどう思う? 多種多様な『ドラクエ11』の「はぐれメタル狩り」

 人気RPG「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)シリーズにおいて、経験値を稼いでレベルを上げることを主目的とする「はぐれメタル狩り」は、誰しもが通る道でしょう。ところがファミコン時代の「ドラクエ」シリーズと比べると、最新の『ドラクエ11』の「はぐれメタル」をはじめとするメタル系のまものは狩りやすくなっており、気持ちとして「ぬるい」と感じたのが本音です。なぜこれほど狩りやすくなっているのでしょうか。

 そもそもはぐれメタルを倒すには、逃げ出す前に高い防御力とすばやさをかいくぐってダメージを与える必要があります。シリーズタイトルの多くで、倒すのに必要とされるダメージ量はさほど多くないものの、与えられるダメージ量は通常、1ポイントずつで、しかも避けられることも多いため、けっこうな割合で倒し切る前に逃げられる、というわけです。いわゆる「会心の一撃(かいしんのいちげき)」は大きなダメージを与えられ、おおむね一撃で倒せるため、運良く出たときの爽快感はたまらないものがありました。

 ところが2017年に発売された『ドラクエ11』には、その会心の一撃を出す「特技」や、メタル系モンスターに有効な「れんけい技」などが存在します。特に、特技「会心必中」を使えば確実に会心の一撃がヒットするため、プレイヤーキャラクターの行動より前にはぐれメタルが逃げ出さない限り、確実にこれを倒すことができました。

 また、少ないながらも確実にダメージを与える方法として、メタル系モンスターに与えるダメージを増やす「はぐれメタルの剣」「メタスラの剣」といった武器や、1から2のダメージを確実に与える特技「メタル斬り」も有効です。

 さらに、れんけい技「スペクタクルショー」を使えば、敵を高確率でメタル系だけのまものに入れ替えることができるため、場所を問わずにはぐれメタルと出会うことができます。

 このように、はぐれメタル狩りに有効な特技や武器などがある『ドラクエ11』と比べると、ファミコン時代の「ドラクエ」シリーズにおけるはぐれメタル狩りは高難易度かつ、非常に手間のかかるものでした。

 なかでも『ドラクエ2』で初登場したはぐれメタルは、後発のシリーズタイトルと比べると、得られる経験値は1050ポイントとたいへん少ないものでした。たとえばシリーズ次作『ドラクエ3』では、この10倍の1万程度の経験値です(4人パーティの場合のひとりあたり獲得ポイント)。とはいえ『ドラクエ2』でもっとも経験値を得られるまものであることに違いはなく、血眼になって狩りまくったというプレイヤーは多いことでしょう。

 HPも35と高く、攻撃呪文「ベギラマ」や、攻撃を空振りしやすくなる「マヌーサ」を唱えてくるので、まともに戦えば全滅させられることもあります。ただ、与えられるダメージが後発作品と異なり1ポイント程度ということはなく、ある程度レベルの上がったローレシアの王子なら一撃で倒せたため、比較的、狩りやすかったとはいえるでしょう。ファミコン版発売当時、小学6年生だったというプレイヤーは、「一緒に現れた『あくましんかん』に『ザオリク』で生き返らせてもらってはぐれメタルを何度も倒すと、倒したぶんだけ経験値が上乗せされていくので、それで経験値を荒稼ぎしていました」といいます。

■ファミコン時代のようなコツコツプレイは現代には不向きなのか

強い硬い美味しい。「ドラゴンクエスト メタリックモンスターズギャラリー メタルキング」(スクウェア・エニックス) (C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

『ドラクエ3』になると、はぐれメタルから得られる経験値が1万を超え(4人パーティの場合のひとりあたり獲得ポイント)、使用する呪文はベギラマから「ギラ」に弱体化されました。HPも6に減ったものの、前述のように通常攻撃で与えられるダメージは1ポイントずつになったため、『ドラクエ2』とはずいぶんと勝手の違う相手です。その後のシリーズタイトルにおける「はぐれメタル」というキャラクターの特徴は、ここで確立されたといえるでしょう。

 倒す方法にも変化が見られます。魔法使いがレベル34で覚える「ドラゴラム」を使ってドラゴンに変身すれば、次のターンで吐く炎により、はぐれメタルを倒すのに十分なダメージを与えることができました。つまり「2ターン逃げなければ」と条件はつくものの、確実に倒せる方法が実装されたというわけです。ただ、せっかくドラゴンに変身しても、炎を吐く前にはぐれメタルに逃げられてしまうことは多く、まだまだ「必ず倒せる」というレベルではありませんでした。

 次作『ドラクエ4』では、「どうぐ」の「せいすい」も有効になります。戦闘中にせいすいを使用するとはぐれメタルに10から15ダメージを与えることができたのです。道具を持てる数には限りがあり、またせいすいは常備する類のアイテムとは言い難いため、効率としては決してよくはないものの、「1ターン目で逃げられなければ確実に倒せる手段が登場した」という点は大きいでしょう。

 こうして振り返ると、ファミコン時代の「ドラクエ」シリーズだけでも、はぐれメタル狩り(≒経験値稼ぎ)が徐々にやりやすくなっていることがわかります。そして前述したように、『ドラクエ11』には特技や武器がある分、はぐれメタル狩りの難易度はずいぶんと低下しました。

 難易度が低くなっている理由は、レベル上げを目的とした経験値稼ぎのはぐれメタル狩りが、同じことの繰り返しであるという点にあると考えます。つまり、はぐれメタルと出会い、戦って倒すという繰り返しの作業が、今の時代には合っていないということなのではないでしょうか。確かにファミコン時代の「ドラクエ」シリーズを遊んでいた頃と比べ、現代は無料で遊べるゲームも多く、飽きられればすぐに別の作品に目を向けられてしまいます。

 また、結果的にはぐれメタル狩りの難易度が下がっているように感じる一方、特技やれんけい技のおかげで、エンターテイメント性が向上し、飽きにくくなったという側面もあるでしょう。

 ゲームデザインもずいぶんと変わりました。『ドラクエ11』では上述のように、はぐれメタルをはじめとするメタル系まものが狩りやすくなったこともあり、ファミコン時代に比べはるかにレベルをカンスト(上限到達)しやすくなっています。ところがカンストしても、最終局面に挑むには、相応の装備を用意したり戦略を練ったりする必要があり、最後までヌルゲー化しないのです。

 つまりレベル上げ(経験値稼ぎ)という行為はあくまでゲームクリアの「過程」であって、レベルさえ上げればクリアできる(=レベル上げがゲームの「目的」と重なる)ようにはデザインされていない、といえるでしょう。

 ファミコン時代のはぐれメタルを知っている人からすれば、今のはぐれメタル狩りに対して「ぬるい」と感じてしまうのも仕方のないことかもしれません。しかし、これは現代のプレイスタイルに合わせた変化と進化の結果なのではないでしょうか。

(LUIS FIELD)

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