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どんな僻地でも同じなのはなぜ 『ワンピ』世界の「共通言語」の謎が判明か?

マグミクス / 2024年6月16日 11時55分

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■マンガのお約束?それとも?

 広大で多様な文化を持つ『ONE PIECE』ワールドでは、どの海域でも共通の言語が使われています。これはいったい、なぜなのでしょうか。最終章で徐々に世界の秘密が明かされつつあるなか、言語の面から『ONE PIECE』の隠された謎について考えます。

※この記事では『ONE PIECE』単行本未収録の最新展開の話題を含みます。

●本来なら多言語世界になっているのが自然では?

『ONE PIECE』ワールドに言葉の壁が存在しないのは、極めて不思議なことです。鎖国している「ワノ国」や「空島」のようにアクセスが困難な地域まで同じ言語が使われており、文字まで同じです。大海原に島々が点在するような世界では人の往来が難しいため、本来なら文化や言語が独自の発展を遂げていてもおかしくありません。

 地球の国家で例えるなら、18000ほどの島からなり、2億7000万人以上もの人びとが住むインドネシアが適切でしょう。インドネシアには300以上の民族が存在し、文法や語彙が異なる500以上の言語が使われています。公用語としてインドネシア語が定められていますが、日常的に使っているのは3000万人ほどに留まっているとのことです。

 このような実例からすると『ONE PIECE』ワールドでも、島ごとに異なる言語が使われていてもおかしくないはずです。

 しかも「魚人」や「ミンク族」のような獣人含め、明らかに人間と異なる体の構造をした種族まで同じ言葉を使っています。水中でも呼吸が可能なエラを持つ魚人や、口の構造が人間と異なる獣人は、それぞれの肉体的特徴に応じた発声方法や、言葉を持っているのが自然ではないでしょうか。

 このような不思議を「マンガ作劇上の都合」と、メタ的に解釈することは可能です。実際に『ONE PIECE』ワールドが多言語世界だったとしたら、ルフィたちの冒険は爽快感を欠き、読みづらいものになっていたかもしれません。

 ちなみに、『ONE PIECE』25巻のSBS(質問コーナー)では、読者から「どうしてマンガの世界ではどこへ行ってもことばがつうじるのですか?」と、本作だけでなく「マンガあるある」への素朴な疑問がぶつけられました。これに対し、作者の尾田栄一郎先生は「漫画っていうのは、みんなの夢を、えがくものだからです。」と回答しています。

 この時点では、「どこへ行っても言葉が通じたらいいな」というような人間の夢をマンガで描いている、という答えにも思えましたが、最近になって作中の天才科学者「ベガパンク」が世界の真実を明かしたことにより、『ONE PIECE』の言語問題は、作劇上の都合ではなく、尾田先生が周到に用意した設定上の必然だった可能性も高まりました。

■全ての人びとは同じ文化圏に属していた?

ルフィと同じ血液型の魚人、ジンベエがパッケージの『ONE PIECE Log Collection“NOAH”』(エイベックス・ピクチャーズ)

 ベガパンクによれば、かつての『ONE PIECE』世界には巨大な大陸がいくつかあり、今ほど海に覆われた世界ではなかったようです。そして残された島々も、今後の水没の危機にさらされているとのことでした。この発表は、今回の考察に関して重大な真実を含んでいそうです。

 つまり、作中の世界は「偉大なる航路(グランドライン)」と「赤い土の大陸(レッドライン)」で寸断される前は、ひとつの文化圏だった可能性も高く、もともと同じ言葉や文字を使っていたから、海で寸断されても言語が変化しなかったのだと思われます。ベガパンクや亡きオハラの「クローバー博士」は、現在の「世界政府」ができる前にあった高度な文明を持った「ある巨大な王国」の存在を語っており、そこではみんなが同じ言葉を使い、平等に暮らしていたのかもしれません。

 この巨大な王国は、「世界政府」のもととなる20の王国の連合軍に敗れたそうで、「空白の100年」の間に起きた大規模な海面上昇もあって、記録がほとんど消えています。それでも、「電伝虫」や、新聞などのマスメディアの存在などが書き言葉の定着を助け、言語の分化を防いだのでしょう。

 また、ベガパンクは大きな変革が起きた「空白の100年」に関する真実を知ったのが、海賊王「ゴール・D・ロジャー」の一団であることも語っていました。第966話で描かれたワノ国の大名「光月おでん」の過去編では、ロジャーたちがグランドラインの最後の島にたどり着き、そこで何かしらの「財宝」および事実を知って大爆笑し、その島に「ラフテル(Laugh Tale)」と名付けたことが描かれています。

 ロジャー海賊団に同行し、このことを日誌に書いていたおでんは、「あの日おれ達は世界の全てを知った」「『ワノ国』はかつて世界と接していたのだ」と語っていました。おでんはロジャーたちと一緒に、世界が海に沈む前にワノ国が世界と「つながっていた」ことを知ったのでしょうか。

●獣人や魚人にも人間と同じ血が流れている

 かつては世界が分断されていなかった、というだけでは、身体の構造自体が異なる異種族まで同じ言葉を話す理由の根拠としては弱いかも知れません。そこで重要になるのが「血液型」です。『ONE PIECE』の登場キャラクターには、それぞれ血液型が設定されています。

 ただしA型やO型のように我々と同じものではなく、X型やF型など独自の血液型があります。ちなみにルフィ、ドラゴン、ガープは血族らしく全員F型です。

 そして、なんと麦わらの一味の操舵手「海侠のジンベエ」もまた、ルフィと同じF型の血が流れています。タイヨウ海賊団の船長「フィッシャー・タイガー」のエピソードから分かるように、人間と魚人は同じ血が流れており、輸血が可能なのです。

 また「ハンニャバル」「タマゴ男爵」のように、よく分からない種族に見えるキャラクターや、「チャルロス聖」のような「天竜人」にも血液型が設定されています。作中で獣人と人との輸血について言及されたことはありませんが、血液型が設定されている以上、輸血可能だと考えられます。

●食べ物まで一緒

『ONE PIECE』世界の同一性は食べ物にも及びます。見る限りにおいて、魚人や獣人にとって害はないが、人間にとっては毒になる食べ物、あるいはその逆の成分が含まれる食べ物はほとんど存在しないようです。

 また魚人や獣人が、魚や獣肉に忌避感をおぼえず食べている点にも注目です。獣人や魚人が獣や魚を食べるとき、人間が猿の肉を食べるときに受けるような忌避感を感じていないように見えます。タコの魚人の「はっちゃん」に至っては、嬉々として「たこ焼き」を作っていました。彼らのシンパシーは、あくまでも人間寄りなのです。

 同じ言葉を話し、同じ文字を使い、同じものを食べ、輸血すら可能な存在は果たして、見た目通りの異種族なのでしょうか。すでに作中では、「遺伝子」の操作に関する情報にも触れています。異種族が自然発生したのではなく、高度な文明を持つ巨大な王国で、人間をベースに遺伝子操作で生まれた亜人だったとしても不思議ではありません。

 言葉と異種族の起源に、『ONE PIECE』世界の大きな謎が隠されているのは間違いないでしょう。尾田先生がかつてSBSで答えた「夢」は、「世界中の人びとがかつて同じ文化、思想でしっかりつながっていた」ということなのかもしれません。

(レトロ@長谷部 耕平)

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