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「夢を見させてもらった」 原作とは違う終わり方も評判だった実写化成功作

マグミクス / 2024年6月12日 20時25分

「夢を見させてもらった」 原作とは違う終わり方も評判だった実写化成功作

■人気を得るOVA版の展開も反映

 マンガの実写化では、ストーリーを予定された時間内に収める都合など、大人の事情で原作の流れが改変されることが多く、賛否を呼んでしまうことが少なからずあります。ただ、改変が話題になった作品のなかで、原作と違う「結末」に好評の声もあった作品も存在しました。

●『るろうに剣心』

 1994年から1999年にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』(著:和月伸宏)は、5本の実写映画が2012年から2021年にかけて上映されました。これらの作品は好評を博しましたが、それでも原作と異なる点が多々生じています。

 特に大きな違いが、原作の途中で描かれた「緋村剣心」(演:佐藤健)と、彼のかつての妻「雪代巴」(演:有村架純)の出会いと別れを描いた過去編を、実写映画では最後に持ってきた点です。その物語が描かれた5作目『るろうに剣心 最終章 The Beginning』では、剣心が左頬に十字傷を負った経緯も改変されています。

 原作では巴の落とした小刀が偶然に傷を付けたという展開でしたが、実写版ではOVA版の『るろうに剣心 追憶編』と同じく、死を前にした巴が想いを込めて剣心の一本傷(剣心が殺した巴のかつての許嫁「清里明良」が付けた傷)に上書きするという流れになりました。剣心が十字傷を負った理由以外も、剣心が感覚器官を潰されてボロボロになって戦うなど、実写映画版は『追憶編』の影響が大きく、映画のスタッフロールにOVA版の名前も製作協力として名を連ねるほどです。

 最終作となった『The Beginning』のラストでは、1作目の冒頭だった鳥羽伏見の戦いでのシーンが再び使われ、タイトル通り最終作でありながら「始まり」ともいえるような、円環構造の幕引きとなっています。公開後は、ネット上で「最後の鳥羽伏見の戦いのシーンが、10年前の第一作の最初のシーンという演出が熱過ぎる!まさに終わりであり始まり!」「終わり方がこれから物語が始まるって感じがして新鮮だった」「闇乃武との戦いと巴の日記、ラストシーンの鳥羽伏見へ向かう『あの展開』は泣いたなぁ~」と、原作とはまた別の終わり方が話題と評判を呼びました。

●『銀と金』

 1992年から1996年まで「アクションピザッツ」(双葉社)で連載されていた『銀と金』(著:福本伸行)も、2017年に実写化したドラマ版では原作とは違う終わり方を迎えています。同作は「森田鉄雄」(演:池松壮亮)が大物フィクサーの「平井銀二」(演:リリー・フランキー)と出会ったことをキッカケに、裏社会へと足を踏み入れ、成長していく物語です。

 ドラマ版の最後は、パチンコチェーン店の総帥で悪趣味な大富豪である「蔵前仁」(演:柄本明)と、独自ルールのギャンブル「蔵前麻雀」(原作では「誠京麻雀」という名前)でのマージャン対決が描かれます。全11巻ある原作のうち、「麻雀編」は7巻の冒頭までで、原作の半分より少し進んだくらいで終わっています。

 そんな「麻雀編」も戦いの果てに、蔵前を自らの策略に乗せた銀二が勝利する流れは同じですが、原作での鉄雄は引き続き銀二に協力を続けるのに対し、ドラマ版は森田が「銀さんと身を焼くような勝負がしたい」と銀二のもとを離れ、今度は敵同士としてふたりが再会して、森田が勝負を挑むところで終わりとなります。

 原作では、森田は仕事で家電メーカー「カムイ」の一族の争いに関わり、助けたかった人たちを救えず悪党が得をする姿を目にして、思いつめて裏社会から引退しました。その後、彼は最後まで登場しません。終盤は銀二が大物政治家「河野洋一」と競馬で勝負し、勝利を収めて引退しようとするも、多くの人間を地獄に突き落としてきた自分が「勝ち逃げ」はできないと、近いうちの敗北を予感しながら裏社会で戦い続ける決意をして終わりました。

 原作の結末も「勝ち続ける……灰になるまで……」の名言とともに人気ですが、森田と銀二の勝負が観たかったという反応も多く、ドラマのラストは話題を呼んでいます。ちなみに、原作者の福本先生も雑誌「オトナファミ」2008年5月30日号のインタビューで、森田と銀二を戦わせる構想があったことを語っており、「またどこかで『銀と金』を描くことになったら、そこ(森田と銀二の対決)に向かっていくか、そこから話を始めるかでしょうね」とコメントしていました。

 ドラマ版のラストには、SNS上で「ドラマオリジナルのラストはちょっとした夢を見させてもらったような、ありがとうって云いたいような、嬉しいようなものだった」「ある意味原作漫画の続きであり、大半の読者層がしてた予想の答え合わせになってるようなもんだから視聴必見」「これは原作好きじゃないとできない改変」「あそこからの続編はない可能性大なのが残念」といった声が出ており、原作とはまた違う「If」の物語も好評だったようです。

■原作とは違う展開を描いた大人気医療ドラマ

『JIN-仁- 完結編』メインビジュアル (C) TBS (C) 村上もとか/集英社

●『JIN-仁-』

「スーパージャンプ」(集英社)で2000年から2010年まで発表された『JIN-仁-』(著:村上もとか)を原作とした、2009年と2011年のドラマ版も、原作から分岐したような違う結末を描いています。

 同作では「謎の男」と揉み合って階段から転落した結果、西暦2000年から江戸時代にタイムスリップしてしまった外科医の「南方仁」(演:大沢たかお)が、現代医療を用いて人びとを救っていくことにより、歴史に影響を与える物語が描かれました。

『JIN-仁-』の終盤は、仁が江戸時代でお世話になった「橘咲」(演:綾瀬はるか)が、緑膿菌にかかって死の淵をさまよいます。彼女を救おうとした仁は崖から転落し、元いた2000年に再びタイムスリップしました。

 そこは仁がタイムスリップする直前の世界で、仁は自分こそが冒頭の「謎の男」だったと気付くのです。しかし、江戸時代の仁は言葉を発せず、相手が自分であることを伝えられなかった結果、タイムスリップする前の自分と揉み合いになってしまいます。

 原作ではふたりとも階段から転落して、江戸時代から来た仁は過去に舞い戻りました。2000年に戻って手に入れた薬で咲を治療した仁は、最終的に彼女と結婚しています。現代に残った方の仁が働く「仁友堂病院」も、江戸時代にいる仁と咲のふたりを筆頭に作られたものでした。

 それに対し、ドラマ版では江戸時代から来た方の仁は階段から転落せず、入れ替わる形で現代の仁が消えてしまいました。江戸時代から来た仁は再び過去に戻ることはありませんでしたが、薬だけは江戸時代に届き、その薬を投与された咲の命は助かっています。

 江戸時代から仁についての痕跡や記憶は消えてしまいましたが、仁は咲の子孫である「橘未来」(演:中谷美紀)を通して、江戸時代で咲は消えた仁を思い続けて生涯独身を貫いたことを知ります。

 そして、ラストでは未来が病院に運び込まれ、彼女の手術を仁が執刀するところで終わりました。仁と咲のたどった運命は違いますが、「原作とは違うのに破綻せず、惜しまれながら亡くなったキャラが生き続ける世界の可能性まで考えられる素晴らしいラスト」「仁が咲からの手紙読む場面で泣いた」と、好評の声も出ています。

※記事の一部を修正しました。(2024年6月13日 12:23)

(LUIS FIELD)

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