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「まだまだ現役なのに…」「降板の裏に複雑な胸中」 物議を醸したアニメの声優交代

マグミクス / 2024年6月15日 17時55分

「まだまだ現役なのに…」「降板の裏に複雑な胸中」 物議を醸したアニメの声優交代

■当時は賛否分かれた名作の声優交代

 長年視聴者が慣れ親しんできたキャラクターの声が変わるときは、多かれ少なかれ物議を呼んでしまうものです。たとえ後任の声優が圧倒的な実力を持っていて、違和感のない演技を披露してくれるとしても、そこには一筋縄ではいかないファンの心理がからんでいます。

 例えば『名探偵コナン』の声優交代は、特に有名な騒動といえるでしょう。1996年より「毛利小五郎」役を務めてきた神谷明さんが、2009年に突如降板となり、小山力也さんが後任に選ばれました。

 実はこの交代劇の背景には、込み入った事情があります。報酬面の交渉が折り合わなかったことも一部メディアで報じられましたが、その一方で制作側の人間との信頼関係に関わるトラブルもあったようです。神谷さんは「とある人物」の悪意ある行動により、「帰る場所」を奪われた……などの事情を示唆していました。

 神谷さんが複雑な胸中をのぞかせたことで、心配の声が続出しましたが、詳細は一切明かされていません。いまだにモヤモヤとした気持ちを抱えているファンもいるようです。

 最近の出来事でいえば、映画『THE FIRST SLAM DUNK』にも触れておきたいところです。『SLAM DUNK』はもともと1993年にTVアニメ化されており、このときは「桜木花道」役に草尾毅さん、「流川楓」役に緑川光さん、「三井寿」役には置鮎龍太郎さんといったキャスト陣でした。

 名前を見れば分かる通り、いまだに第一線で活躍する声優ばかりです。しかも放送終了後もイベントなどで各キャストが声をあてる機会があったため、ファンにとってはもはやおなじみの顔ぶれでした。一方『THE FIRST SLAM DUNK』は、公開1カ月前に声優が一新されることが発表されたため、物議を醸しました。

 とはいえ、いざ映画が公開されると、その前評判はみごとに覆され、ブーイングが嘘だったかのように絶賛の嵐となり、興行収入約158.7億円のメガヒットを記録しました。

 少し毛色は違うものの、2005年に行われた『ドラえもん』の声優交代にも触れておきましょう。「ドラえもん」の声といえば、26年間担当してきた大山のぶ代さんのイメージが強いですが、2005年にキャストやスタッフが一新され、アニメそのものが大幅にリニューアルされています。

 新世代の『ドラえもん』像を作り出したリニューアルですが、やはり新しい声を受け入れられないという層は少なくありませんでした。特に反発を招いたのは、「ドラえもん」の性格設定が大幅に見直されていたことです。

 というのも「大山版ドラえもん」はのび太を優しく諭し、ときには厳しく注意もする、いわば保護者のような立ち位置でした。一方で後任の水田わさびさんが演じるドラえもんは、のび太と一緒になってドタバタ劇を繰り広げていくため、友達のようなイメージです。

 実は原作のドラえもんは、どちらかというと「水田版ドラえもん」に近いキャラクター設定だという説もあり、「むしろ原作に近くなった」ともいわれています。

 やむを得ない事情があるとは分かっていても、声優交代はファンにとって受け入れがたいものでしょう。物議を醸した理由はじつにさまざまですが、今やどの作品も多くの人から受け入れられているようです。

※記事の一部を修正しました。(2024年6月17日17:04)

(ハララ書房)

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