「再現しすぎ」「シリーズ最恐」 当然R指定になった過激マンガの実写化映画
マグミクス / 2024年6月18日 20時25分
■次第に増殖していく美女
原作マンガを実写化するうえで、キャラクターデザインやストーリー展開、描写を忠実に再現することは、ファンにとっても喜ばしいことでしょう。ただ、なかには過激な描写をしっかり映像化したことで、「映画倫理機構」(映倫)から「R指定」に分類された作品も少なくありません。
●『富江 アンリミテッド』
ホラーマンガ界の天才と称される伊藤潤二さんの傑作マンガ 『富江』は、TVドラマのほかに、これまで8作の実写版映画シリーズが製作された、人気ミステリーホラー作品です。なかでも8作目の2011年『富江 アンリミテッド』は、特にグロテスクなシーンが登場するため、シリーズ初のR15+指定作品として公開されました。
物語は女子高生「月子」(演:荒井萌)が、同じ高校に通う姉「富江」(演:仲村みう)の、建設現場で落下してきた鉄骨に突き刺さり死亡する瞬間を目撃するところから始まります。そして、1年ほどの時が経過し月子も平穏を取り戻したある日、死んだはずの富江が現れるのでした。ただ、帰ってきた富江は様子がおかしく奇妙な行動を繰り返していきます。
本作は原作同様、富江が身体を切り刻まれても、それぞれ再生していき別々の富江に増殖していく恐怖描写が見どころです。富江の肉片の一部が月子のお弁当箱に入り、開けるとそこには再生した富江の顔があったり、襲われた月子の親友の首元から富江が生えてきたりと、恐怖は連鎖していきます。
また、富江をお風呂場でバラバラに解体するシーンや、胴体が横半分にもげる描写など、R15+指定も頷けるスプラッターシーンが数多く描かれていました。特に、物語終盤のムカデのような形態になった富江が無数に出現する場面は、鑑賞する人によってはトラウマになりかねません。
本作に関して、ネット上のレビューでは「シリーズ作のなかで一番富江を表現していたかも」「R指定なだけあって満足度の高いグロ描写だった」と好評な一方で、「悪趣味すぎる」「ストーリー展開に突っ込みどころが多すぎた」といった評もあり、強烈な作品だけに賛否も分かれているようです。
●『ダブルミンツ』
2007年から2008年まで「mellow mellow(メロメロ)」(宙出版)にて連載された『ダブルミンツ』は、漫画家の中村明日美子さんによるボーイズラブ作品で、2017年に実写映画化されています。本作は実写化発表時点で、ネット上で原作ファンからの「これ再現するってことは成人指定かな」などの声が上がり、おおかたの予想通りR15+指定作品として公開されました。
物語は、「壱河光夫/ミツオ」(演:淵上泰史)が高校の同級生「市川光央/みつお」(演:田中俊介)からある日、「女を殺してしまった」と電話を受けるところから始まります。そして、ミツオはこの事件をきっかけに、徐々に危ない世界へと迷い込んでいくのでした。
みつおにいじめられて下僕になっていたミツオとの主従関係が、徐々に変化していくところも見どころです。また、原作よりも性愛描写は控え目になっているものの、ベッドシーンや暴力シーンは数多く描かれています。
R指定になるのも納得の内容で、ネット上では「共依存のふたりはどこか壊れそうでもあり、固く結ばれているようにも感じて原作に忠実だった」「過激なシーンが異常すぎて逆に最高だった」といったレビューが見受けられました。
ただ、なかには「あまりBLさはなく、サスペンス作品感が強い」など、よりふたりの関係性を濃密に描いてほしかったという意見もあります。
■過激な濡れ場も完全再現した実写映画
沢尻エリカさんの演技が光る岡崎京子原作の『ヘルタースケルター』スペシャルプライスDVD(Happinet)
●『ヘルタースケルター』
1980年代から90年代半ばにかけて多数の作品を発表した岡崎京子先生のマンガ『ヘルタースケルター』は、2012年に沢尻エリカさん主演、蜷川実花監督により実写映画化されています。
人気モデルで芸能界のトップスターである主人公「りりこ」(演:沢尻エリカ)の、絶頂と転落をカラフルな世界観で表現した作品です。りりこは「美貌とスタイルは全身整形でつくったもの」という秘密を抱えており、そういった闇を周囲に隠しながら暮らしていくうちに、整形の副作用やストレスにだんだんと精神を蝕まれていきます。
R15+指定の同作には、濡れ場が多く盛り込まれていました。楽屋でのりりこと恋人のセックスシーンや、女性マネージャー「羽田」(演:寺島しのぶ)に自分の股間を舐めるように命令する場面など、衝撃的なシーンが原作同様に描かれています。
ネット上のレビューでは「映像の美しさと人間の醜さのコントラストが素晴らしかった」「沢尻さんの全部やりきってる感がこっちまで伝わってくる」と体当たりの演技を見せた沢尻さんだけでなく、監督を務めた蜷川実花さんの独自の色彩や世界観にも好評の意見が見受けられます。
(LUIS FIELD)
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