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『ドラクエ2』ローレシアの王子はなぜ「じゅもん」を使えない? 「ロトの血が薄かった」説も

マグミクス / 2024年6月1日 21時55分

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■ゲーム性だけの問題じゃない?

「ドラゴンクエスト」シリーズの人気の礎を築いた『ドラゴンクエスト』、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の3作品は、物語的にもつながっており「ロト三部作」とも呼ばれています。

 時系列上では、古い順に『ドラクエ3』、初代『ドラクエ』、『ドラクエ2』と並んでおり、勇者ロトの血筋が脈々と受け継がれました。また、ネタバレになるので詳細な解説は避けますが、後に発売された『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』が『ドラクエ3』に繋がる世界だと判明し、当時話題となりました。

『ドラクエ11』から数え、4作品の主人公たちのほとんどは、強力な「じゅもん」を使いこなします。しかし、たったひとりだけ、呪文を使えない勇者が存在します。それは、『ドラクエ2』におけるローレシアの王子です。

 ロトの血を継ぐ主人公たちは、使える呪文の内容に差こそありますが、いずれも強力な魔法を使いこなせる者ばかりでした。しかし、ローレシアの王子だけは呪文が使えず、魔法の発動に必要なMPもゼロのままです。彼だけが、呪文を使えないまま、強大な敵と戦わなければなりません。

 なぜローレシアの王子だけ、「じゅもん」を使えないのか。こうした疑問は、プレイヤーが自由に想像できる余白でもあります。そんな余白の遊びを楽しむうえで、「ローレシアの王子が呪文を使えない理由」を考察します。

●ゲーム性を考慮すれば、誰でも納得の塩梅

 最も味気なく、そして説得力が高いであろう理由は、ゲーム性を重視したためでしょう。『ドラクエ2』は、シリーズで初めてパーティプレイを採用しており、当時はまだRPG自体が目新しいジャンルでした。そのため、パーティプレイの意味や面白さを、丁寧にレクチャーする必要があったと考えられます。

『ドラクエ2』の主人公は、ローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女の3人です。もし仮に、全員が同じ程度に魔法が使え、物理による攻撃力やHPも同程度だったら、パーティプレイの醍醐味は半減することでしょう。足りない部分を補い合うからこそ、それぞれが違う見せ場で輝ける──それこそがパーティプレイならではの楽しさです。

 サマルトリアの王子は文武両道で、武器攻撃から魔法まで器用にこなします。回復も可能とフットワークが良く、徹底したサポートでパーティを支えます。ムーンブルクの王女は、武器による攻撃は貧弱でHPも低めですが、強力な「じゅもん」を使いこなす魔法系アタッカーです。また回復にも長じており、攻防の要ともいえる人物です。

 こうしたふたりの特徴を活かしつつ個性を発揮するなら、強靱な肉体による継続戦闘能力、強力な武器を使いこなす力強さ、戦闘の矢面に立つ頼り甲斐などが求められますが、ローレシアの王子はその全てを兼ね備えています。

 パーティプレイの面白さ、戦闘のバランスなどを考えれば、ローレシアの王子が一切呪文を使えないのも納得です。よりよいゲームにするための英断といえるでしょう。

■「ゲームバランス」以外の可能性とは

ひとりきり、そして武器だけで複数の敵に立ち向かうことも。魔法が使えない最序盤の旅は厳しい。画像はスーパーファミコン版『ドラゴンクエスト I・II』

●血筋でも、素質を受け継ぐとは限らない……

 真面目に考えれば、呪文を使えない理由は先ほど述べた通り、ゲーム的な配慮とバランスに尽きるでしょう。しかし、そういった事情はあえて伏せ、「ロトの血を引いているのに呪文が使えない謎」をアレコレ考えるのも、ゲームを楽しむ方法のひとつでしょう。

 そこで、説得力の高さはさておき、考えられるいくつかの可能性を探ってみました。そのひとつは、「才能の継承に偏りがあった」という仮説です。

 確かにロトの血を引く子孫たちは、みな文武両道です。しかし、一族全員が魔法にも長けていたとは限りません。より濃く受け継いでいる人もいれば、影響が少ない人もいるはずです。もしかしたら、ローレシア家よりもサマルトリア家の方が、勇者の血統を色濃く受け継いだのかもしれません。

 ちなみにサマルトリアの王子は、どっちつかずの器用貧乏というイメージもありますが、その成長は大器晩成型のため、最大レベルに近づくほど頼もしい存在となります。その成長曲線も、なんだか勇者っぽさを感じられるところです。

●まさか、勇者の血を引いていない?

