『ガンダム』フラウ・ボゥは結局アムロをどう思っていたの? そこに恋心はあったのか
マグミクス / 2024年6月6日 7時25分
![『ガンダム』フラウ・ボゥは結局アムロをどう思っていたの? そこに恋心はあったのか](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_235854_0-small.jpg)
■マチルダに恋をするアムロに、嫉妬するフラウ
突然ですが、みなさんは「ガールフレンド」という言葉をどのように解釈しているでしょうか。交際している彼女と捉えたり、男性から見た異性の友達と捉えたりなど、人によって受け止め方が違うかもしれません。
話は変わって、「ガンダム」シリーズの第1作目『機動戦士ガンダム』には、「フラウ・ボゥ」という女性キャラが登場します。アニメ公式サイトでは「アムロのガールフレンド」と記されているものの、作中を見る限り、付き合っているカップルのような描写はありません。結果を言えば、最終的にフラウは、主人公の「アムロ・レイ」ではなく、「ホワイトベース」クルーの一員「ハヤト・コバヤシ」と結婚しました。
恐らく異性の友達という意味での「ガールフレンド」だったのだと推測できますが、個人的には、フラウの様子を見る限り、アムロに好意を寄せていた時期は、確かにあったと受け止めています。なぜフラウは、アムロを結婚相手として選ばなかったのでしょうか。
ご存じの通り、アムロは「サイド7」にジオン軍の「ザクII」が奇襲をしかけてきたことにより、成り行きで「ガンダム」に搭乗し、その後は、ガンダムのパイロットとして活躍します。フラウもホワイトベースクルーの一員となり、通信担当や孤児の「カツ」、「レツ」、「キッカ」のお世話などを担うことになりました。
それまでのふたりといえば、フラウは、父の留守をいいことに趣味の機械いじりに勤しむアムロの世話をするなどしており、第1話の彼女の様子を見る限りは、「母と父がそばにいないアムロのために寄り添う」という印象が強いように思います。
アムロとフラウがホワイトベースクルーになってから以降も、フラウはアムロに対して「爪を噛むクセを指摘する」「ガンダムへの搭乗を促す」といったように、サイド7での生活と同様にアムロの面倒を見ていた様子がうかがえます。
ここまでの段階で、これが好意からくるものなのか、母性によるものなのか判然としないままでしたが、アムロがミデア補給部隊の隊長「マチルダ・アジャン」と出会った辺りで、フラウの言動に変化が見られます。
マチルダといえばアムロの初恋の人として知られるキャラクターで、アムロは、惚れてしまったマチルダに自ら関わろうとしていました。
これを察したフラウは、アムロを彼の部屋の前で待ちぶせし、アムロが帰ってくると「どこに行ってたの?」と悲しい表情で問いかけています。フラウに無頓着なアムロは、彼女の気持ちを察することができず、「なんだい?」と冷たく対応し、フラウも諦めて「何でもないわ」と言って、その場から立ち去るのでした。
その後のブリッジのシーンとあわせ、フラウの、マチルダに対する嫉妬の表現としてわかりやすく、この様子から、フラウはアムロに異性として好意を寄せていた可能性があったと推測します。
■アムロとフラウが結ばれなかったのは「アムロが子供だった」から?
物語開始当初はまだ15歳の少年少女だったアムロとフラウ。『機動戦士ガンダムI/特別版』DVD(バンダイナムコフィルムワークス)
その後、アムロが失踪した時にはフラウひとりで探しに行くなどして、アムロに寄り添い続けましたが、次第にアムロはパイロットとして頭角を現し、さらには「ニュータイプ」に覚醒したことで地球連邦軍には欠かせない戦力となり、アムロは、フラウが知っている「アムロ像」からかけ離れた存在になっていきます。
その証拠に、作中のフラウのセリフには、アムロに対する本音がにじみ出ています。第35話「ソロモン攻略戦」にて、負傷したハヤトとフラウが会話した場面では、フラウが「アムロは……違うわあの人は。私たちとは違うのよ」と話していたり、第37話「テキサスの攻防」で久しぶりにアムロとフラウがふたりきりで言葉を交わした際、「アムロって怖いくらいたくましくなったのね」「あたしなんかには届かなくなっちゃったのね」と思いを告げていたりしていました。
この時点でフラウは、アムロに対して以前のような好意がなくなって、手の届かない「スーパーヒーロー」のような存在として見るようになり、結果的に、身の丈に合ったハヤトを結婚相手として選んだのではないでしょうか。
そもそもアムロやフラウは15歳(物語開始当初)の子供であり、さらに戦争の渦中のただ中に生きていたわけで、普通に考えれば、どちらも恋にうつつを抜かす暇さえなかったのだと思います。
アムロは、フラウが嫌いだったのではなく、彼女のありがたみが分からない精神年齢だったために、彼女の優しさを疎ましく感じていたのではないでしょうか。
息つく暇もなく必死に戦い、求められるがまま戦果もあげ、大人として成長した時に、アムロは、ようやくフラウの存在の大きさに気づいたことでしょう。しかし、気づいた頃には、フラウの心は離れてしまい、すでに手遅れだったと考えれば、戦いに奔走したアムロが不憫でなりません。
物語において「たられば」を言っても仕方ないですが、もう少しアムロが早いうちに大人であれば、フラウと結ばれる運命があったのかもしれません。
(LUIS FIELD)
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