「まさかのアニメ化」と驚く作品の裏にある事情は? 海外市場や原作枯渇の影響か?
マグミクス / 2024年6月17日 20時10分
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■立て続けに発表される意外な新作アニメ
「アニメバブルはもうすぐ弾ける」といったことは長い間言われていますが、今もアニメは多数放送され、毎週のように新しいアニメの制作が発表されています。アニメファンにとってはうれしい状況ですが、新作として発表される作品のラインナップを眺めると、いくつかの傾向があるように感じます。なかには「なぜこれが今アニメ化?」と驚くようなものも、増えてきました。
●ある意味順当?他メディアの人気作品
現在TVアニメとして放送される作品の多くは原作があるものです。基本的には雑誌やサイト、小説レーベルがプッシュする作品が中心でしょうが、マンガでは各種ランキング……特に毎年年末に発表されるランキング書籍「このマンガがすごい!」の上位にランクインするような作品もアニメ化されることが多いです。
例えば2022年版のオトコ編の上位10作品のうち8作品がアニメ化されています。1位の『ルックバック』はマンガという媒体ならではの表現やテーマ性があるため、アニメ映画化(2024年6月28日公開)が発表された際には、意外に感じた人もいるかもしれません。
しかし、それだけ「このマン」上位というのは人気作の証となるようです。最近では『違国日記』や『ダーウィン事変』『トリリオンゲーム』のアニメ化も発表されており、いずれも「このマン」などのマンガランキングでよく見る人気作だけに、予想できたという人も少なくないでしょう。
●海外人気の高い作品の新展開
近年、アニメの展開は海外市場を抜きにしては考えられない状況になっていますが、それを如実に感じられるのがこの夏に放送されるロボットアニメ『グレンダイザーU』です。同作は1975年から放送された『UFOロボ グレンダイザー』のリブート作で、この過去作はアラブ諸国で非常に人気があります。
そうした背景から、新作の制作にはサウジアラビアのコンテンツ制作会社「マンガプロダクションズ」が深く関わっており、作中には同国の風景が登場することも分かっています。
さらに現在第5期が放送中の『デート・ア・ライブ』のように、中国での高い人気によって続編制作に至ったケースや、フィリピンで制作された『超電磁マシーン ボルテスV』の実写映画『ボルテスV レガシー』の日本公開などの動きもあります。このように展開の仕方こそさまざまですが、海外人気はアニメ化に小さくない影響があるようです。
●人気作品の関連作や特定ジャンルのアニメ化
人気作品に関連した、アニメ化も目立ちます。分かりやすいところでは、毎年恒例の映画が大ヒット続きの『名探偵コナン』の原作者である青山剛昌先生の初期のヒット作『YAIBA』が、2度目のアニメ化を果たします。劇場版最新作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』には『YAIBA』ネタも盛り込まれていましたが、それも「匂わせ」だったのかも……というのは考えすぎでしょうか。
ほかにも『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生による短編『MONSTERS』も、2024年1月に『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』としてアニメ化されました。
また少年誌の連載マンガが人気アニメになる傾向が強い昨今において、『マイホームヒーロー』や『アンダーニンジャ』『ザ・ファブル』といった、青年誌で連載されて実写化もされている、ややダークな作品のアニメ化も目立っています。
これらはいずれもアニメーション制作が手塚プロダクションであり、同社があえてそうしたジャンルに手を伸ばしているのではという推測もできます。アニメ業界も「原作不足」と言われて久しいため、こういった未開拓ジャンルへの挑戦が今後も見られる可能性もあるでしょう。
●『花ざかりの君たちへ』はなぜ今アニメに?
ほかにもアニメ40周年記念の『キン肉マン』新シリーズや、原作誕生40周年記念の『北斗の拳』の再アニメ化など、「◯周年」に合わせての新作発表は納得感があります。
このように新作アニメの発表にはさまざまな理由が考えられますが、それでも2024年5月に初のアニメ化が発表された『花ざかりの君たちへ』のように、「なぜ今?」となる作品があるのも面白いところです(もちろん『花ざかりの君たちへ』は面白く、ある程度以上の世代には知名度もある作品ではありますが……)。
意外な作品のアニメ化は、外部からはうかがい知れない事情もあるでしょう。それでもアニメの新作情報に接する際は、その内容とともにアニメ化の理由に思いを馳せてみると、また違った面白さを得られるかもしれません。
(はるのおと)
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