『ガンダム』可変モビルスーツが廃れたワケ 連邦が低コスト機に舵を切った要因は?
マグミクス / 2024年6月2日 6時25分
![『ガンダム』可変モビルスーツが廃れたワケ 連邦が低コスト機に舵を切った要因は?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_235067_0-small.jpg)
■可変機は便利だがコストが高い
『機動戦士Zガンダム』及び『機動戦士ガンダムZZ』には数多くの可変MS/モビルアーマー(MA)が登場し、様々な活躍や危機を演出していました。特に『Z』序盤に登場し、圧倒的な飛行性能の高さを生かして主人公「カミーユ・ビダン」の「ガンダムMk-II」や「アムロ・レイ」の「リック・ディアス」と互角に戦う敵MS「アッシマー」の姿は印象深いものでした。その後も「Zガンダム」や「メタス」、「ガブスレイ」に「ハンブラビ」「ギャプラン」など、さまざまな機体が登場し激闘を繰り広げていたものです。
しかし続編『機動戦士ZZガンダム』になると可変機は「ZZガンダム」と、合体機構を持つ「バウ」を除けば、「ガザC」及び「D」、「ガ・ゾウム」らガザ系モビルスーツに限られるようになり、その出番も大幅に減少しています。
なぜ、可変機が数を減らしたのかといえば、整備性の劣悪さという根本的な問題を抱えているためです。特に『Z』時代は、可変機に戦況を左右しうるエースパイロットが搭乗していることも多く、万一、不具合でもあれば取り返しがつかないため、わずかな不具合が発生しても機体をバラシてフルメンテを行なう必要がありました。エースパイロット用の特別待遇だからなんとか整備体制を維持できたのであり、大量の可変機運用は難しい問題を抱えています。
劇中、とにかくわらわらと登場していた姿が印象的。「HG 1/144 ガザC」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
なお、「アクシズ(ネオ・ジオン)」の「ガザ」シリーズは大量に運用されていますが、元々作業用として開発した機体を戦闘に転用したため、生産性と整備性に優れているという側面があります。その代償として運動性の悪さと格闘性能の低さ、耐久性に劣悪さを抱えており、エースパイロット向きの機体ではありません。
ただし火力は高く機動性は高いため、集団で戦場に到着し、一斉砲撃を行なうことにより敵モビルスーツを大量に撃破したシーンも存在します。これにより、練度の低いパイロットでも十分戦力化できることが証明され、地球連邦軍は第一次ネオ・ジオン戦争以降、低コストのモビルスーツ開発に力を入れるようになりました。可変機の戦果が、逆に可変機の居場所を奪うきっかけとなってしまったのです。
■可変機はプラモデル化に時間がかかる?
『UC』の時代の可変MS。「HG 1/144 リゼル」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
地球連邦軍は、変形機構を簡略化した「ゼータプラス」を開発するなど可変機の有効性は認めており、『機動戦士ガンダムUC』にはメタス系列の可変機構の流れをくむ「リゼル」が登場しています。リゼルは部品規格などの一部をジェガン系列と統一し、可変機が抱えていた生産性と整備性の悪さをクリアしていました。Zガンダム系列の機体は非常に操縦が難しいことで知られていましたが、リミッターを設けることにより新兵でも扱え、リミッター解除により熟練兵が満足できる性能を発揮できるようにされているなど、可変機として完成の域に到達しています。
ただし、リゼルは地球連邦軍主導の開発ではなく、「アナハイム・エレクトロニクス」が「エゥーゴ」と立ち上げたMS開発プロジェクト「Z計画」側からの売り込みであり、以降、新型機が開発された形跡は今のところありません。
そもそもこの時代になると、宇宙世紀の大きな動乱において、地球連邦軍に敵対する勢力はテロリストに限定される状況となっているため、量産型MSとエース用MSの更新を行ない、移動距離に関してはサブフライトシステム(いわゆる「ゲタ」)を利用すれば十分です。わざわざ維持管理の難しい可変機を量産する必要性も無くなっています。
もっとうがったことを言ってしまえば、可変機はプラモデルの設計に手間がかかるという問題もあります。現代の開発技術であればある程度の見込みを立てて動くことも出来るでしょうが、1980年代半ばに可変機を何年も続けて出し続けるのは難しかったのではないでしょうか。当時発売された、可変機構を再現したキット「1/100 Zガンダム」を世に送り出した関係者の苦闘がしのばれます。
とはいえ可変機にはどこか心をくすぐる浪漫があります。いつかまた、新たな可変機が登場してくれることを願ってやみません、
(早川清一朗)
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