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「スパロボ」を色々な意味で変えた「規格外のヤツら」 どうゲームに落とし込んだのか

マグミクス / 2024年6月20日 7時25分

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■調子に乗って暴走させてばかりいると見る羽目になる「バッドエンド」

 バンダイナムコエンターテインメントが展開する「スパロボ」こと「スーパーロボット大戦」シリーズは、さまざまな作品のロボットたちが共演するゲームで、30年以上の歴史を重ねています。これまでに274作品が参戦(2021年6月現在、IPライセンス数)し、それら作品のロボットが登場してきました。

 登場するロボットが多いということは、ゲームとしてバランスを取るのが難しいといえるでしょう。それは各作品の特徴ともいえる能力を、ゲームでどういった形にするかによって内容に大きく影響するからです。

 そのような「スパロボ」のなかで、世界観の独自さゆえに本来のエンディングとは別に、独自のエンディングへと導く作品がありました。いわば「スパロボ」に独自ルールを追加させた作品群です。

 そのひとつが、おなじみ『新世紀エヴァンゲリオン』です。初参戦は『スーパーロボット大戦F』(1997年9月25日発売)でした。当時は劇場版『Air/まごころを、君に』の公開直後ということもあり、ブームの真っ最中だったといえるでしょう。

 スパロボ参戦が公式発表された際、ファンからは期待と不安の声が多く寄せられました。それが主人公機「EVA初号機」の持つ特異な能力をどうやって表現するのかという点と、EVAはロボットか否かという論争です

 原典のアニメ設定では「汎用人型決戦兵器」と呼ばれていますが、EVAは機械によって作られたロボットではなく人造人間でした。それゆえに、純粋なロボットではないEVAの参戦に異を唱える人もいたわけです。ある意味、スパロボ最初の「参戦基準が問題となった作品」でした。

 もっとも、その後の参戦作品を見ればわかりますが、意志を持った等身大のロボや、強化服を着た人間、戦艦のみの参戦と、あきらかに本来想定していた巨大ロボでないものが登場するようになっています。そういった意味で『新世紀エヴァンゲリオン』の参戦が、その後の作品参戦の間口を広げたといえるかもしれません。

 この『新世紀エヴァンゲリオン』が参戦することで、「スパロボ」シリーズに独自の新システムが導入されました。そのひとつは「アンビリカルケーブル」です。EVA各機に備わった電力供給用のケーブルで、これにより第3新東京市にある電源供給ビルか母艦から10マス以内にしか展開できない、というデメリットがありました。

 もちろん切断することはできるものの、再接続しないとEN(エネルギー)が急速に減っていきます。逆に接続状態なら毎ターンENが全回復しました。「スパロボ」でEVAが使いづらいといわれる要因のひとつです。

 この反対に、大きなメリットが「A.T.フィールド」でした。4000までダメージを無効化できる能力は、「Iフィールド」や「オーラバリア」といったビーム耐性くらいしか防御特性がなかった当時の「スパロボ」としては破格の性能です。

 そして初号機のみに備わった能力が「暴走」で、敵の攻撃などで撃墜されるとこの状態になりました。暴走状態になると「スパロボ」では「第3軍NPC(ノンプレイヤーキャラ)」になり、敵味方かまわず攻撃を仕掛けてくることになります。さらにマップ終了時には修理費も取られました。

 これをうまく利用してマップクリアする人もいましたが、この暴走回数が次回作となる『スーパーロボット大戦F完結編』(1998年4月23日発売)で、バッドエンド確定の通称「エヴァエンドルート」へと進むフラグになっています。これは「スパロボ」本来のエンディングへたどり着けない、いわば「スパロボ」に新たなエンディングを追加したことになります。

 もっとも、この『F完結編』には3つのバッドエンドが存在しました。

■破壊されたら即ゲームオーバー? 厳しすぎる原作再現ロボ

2021年10月28日発売のシリーズ30周年記念タイトル『スーパーロボット大戦30』より(バンダイナムコエンターテインメント)

