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『ガンダム』ジオン軍はなぜ「潜水艦隊」を用意周到に準備し実戦投入できたのか?

マグミクス / 2024年6月18日 6時25分

『ガンダム』ジオン軍はなぜ「潜水艦隊」を用意周到に準備し実戦投入できたのか?

■開戦前から入念に計画

 アニメ『機動戦士ガンダム』には、「ズゴック」や「ゴッグ」「アッガイ」といった水陸両用モビルスーツ(MS)や、「マッド・アングラー」といった潜水艦隊など、水中戦に対応した兵器が多数、登場しました。ジャブロー要塞での激闘や、ジオンのスパイだった「ミハル」のエピソードなど、印象深い水中戦対応兵器の戦いも多く描かれています。

 ただ不思議なのは、海の存在しない宇宙人工都市「スペースコロニー」の国家であるジオンが、潜水艦隊や水中戦対応兵器の開発、配備を行っていることです。スペースコロニーとは、資料によって若干異なりますが、直径6.5km、長さ30kmから40km程度の円筒型が基本です。

『機動戦士ガンダム 公式設定集 アナハイム・ジャーナル』には、円筒内を水で満たした「レジャーコロニー」の設定がありますから、「海」のようなものがないわけではありません。しかしこの程度の大きさで、例えば水中速力30ノット(時速55.6km/h)のモビルアーマー(MA)「グラブロ」の試験をするのは困難でしょう。コロニーの直径を考えるなら、グラブロが最大速力で旋回したら壁に当たるかもしれません。

 ところが、そのように水中戦対応兵器は開発困難であるはずのジオンが、これを重視しています。最初の本格的水陸両用MS「ゴッグ」の開発は宇宙世紀0078年11月、つまり1年戦争の開戦前です。ゴッグは「ザク・マリンタイプ」の試験を元にツィマット社が水中実験機を制作し、それを改良して生まれたMSですから、0078年11月よりかなり前から水中戦対応兵器の開発が始められていたことがうかがえます。

 ジオン側としては「地球の7割を占める海洋の制海権を握りたい」「地球連邦軍の本拠地であるジャブローを攻撃したい」といった理由でこうした兵器を開発したとの設定ですが、これも不思議です。これは恐らく開戦後のジオン軍の方針なのでしょう。

 というのも、ジオン軍の開戦計画では、ジャブローはコロニー落としで破壊する予定だったからです。コロニー落としで起こった津波が地球連邦海軍の水上艦艇の大半を沈めてしまったので、残った潜水艦を接収して改造し、MS搭載型にした、というお話でもありました。

■水陸両用MSには「本来の目的」があった?

随一の愛されMSとしても知られる。「HG 1/144 アッガイ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 さて、水陸両用MSやMAを運用するためには、大型潜水艦などが必要となりますので、それらのあてもなく開発したとは考えられません。「ユーコン」「マッド・アングラー」といったジオン潜水艦は、連邦軍潜水艦を接収して改造したとの設定が現在は有力ですが、それまで「海軍」なるものが存在せず、何の経験もノウハウもないジオンが、潜水艦を運用できるとも思えません。

 つまり、開戦前から連邦海軍に内通者がいて、ジオン軍に情報や技術者を横流ししていたのではないでしょうか。ジオンはそれを元にシミュレーターや水中実験艦を作り、潜水艦へMSを搭載するための改装計画も事前に準備し、部品も生産済みだった、ということでしょう。

 内通者がいたからこそ連邦の潜水艦は、コロニー落下後の津波を避け、残存し、ジオン軍はこれを接収できた、と考えられます。

 ひるがえって、これら水中戦対応兵器の開発理由として、「制海権を握る」とか「ジャブロー攻撃」とかいった目的は、前述したように一年戦争開始後に設定されたものであろうことから、本来は別の目的があったものと想像できます。

 それは「核抑止力の獲得」です。人口で地球連邦に遥かに劣るジオン軍は、一年戦争に勝利したとしても、広い地球の占領統治をすることは困難です。しかし、ジオンが潜水艦や水陸両用MSに核兵器を搭載し、海洋に潜航させておけば「叛乱地域に核攻撃をしかける」と恐喝することができます。

 ジオン軍による開戦直後の核兵器使用やコロニー落としは、「核攻撃が脅しではない」と考えるのに十分な内容ですから、抑止力が期待できると考えたのでしょう。

 それが南極条約の締結により核兵器の使用が禁止されたことで前提が覆り、「制海権の奪取」や「ジャブロー攻略兵器」の役割にシフトしたのだと考えられます。

(安藤昌季)

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