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「ほのぼのからの急転直下」 名作だけど「トラウマ」の意見も多いアニメ映画

マグミクス / 2024年6月13日 17時25分

「ほのぼのからの急転直下」 名作だけど「トラウマ」の意見も多いアニメ映画

■平穏な日常のなかに突如現れる恐怖

 毎年何本も作られるアニメ映画のなかには、衝撃展開が話題になる作品もあります。そのなかには、日常のなかに不意に挟まる絶望や、身震いするほどの猟奇的な描写で、観客に衝撃を与えたアニメ映画もありました。

※この記事には『この世界の片隅に』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』『劇場版 空の境界 第三章 痛覚残留』のネタバレが含まれています。

●『この世界の片隅に』

 2016年に公開された、第二次世界大戦下の広島が舞台のアニメ映画『この世界の片隅に』は、こうの史代先生の同題マンガが原作の作品です。2019年に新たなカットを追加して主人公「北條すず」の内面をより深く描いた、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』も公開されました。

 同作では、すずの視点を通して戦争でどんどん貧しくなっていく生活や、空襲が日常になっていく描写など、戦時下の庶民の生活がとてもリアルに再現されています。しかし、常にのんびりしているすずの性格のおかげもあって、戦争を描いたアニメでありながら、作中の雰囲気はほのぼのしていました。

 しかし、物語中盤で、すずは不発弾の爆発に巻き込まれ、姪の「晴美」と自身の右腕を失ってしまうのです。絵を描くことが大好きだったすずが、この悲劇で利き手を失ってしまった絶望感は、アニメーションならではの演出でとても痛々しく表現されました。

 その後、原爆投下、敗戦と史実通りの悲劇も描かれ、終盤に出てくる少女の「原爆で死亡した母親」の記憶の映像もショッキングです。それでも物語が暗くなり過ぎないのは、すずの性格とそれを表現しきった主演、のんさんの役作りの妙でしょう。国内外で様々な映画賞を受賞している同作に関して、ネット上では「絵柄がかわいらしい分、衝撃が凄かった」「きついけど、戦争もののアニメのなかではマイルドな方だと思うからみんな観てほしい」とさまざまな意見が出ています。

●『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

 2023年に公開されたアニメ映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、水木しげる先生の名作『ゲゲゲの鬼太郎』の主役「鬼太郎」誕生までの秘密を描いた作品です。ロングランヒットとなり、高い人気を博した一方で、その衝撃的な内容に「子供が観て大丈夫か」といった意見も続出しました。

 同作は映倫から「PG12指定(小学生の観覧には、親又は保護者の助言、指導が必要)」に分類されているものの、R指定にすべきではないかと思わされるような要素も多分に盛り込まれています。

 物語の舞台は昭和31年の山奥の「哭倉(なぐら)村」で、主人公は銀行員の「水木」と、後に「目玉おやじ」となる鬼太郎の父、通称「ゲゲ郎」のふたりです。日本の政財界を牛耳る龍賀一族の当主「龍賀時貞」の死去に伴って、龍賀一族と縁を結び、出世の足掛かりとすべく村を訪れた水木は、「龍賀沙代」という少女や「幽霊族」のゲゲ郎と出会い、龍賀一族の富を支える製薬の秘密にも迫ります。

 次々と起きる謎の死や村の因習、薬の製法など、衝撃を受けるシーンが多々あるなか、黒幕「龍賀時貞」のおぞましさは飛び抜けていました。時貞は、自分のために孫の「時也」を躊躇なく犠牲にする性格で、自分の娘や孫を慰み者にしていたことも明かされます。特に、ヒロインの沙代が「お気に入り」だったことが分かる場面は、あまりのおぞましさに気分を害した人もいるのではないでしょうか。

 とはいえ、同作は水木とゲゲ郎の友情やキャラの濃さ、魅力にもあふれた作品で、終わり方も切なくはあれど、後味はそれほど悪くはありません。視聴後は、鬼太郎や目玉のおやじのルーツが分かり、愛着も生まれるため、『ゲゲゲの鬼太郎』につながる前日譚としても最高の作品といえます。

●「劇場版 空の境界」シリーズ『第三章 痛覚残留』

 アニメ「劇場版 空の境界」シリーズは、「Fate」シリーズのシナリオなどで知られる、奈須きのこ先生の小説が原作の劇場アニメ作品です。2007年から始まった同シリーズは、全7章と終章「終章/空の境界」、外伝「未来福音」が公開されました。

 主人公は、万物の生の綻びを視認できる眼「直死の魔眼」を持つ少女「両儀式(りょうぎ しき)」と、彼女の同級生だった「黒桐幹也(こくとう みきや)」のふたりで、彼らはさまざまな事件と遭遇します。いずれも、猟奇殺人や悪霊絡みなどホラーテイストの事件が主題で怖さは感じますが、そのなかでも「第三章 痛覚残留」は抜きん出ていました。

 第三章のメインキャラは「浅上藤乃」という少女で、物語は修道服姿の彼女が不良グループに性的暴行を受けている場面から始まります。彼らは痛みを感じない「無痛症」である藤乃を痛みが復活するまで暴行し続け、それを楽しんでいました。この冒頭部分の時点で眉をひそめる人も多いかと思いますが、この後の展開も狂気に満ちています。

 子供の頃に「無痛症」と引き換えに封印された、物を捻じ曲げる「歪曲」の異能力が戻った藤乃は、自分を暴行した不良グループやその仲間たちを、次々と殺していくのです。「歪曲」を使い、ゆっくりと手足をねじ切っていく場面は、被害者の迫真の悲鳴と相まってかなり痛々しい描写でした。自身の殺人の口封じを口実に藤乃が殺人を楽しんでいるように見える描写も、人間の闇を感じさせます。

 また、藤乃を直接暴行した不良グループの最後のひとりは、彼女に殺されることなく生存しており、罪の意識を抱いたり、法に裁かれたりする描写もありませんでした。いくつもの衝撃や興奮も提供してくれる名作シリーズのなかでも、この第三章で感じた現実の事件のようなやるせなさを、いつまでも記憶している人は多いのではないでしょうか。

(SU_BU)

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