『F完結編』のもうひとつのバッドエンドは、ゲームオリジナルキャラの「メキボス」と戦う選択肢を選ぶことで発生するものでした。この選択によって、戦いは永久に続くという形になります。普通にプレイすれば戦うという選択肢は選ばないはずなので、気づかなかった人もいるかもしれません。

 そして『F完結編』の3つ目のバッドエンドが、通称「イデオンエンド」といわれるものです。その名の通り、『新世紀エヴァンゲリオン』と同じく『F完結編』で初めて参戦した『伝説巨神イデオン』によるバッドエンドでした。

『伝説巨神イデオン』は、その衝撃的な結末が印象的な作品です。「スパロボ」での参戦を望むファンも多くいましたが、同時にバッドエンド確定のストーリーをどう組み込むのかが問題でした。また、無数の敵相手でも無双するほどの主役ロボ「イデオン」の強さを、ゲームにどうやって落とし込むのかも難しかったわけです。

 そのようなイデオンをゲーム的に再現したのが、通称「イデシステム」でした。ダメージを受けることなどで徐々に謎の力「イデ」が発動していき、イデオンの能力がアップしていくというものです。これによって使用可能になる「イデオンソード」や「イデオンガン」は射程∞、攻撃力表記9999という、ゲームシステム的に破格の武器でした。

 これらだけを見れば、使い勝手がよく思えるかもしれません。しかし、この状態から強制的にバッドエンドとなる可能性を秘めています。しかもエヴァ初号機と違って特定のマップではなく、いつどのマップでもバッドエンドへと進む可能性がありました。それが前述の「イデオンエンド」です。

 イデゲージが一定値以上になるか撃墜されてしまうと、強制ゲームオーバーともいえるイデオンエンドとなりました。つまり、あまりイデオンの能力を過信して戦うのは諸刃の剣というわけです。

『伝説巨神イデオン』は、作品的には知名度がありながらも、こういった扱いづらさゆえか「スパロボ」の参戦は、このほかには『第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ』(2005年7月28日発売)と、『スーパーロボット大戦X-Ω』(2015年10月5日配信開始、2021年3月30日終了)だけとなっていました。

 もっとも、強制的にゲームオーバーとなったり、バッドエンドになったりするのは何も『伝説巨神イデオン』だけではありません。ほかの作品でも同じようなロボットがありました。

 たとえば『スーパーロボット大戦64』(1999年10月29日発売)で初登場した『六神合体ゴッドマーズ』の主役ロボ「ゴッドマーズ」は、一部のファンから「歩く敗北条件」といわれています。なぜならゴッドマーズが撃墜されるとゲームオーバーとなるからでした。

 これは原作通り、ゴッドマーズには「反陽子爆弾」が取り付けられていて、撃墜されると問答無用でこれが起動するからです。撃墜されるだけで簡単にゲームオーバーになることから、逆に全滅プレイには好都合だと重宝するプレイヤーもいました。

 これらの強制的ゲームオーバーともいえるものは、原典を知っているファンならば回避することはそれほど難しくないでしょう。逆を言えば、原典を知らない人には初見殺しの地雷といえるかもしれません。

 このように、原典作品を忠実に再現することで「スパロボ」の結末すら変えた作品やロボットを見ると、もちろん原典通りのバッドエンドも感慨深いのですが、やはり作品を救済したともいえるハッピーエンドを見られることが、「スパロボ」の醍醐味ではないでしょうか。

バンダイナムコエンターテインメント『スーパーロボット大戦30』:
(C)天酒之瓢・主婦の友社/ナイツ&マジック製作委員会
(C)CLAMP・ST/講談社・TMS
(C)サンライズ
(C)SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design (C)2006-2017 CLAMP・ST
(C)SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design (C)2006-2018 CLAMP・ST
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(C)創通・サンライズ
(C)創通・サンライズ・MBS
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(C)円谷プロ (C)Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi (C)ULTRAMAN製作委員会
(C)円谷プロ (C)2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
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(C)永井豪・石川賢/ダイナミック企画
(C)1998 永井豪・石川賢/ダイナミック企画・「真ゲッターロボ」製作委員会
(C)2005 AIC・チームダンチェスター/ガンソードパートナーズ

(加々美利治)

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