なぜこうも複雑なのか 『ガンダムW』ウイングガンダムゼロのややこしい設定を紐解く
マグミクス / 2024年5月30日 6時25分
![なぜこうも複雑なのか 『ガンダムW』ウイングガンダムゼロのややこしい設定を紐解く](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_234394_0-small.jpg)
■名前に「カスタム」と付くけど同じ機体…?
「ガンダム」シリーズには、作品ごとに多くの派生作品が存在します。なかには派生作品が発表されるたびに、設定が増えて複雑極まりなくなってしまった機体、などというものも見られました。2018年にNHKが制作したアンケート企画番組「発表!全ガンダム大投票」にて高い人気を証明した「ウイングガンダムゼロ」も、そうした「複雑な」機体のひとつです。
ウイングガンダムゼロは、1995年から翌96年にかけTV放送されたアニメ『新機動戦記ガンダムW』に登場するモビルスーツ(MS)で、物語の当初から登場した5機のガンダムを生み出した博士たちの手によって、最初に設計された「ガンダム」でした。危険なために封印されていたところを、ガンダムパイロットのひとりである「カトル・ラバーバ・ウィナー」が残されていた設計図から完成させます。
カトルが搭乗したウイングガンダムゼロは、主人公の「ヒイロ・ユイ」たちの前に現れ、圧倒的な性能を見せつけました。その後、紆余曲折ありライバルの「ゼクス・マーキス」の手に渡り、のちに機体を交換する形でヒイロに渡ってからは、物語の最後までヒイロが搭乗しています。
そのウイングガンダムゼロを、オリジナルビデオアニメ(OVA)『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』にあわせ、メカデザイナーのカトキハジメ氏がブラッシュアップし、かくて「ウイングガンダムゼロ(EW版)」は誕生しました。同作はTV版から1年後に起きた騒動を描いており、デザインは違うもののTVシリーズに登場したウイングガンダムゼロと同じ機体だといわれています。
そのため本来はEW版もTV版と同じ「ウイングガンダムゼロ」なのですが、TV版と区別するために、かっこをつけた「(EW版)」と表記されるのが現在の主流です。当初は「ウイングガンダムゼロカスタム」の名称が多く使われたため、こちらの名前が馴染んでいる人も多いでしょう。
いつごろからEW版と呼ぶように変わったのか、正確なところは不明ですが、ゲーム作品やプラモデルの商品展開においては、2010年ごろからこの表記ないし呼称が見え始めます。恐らくはそのころから2010年代半ばにかけて移り変わっていったのでしょう。
■TV版そっくりな「プロトタイプ」
一見するとTV版と同じだが、盾や翼の形状など細部が異なっている「MG 1/100 ウイングガンダムプロトゼロ EW」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
さらに、2010年より「ガンダムエース」誌に連載されたマンガ作品『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』(シナリオ:隅沢克之/漫画:小笠原智史/原作:矢立肇、富野由悠季/KADOKAWA)には、EW版の改修前の機体として「ウイングガンダムプロトゼロ」が登場し、設定がややこしくなります。『敗者たちの栄光』はTVシリーズの時系列で起きた戦いをOVAの世界観でリメイクした作品で、プロトゼロのような新機体も登場しました。
そのプロトゼロも、EW版と同じくTV版を再デザインした機体ではあるものの、大胆に変わったEW版に対し、プロトゼロはTV版の面影を残したもので、細部が変更されているに留まります。作中の扱いでは、プロトゼロとして登場し、途中で大破したためEW版に改修された、ということになっていました。プロトゼロの登場でEW版は、本当の意味で「ウイングガンダムゼロカスタム」になった、といえるのかもしれません。
しかし、見た目がTV版に近いプロトゼロの改修型がEW版だとすると、EW版とプロトゼロのどちらがTV版ウイングガンダムゼロと同じ機体なのか、という疑問もわいてきます。察するに「TV版と同じ」は見た目の違いが混乱を招かないようにするための方便で、立ち位置としてEW版とTV版を同じとする説が正解に近い気がします。
どうしてそんなことになったのか、一概に答えは出せませんが、「作品や機体の人気の高さから、作品の展開が続いたこと」は影響していそうです。冒頭で触れた「発表!全ガンダム大投票」の「モビルスーツ(メカ)部門」でウイングガンダムゼロは32位、ウイングガンダムゼロ(EW版)は5位でした。それだけでなく「アニメ作品部門」においても『ガンダムW』は40作品中の9位と、なかなかの高順位を獲得しています。
そうした結果もあってか、『ガンダムW』を含めたオルタナティブ作品(『G』『X』)の、30周年を記念した企画も立ち上がっています。はたしてウイングガンダムゼロに、さらなる新たな設定が増えることはあるのでしょうか、今後の展開を楽しみに待ちましょう。
(LUIS FIELD)
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