『ガンダム』途中退場が惜しまれる超有能だった老軍人 「生きてたら歴史変わった?」
マグミクス / 2024年6月3日 6時25分
■両陣営問わず「死んで欲しくなかった」老軍人たち
TVアニメ『機動戦士ガンダム』は、「一年戦争」と呼ばれる過酷な戦争を舞台に描かれた物語です。地球連邦軍、ジオン公国軍を問わず、さまざまなキャラクターが登場し、多くが戦いのなかで散っていきました。
そのなかには「生きていたら歴史が変わったのでは?」と感じるほど、優秀だった軍人もいます。そうした、戦死したのが惜しまれる、有能さを感じた老軍人を振り返りましょう。
第3話で「シャア・アズナブル」が乗艦する軽巡洋艦「ムサイ」への補給を担った「ガデム大尉」は、「途中退場が惜しい」と感じさせてくれた老軍人のひとりです。彼は、補給艦「パプア」の艦長として後方での補給任務に就いていました。
年老いて最前線を退いた軍人ではありますが、シャアとガデムの通信でのやりとりを聞く限り、シャアがある程度、信頼を置いている人物に見えました。敵が近くにいることもあって、シャアの声には焦りの色が見えた一方で、ガデムはベテランの軍人らしく落ち着いた物腰だったのも印象的です。
そしてシャアと会話中、ミノフスキー粒子の濃度が強すぎることに異変を感じたガデムは、敵艦の接近を予想します。実際このとき、補給中のムサイを狙うホワイトベース隊が接近しており、ガデムの読みは当たっていました。
ホワイトベース隊の奇襲攻撃でパプアも被弾するなか、ガデムは臆することなく本来の任務であるモビルスーツ(MS)の受け渡しを優先します。さらにパプアのカタパルトが破壊されると、自ら「ザクI」に乗り込んで手動でパプアからMSを投下する作業に尽力しました。こうして、「ザクII」や補給物資をパプアから下ろしましたが、補給艦パプアは撃沈されてしまいます。
このときザクIに乗って艦外にいたガデムは、太陽を背にしながら迫ってくる「アムロ」の「ガンダム」を発見すると、これに武器を持たないまま旧式の機体で挑みました。
ガンダムのビーム・サーベルによる攻撃を「素人め! 間合いが遠いわ」と冷静に見切ったガデムは、逆にガンダムの腹部にショルダータックルを直撃させます。しかし、ガンダムの強固なボディには大したダメージを与えられず、逆にビーム・サーベルで斬りつけられて、ガデムのザクIは爆散しました。
それを目のあたりにしたシャアはガデムの名を叫んでおり、老練な軍人に対するシャアの感情のゆらぎが見えたワンシーンでした。
非武装なうえに明らかに性能が劣るザクIで、アムロが操縦するガンダムの攻撃をかわし、さらに一撃を加えた一連の動きからは、ガデムのパイロットとしての非凡さがうかがえます。せめてヒート・ホークの1本でも装備していたら、熟練の操縦技術でガンダムに一矢報いていたかもしれません。
地球連邦の「パオロ・カシアス艦長」も、随所の判断から優秀さを感じた老軍人のひとりでした。「ホワイトベース」の初代艦長だったパオロ艦長は、物語の序盤に艦が被弾した際に負傷、「ルナツー脱出作戦」のなかでケガが悪化し、命を落としました。
いかにも厳格な老提督といった風貌のパオロ艦長ですが、意外なほどに柔軟な思考の持ち主でした。「V作戦の要」となる最新鋭MSのガンダムに民間人のアムロが乗り込むことを否定せず、「初陣にはやや若すぎるが、古来15、6歳の出陣がなかったわけではない」と肯定的に受けとめています。
さらにホワイトベースの艦長としての役割を、当時19歳の新兵「ブライト・ノア」に任せるなど、臨機応変に重要な決断を下しました。
そのパオロ艦長がいなければ、以後のアムロやブライトらの輝かしい戦歴はなかったはずです。当初から「V作戦」の重要な任務を任されたほどの軍人だけに、もしパオロ艦長が生きていたら、地球連邦軍の重要なポストを担っていた可能性は十分に考えられるでしょう。
彼ら以外にも、『機動戦士ガンダム』の劇中で途中退場した有能な軍人はたくさんいます。皆さんの心に残っている人物は誰でしょうか。
(大那イブキ)
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