買い逃した初代『ファミコンジャンプ』は面白かった? クラスメイトの評価は…
マグミクス / 2020年2月15日 7時10分
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■ファミコン+「週刊少年ジャンプ」
1989年2月15日、バンダイから『ファミコンジャンプ 英雄列伝』が発売されました。ジャンルはアクションRPG。人気少年コミック誌「週刊少年ジャンプ」20周年記念として作られたこのファミコンカセットは、「週刊少年ジャンプ」でたびたび特集記事が組まれたことにより大きな認知度を得ました。
当時『ファミコンジャンプ』に興味を惹かれながらもある理由から見送り、だいぶ経ってから購入した経験を持つライターの早川清一朗さんがその思い出を語ります。
* * *
ファミコンと「週刊少年ジャンプ」。当時の小・中学生男子に好きなものを3つ挙げろと言われたら、間違いなく入るであろう最強の2大娯楽が手を組む。「ジャンプ」の特集記事で初めてこの情報を目にした時の衝撃を、なんと言い表せばいいのか分かりません。
誰が出てきてどんな活躍をするんだろう? 孫悟空は確定としてあとは誰だろう? などと頭のなかは妄想がぐるぐるとめぐっていました。
やがて発表された登場キャラは『北斗の拳』のケンシロウに『ドラゴンボール』の孫悟空、『シティーハンター』の冴羽リョウに『聖闘士星矢』の星矢、『魁!!男塾』の剣桃太郎に『キャプテン翼』の大空翼くんに『キン肉マン』のキン肉スグル、『ついでにとんちんかん』の間抜作など、アニメ化を果たした作品の主人公が勢ぞろいしていました。アニメ化はされていませんが、個人的に好きだった『ゴッドサイダー』の鬼哭霊気がいたのも筆者としてはうれしいポイントでした。
ただ、この時代、過去の作品については兄弟が単行本でも持っていない限り知ることすら難しく、参戦作品として紹介された『荒野の少年イサム』や『アストロ球団』、『男一匹ガキ大将』『ドーベルマン刑事』などの往年の名作については、全く知識がありませんでした。現代であれば、ゲーム発売と同時に電子書籍などで復刻するという手段で作者に印税も入っただろうにと、少し残念に思います。
多少知らない作品があるにせよ、どの作品も、全く違う世界観を持っているのは間違いないところ。このキャラクターたちが一堂に会したらどうなるんだろう? とワクワクしたのを覚えています。
■買うべきは『ファミコンジャンプ』か『ウィザードリィII』か?
1991年発売『ファミコンジャンプII 最強の7人』(バンダイ)
ちなみにこの『ファミコンジャンプ』のプロデューサーは橋本真司氏。そう、赤い眼鏡がトレードマークの橋本名人です。当時はバンダイの社員で、現在ではスクウェア・エニックス・ホールディングスで専務執行役員を務めています。
その橋本名人が持ち込んだ『ファミコンジャンプ』の企画を軌道に乗せたのが、ジャンプの名物編集者、鳥嶋和彦氏です。漫画家の鳥山明氏を育て上げ、『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』の編集者として辣腕(らつわん)を振るった鳥嶋氏は編集部を説得し、企画の実現にこぎつけたのだそうです。
しかしこの時、『ファミコンジャンプ』に惹かれていた筆者にとって、大きな問題が立ちはだかります。なにせ当時はファミコンブーム真っただなか、他にも面白そうなカセットが次々と発売されていたのです。その中でも最後まで『ファミコンジャンプ』とどちらを買うか、迷いに迷ったのが『ウィザードリィII リルガミンの遺産』(以下、ウィズII)でした。子供にはカセットを2本買うお金などありません。お年玉を大事にとっておいたものの、買えるのはどちらか1本だけ。結局、筆者は『ウィズII』を購入し、『ファミコンジャンプ』は見送ることにしたのです。
それからずいぶん経ったころ、筆者はワゴンセールで叩き売られていた『ファミコンジャンプ』を購入しました。発売直後に購入したクラスメイトからは「つまらないからすぐ売った」と聞かされていたので覚悟はしていましたし、値段もすごい勢いで下がっていたのをよく覚えています。実際にプレイしてはみましたが、強い印象は残っていないというのが正直なところです。後に橋本氏はインタビューで「ゲームの内容に対する当時の評価は厳しかった」と答えています。
子供にとってファミコンのカセットは、簡単には手に入らない宝物です。しかし当時のカセットのなかには、子供をがっかりさせるようなものもたくさんありました。一時期、あるメーカーのゲームは、絶対にやらないと心に決めていたこともあります。近年では大分改善されているようで、そのメーカーのゲームを使った世界大会なども開かれているのは喜ばしいことです。貴重な時間とお金を割いて遊ぶものなのですから、作り手には面白さを追求してほしいと、心底思います。
(早川清一朗)
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