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「原作者がガッツリ関わるアニメ映画」が続々誕生 クオリティが格段にあがる納得の理由

マグミクス / 2024年6月8日 8時10分

「原作者がガッツリ関わるアニメ映画」が続々誕生 クオリティが格段にあがる納得の理由

■原作者が作詞や声優も務めたことも

 注目のアニメ映画が続々と公開される今、「原作者がガッツリと関わったアニメ映画」も生まれています。近年での3作品+αと、それらの作品が成功した理由に着目します。

●『THE FIRST SLAM DUNK』

 言わずと知れたバスケットボールマンガの金字塔『SLAM DUNK』のアニメ映画で、原作者である井上雄彦さんが監督、脚本をも手がけた『THE FIRST SLAM DUNK』(2022年)は、映像面でのクオリティの追求が凄まじいことになっています。書籍「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」では、制作前にアイデアスケッチやスタッフに伝えるためのイラストを描き、注釈で細かい指示を入れ、キャラクターの眉や唇などにチェックと修正を繰り返しており、何ひとつとして妥協を許していないことが分かりました。

 スタッフへのインタビューでは「(井上監督は)原作者として物語のビジョンがあり、それをちゃんと共有できる明瞭でやさしい言葉を持っている」などと語られており、理想的なスタッフと監督との連携ができたこともうかがわせます。出来上がった映像の「マンガそのままキャラクターが、本当のバスケの動きで、熱い試合を繰り広げている」興奮と驚きは、クリエイターの努力と執念の賜物です。

●『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』 (前章/後章)

 東京上空に巨大な宇宙船が来襲した終末世界での女の子たちの日常を描く、2024年公開のアニメ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』2部作(前章/後章)の原作者、浅野いにおさんは、脚本やキャスティング会議などに関わった他、完成披露試写会のあいさつでは「前章だけでも100から200カットはリテイクをお願いして作業をしていただいている」「直接レタッチしたり、場所によっては僕がゼロから描いたものもある」とも打ち明けていました。スタッフロールには、「原画」に浅野さんのクレジットがあります。ほとんど「総監督」のような仕事、と言ってもいいでしょう。

 また、「後章」の挿入歌であるでんぱ組.inc「あした地球がこなごなになっても」の作詞を手がけたのも、浅野いにおさんです。こちらは2015年リリースの楽曲で、浅野いにおさんは「当時は『デデデデ』(原作マンガ)の世界観で頭がロックされていて、この曲をこの世界観で作ってみよう」と考えていたそうですが、当時はアニメの企画はなく「楽曲を使ってもらおうなんて思ってもいなかった」とのことでした。実際の劇中のシーンとの歌詞のシンクロには、鳥肌が総立ちになります。

■元アイドルが作り上げたアイドルアニメ映画

映画『トラペジウム』ポスタービジュアル (C)2024「トラペジウム」製作委員会

●『トラペジウム』

 アイドルを夢見る女子高生が、かわいい女の子たちをほぼ一方的に計画に巻き込んでいく青春アニメ映画『トラペジウム』(2024年)の原作者は、元乃木坂46のメンバーである高山一実さんです。彼女は映画公式サイトでも「長期に渡る映画制作の中で、脚本や音楽など幅広く携わっている」ことが明かされており、実際にアニメ映画を4年近い歳月をかけてスタッフとともに作り上げています。

 たとえば、キャラクターを映像化するにあたってさらに深掘りしていく必要にかられ、それぞれのスリーサイズから、靴のサイズ、血液型や誕生日、家族構成に至るまで、ひとつずつ考えていました。原作では具体的な場所のイメージはなかったシーンで、高山さんが地元(千葉県)の具体的な場所を提案したこともあるそうです。

 さらには、高山さんはキャストオーディションに立ち会ったほか、(小説にも書かれていた)エンディングテーマ曲「方位自身」の作詞も手がけています。元乃木坂46の西野七瀬さんとともに担当したおじいさんの声は賛否両論を呼びましたが、それ以外は原作のエッセンスを余すことなく入れ込み、さらにアニメならではの表現も突き詰めていました。

●国民的な作品でも原作者が関わっている

 他にも、『ONE PIECE』『名探偵コナン』『ドラゴンボール』といった国民的人気作の劇場版でも、それぞれ原作者がガッツリと関わるようになっています。2023年公開の『SAND LAND』では、原作者の鳥山明さんがスライムのデザインを新たに描きおこしたり、原作から膨らませた終盤の見せ場の提案にもOKを出したりしていたそうです。

 往年の作品では、原作マンガの作者がアニメ映画を監督した『風の谷のナウシカ』(1984年)『AKIRA』(1988年)は言うまでもないでしょう。劇場版「ドラえもん」シリーズでも、藤子・F・不二雄さんは原作マンガを描き、脚本と製作総指揮としてもクレジットされていました。また、『花の詩女ゴティックメード』(2012年)では永野護さんが原作、監督、脚本、絵コンテ、レイアウト、原画、全デザインまでも手がけています。

 近年では、『窓ぎわのトットちゃん』(2023年)で製作とナレーションを黒柳徹子さんが担当し、映画『ゆるキャン△』(2022年)ではあfろさんが監修を務め、『冴えない彼女の育てかた Fine』(2019年)では丸戸史明さんが単独で脚本を書いたほか、来場者特典の書きおろし小説も執筆しました。さらに、『BLUE GIANT』(2023年)は原作マンガの編集者かつストーリーディレクターの南波永人さんが、「NUMBER 8」名義で脚本を手がけ、スピンオフ小説も担当しています。

 このように原作者や関係者がガッツリと関わったアニメ映画は、間違いなく作品としてのクオリティが格段にあがっていますし、スタッフと二人三脚で作り上げているからこそ「解釈違い」なども生まれないでしょう。そのための苦労ももちろんあるでしょうが、そもそも「(たとえ変更を加えても)原作者が納得できる内容とクオリティを目指す」ことは、映像作品では最低条件とも思えます。原作者も原作ファンの納得のアニメ映画が生まれることを、今後も期待しています。

(ヒナタカ)

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