令和6年6月6日は「恐怖の日」 伊藤潤二『うずまき』ほかレジェンドホラー作家原作の実写版
マグミクス / 2024年6月6日 6時6分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_235717_0-small.jpg)
■魔力めいたものを感じさせる「666」
2024年6月6日は「令和6年6月6日」となり、6という数字が並ぶ珍しい1日になります。新約聖書において「666」は、「獣の数字」や「悪魔の数字」とされています。そのことから、6月6日は「恐怖の日」とも呼ばれています。
リチャード・ドナー監督のホラー映画『オーメン』(1976年)では、悪魔の子「ダミアン」は6月6日6時生まれで、「666」という痣が頭にありました。「777」がおめでたい感じがするのに対し、「666」はどこか魔力めいたものを感じさせる数字です。
令和6年6月6日「恐怖の日」にちなんだ、海外でも注目されている人気ホラー漫画家たちの作品を原作にした実写映画を紹介します。
古代からの信仰と結びつく『うずまき』
じぃ~と「666」という並びを見つめていると、何だか「6」という数字がうずを巻き始めているように感じられてきませんか? そんな気がちょっとでもする人におすすめなのが、伊藤潤二氏の人気マンガ『うずまき』です。『ノルウェーの森』(2010年)などに出演した初音映莉子さんの主演作として、2000年に実写映画化されています。
主人公となるのは、女子高校生の五島桐絵。最近、彼女が暮らす町では、おかしな出来事が続いていました。桐絵の周囲の人たちが「うずまき模様」に異常なほどに関心を示し、取り憑かれたようになっていたのです。桐絵のボーイフレンドの両親は変死を遂げた挙句に、火葬場の煙は気味の悪いうずを巻いていました。
カタツムリ、陶芸用のろくろ、らせん階段、ゼンマイ、なると巻き、カールした髪、指紋、さらには耳の奥にある「うずまき管」……。そんな身近にある「うずまき状」のものと、古代からある「うずまき模様」に対する信仰心が結びつき、異様な展開になっていきます。「うずまきフェチ」とでも言うべき、『うずまき』のおかしな世界観は一度観たら忘れられないでしょう。
伊藤潤二作品は、映像クリエイターたちの創作意欲を刺激するらしく、代表作の多くが映像化されています。この世でもっとも美しい不死身の美少女「富江」をめぐる恐怖譚『富江』は、菅野美穂さん、宝生舞さん、酒井美紀さんらが妖しい富江役を演じ、たびたび実写映画化されてきました。ビジュアルが強烈な短編ホラー『首吊り気球』も、オムニバス映画『伊藤潤二 恐怖collection』(2000年)として実写化されています。
東京都世田谷文学館では2024年9月1日(日)まで、大規模な個展「伊藤潤二展 誘惑」が開催されています。原作マンガ『うずまき』のその後をイメージした新作イラスト『禍々しき桐絵』や、『うずまき』をモチーフにした参加型メディアアートなども用意されており、伊藤潤二ファン、うずまきマニアは見逃せません。
■「みんな ぱらいそさ いくだ」のセリフに鳥肌が立つ衝撃のホラー
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キリストは日本にいた? 諸星大二郎原作『奇談』
キリスト教を題材にした恐怖マンガとして、諸星大二郎氏の人気シリーズ「妖怪ハンター」の一編『生命の木』があります。青森県に実在する旧戸来村には、なぜかイエス・キリストの墓があるのですが、そんなキリスト教異聞を『生命の木』はモチーフにしています。
考古学界の異端児である稗田礼次郎は、東北にある小さな村を訪ねます。その村には「かくれキリシタン」の集落があり、キリスト教徒が弾圧されてきた長い歳月の間に、キリスト教が土着化して変容した形で言い伝わっていました。死者が甦るなど不思議な出来事が起きる集落で、稗田は驚くべき光景を目撃することになります。
カルト的人気の諸星ワールドのなかでも、『生命の木』は知名度が高い作品です。『ヒルコ 妖怪ハンター』(1991年)では沢田研二さんが稗田役を人間くさくコミカルに演じましたが、『奇談』では阿部寛さんがクールな稗田をシリアスに演じています。「みんな ぱらいそさ いくだ」という衝撃のクライマックスシーンがどのように映像化されたのか、ぜひ確かめてみてください。
諸星作品は他にも、堺雅人さんが主演した都会派ミステリー映画『壁男』(2007年)、南沢奈央さんと前田敦子さんが共演したホラーコメディドラマ『栞と紙魚子の怪奇事件簿』(日本テレビ系)などが実写化されています。それぞれ、監督たちの諸星ワールドへの偏愛ぶりを感じさせる作品となっています。
美少女たちの恐宴! 楳図かずお原作『神の左手 悪魔の右手』
悪魔的な魅力を持つホラー漫画家を取り挙げるなら、この方を外すわけにはいきません。楳図かずお氏です。『漂流教室』や『14歳』など、スケールの大きな恐怖マンガを残している楳図氏ですが、日本映画は予算が限られており、なかなか実写映画化されにくいという実情があります。ファンが納得できるのは、湯浅憲明監督の『蛇娘と白髪魔』(1968年)、井口昇監督の『まだらの少女』(2005年)くらいでしょうか。
また、楳図作品は女性キャラクターが絶対的な美女、美少女であることが必須条件です。その点では、金子修介監督による『神の左手 悪魔の右手』(2006年)は、美少女たちが次々と恐ろしい目に遭うジュブナイルホラーとなっています。
もともとは実写映画『デビルマン』(2004年)を手掛けていた那須博之監督が準備していた企画でしたが、那須監督が2005年に急逝したため、日活時代の後輩にあたる金子監督が引き継いだ形で完成させました。
主演の渋谷飛鳥さんは、『デビルマン』のミーコ役を熱演したことで知られています。また、金子監督の『ガメラ3 邪神覚醒』(1999年)に主演した前田愛さん、グラビアアイドルとして人気の紗綾さん、かでなれおんさんも出演し、「美少女度数」の高い作品となっています。美少女たちがまとう儚さ、ミステリアスさも、ホラー映画の大きな魅力です。
6月6日は「恐怖の日」。あなたは、どんな恐怖を楽しみますか?
(長野辰次)
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