 勇者の血を引いているのに呪文が使えない、と考えるから謎が深まるのかもしれません。もし仮に、ローレシアの王子が勇者の血を引いていなければ、呪文が使えないのも不思議な話ではないでしょう。

 もちろん魔法は、勇者だけの特権ではありません。しかし、ロトの一族が魔法の素質に優れているのは、傾向を見れば明らかです。その血を引いてるのに……と考えるより、その血を引いてないから使えない、と考える方が自然かもしれません。

 とはいえ、さすがに「ロトの一族じゃない」説は乱暴過ぎる意見といえます。呪文が使えなくとも、ロトの剣や鎧などはしっかり装備できるので、ローレシアの王子が勇者の血を引いているのはまず間違いなさそうです。この考察は、仮説にしても可能性は極めて低いでしょう。

●自らの意志で呪文を諦め、戦士を極めた可能性

 呪文を「使える・使えない」の2点のみで捉えるから、実態から遠ざかるのかもしれません。魔法を使いこなすには素質も重要ですが、十分な修練や学習も必要なはずです。そのためローレシアの王子は、使えるかどうかではなく、あえて呪文を学ばなかった可能性も考えられます。

 戦う力が必要になった時、武術も魔術も共に役立ちます。しかし、このふたつはまったく別の技術です。よほど才能に恵まれ、そして努力を続けなければ、両立は叶わないでしょう。

 強力な呪文を使いこなすムーンブルクの王女は、防御面や物理攻撃が大きく劣ります。魔法に特化した分、他は疎かになったと思われます。サマルトリアの王子は文武両道ですが、物理攻撃はローレシアの王子に叶わず、魔法ではムーンブルクの王女に及びません。

 勇者の血を引いてるといっても、人間のため限界はあります。そこでローレシアの王子は、呪文を学ぶ道を諦めて武術に打ち込み、魔法は全く使えない一方で、優れた戦士として開花したのかもしれません。

●時代を経て、勇者の血が衰えた可能性も?

 ここまではローレシアの王子自身に理由を求めてきました。一方、世代による影響という線も考えられます。まず、ゲーム上で血筋が最も古い『ドラクエ11』の勇者は、剣を使いこなし、呪文は攻撃・回復・蘇生など広く網羅しているオールラウンダーです。歴代主人公のなかでも、指折りの強さを持っている人物です。

 次いで古い『ドラクエ3』の勇者も、ギガデインやアストロン、ベホマズン、トヘロスと、強力な呪文や作中で勇者しか使えない呪文などを複数覚えます。パーティの編成次第で、物理アタッカーからサポート役までこなせる、実に頼もしい存在です。

 ところが、その次の『ドラクエ』の勇者は、最強の攻撃呪文がベギラマ、回復もベホイミ止まりです。ゲーム的に最も古い作品なので、シンプルなのは仕方のない話ですが、設定面だけ考えると、『ドラクエ11』→『ドラクエ3』→『ドラクエ』と代を経るごとに勇者の素養が弱まっているようにも見えます。

 どれほど優れた血筋でも、代を重ねるたびに他の血が入り、純血から遠ざかっていくのは必然です。そして『ドラクエ2』は、ロト3部作の末期にあたる作品なので、歴代の勇者が持っていた「近距離の強さ」「文武を兼ね備える器用さ」「強力な呪文を使う能力」が、3家に分かれる形になってしまったのかもしれません。

* * *

 ローレシアの王子がなぜ、呪文を使えないのか。その疑問に絶対の正解を出さずとも、『ドラクエ2』は十分楽しめます。だからこそ、揚げ足取りという意図ではなく、アレコレと自由に考えて自分なりの答えを考える、ひとつの楽しみ方でしょう。そうした余白に、あなたも想いを馳せてみませんか。

Androidアプリ版『ドラゴンクエスト II』:
(C)1987, 2014 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved

スーパーファミコン版『ドラゴンクエスト I・II』:
(C)1993 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

(臥待)

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