賛否両論呼びがちな「原作改変」 アニオリが「いい塩梅」なジャンプアニメとは?
マグミクス / 2024年6月19日 12時10分
■原作を補完する内容だったらOK?
マンガ作品のアニメ化に伴う、アニメオリジナル展開、いわゆる「アニオリ」はたびたびファンの間で議論が巻き起こります。やはり原作マンガが好きな人からすれば、その作品の雰囲気を壊す描き方がされたなら、不満が募るのも納得できます。とはいえ、オリジナル展開のあるアニメだからといって、すべての作品が悪い評価を受けているとは限りません。なかには「良い塩梅で原作を補完している」など、原作ファンが満足するケースもあります。
2024年5月から放送中の『鬼滅の刃 柱稽古編』を例に挙げると、たっぷりと尺を使ってアニオリのエピソードを描いた回もあれば、ほぼ原作通りのテンポで進んだ回もあり、いずれも原作ファンから高評価を得ています。原作への愛が強いファンのいる「週刊少年ジャンプ」掲載作品で、アニオリ展開が多くても、高い評価を受けたアニメはほかにどんなものがあるのでしょうか。
●『幽☆遊☆白書』
『幽☆遊☆白書』(作:冨樫義博)のTVアニメ版は、1992年から1995年にかけて全112話が放送されました。交通事故で死んだ主人公「浦飯幽助」が、その後に試練を乗り越えて生き返り、人間界で悪事を働く妖怪を倒す「霊界探偵」になって、仲間の「桑原和真」や「蔵馬」、「飛影」らと一緒に活動していくという物語です。
大筋は原作に沿ったストーリーでしたが、アニオリ展開も多く見られました。例えば原作ではまったく接点がなかった、桑原の姉「静流」と敵役である戸愚呂チームのオーナー「左京」は、アニメ版でふたりの出会いと別離までが描かれています。また「魔界トーナメント編」も原作にない戦闘シーンや改変が加えられ、原作よりも詳しく描かれている場面が多い印象です。
基本は原作に沿った展開であり、アニオリは物議を醸すほどのものはなく、むしろネット上には「原作も大好きだけど、アニメの方もより深みが出ていて好き」「静流と左京のシーンをもっと見たかった」など、アニメ版を推すファンが数多く見られました。
●『BLEACH』
『BLEACH』(作:久保帯人)のTVアニメシリーズは2004年から始まり、2022年には最終章である『千年血戦篇』に突入し、その第3クールが2024年に放送予定です。
長きにわたってTVアニメシリーズとして続いている同作は、幽霊が見える体質の主人公「黒崎一護」が人の魂を喰らう「虚(ホロウ)」と戦って、死神として成長していく様子が描かれます。原作を補完するアニオリ展開だけでなく、「バウント篇」「新隊長天貝繍助篇」「斬魄刀異聞篇」といった、アニメ独自のシリーズも放送されています。
アニオリ展開に対して、ファンの賛否が分かれているシーンはあるものの、最終章『千年血戦篇』では絶賛されているエピソードがあります。史上最強の死神がそろった「初代護廷十三隊」と、圧倒的な強さを誇るラスボス「ユーハバッハ」とのバトルシーン、「破面篇」で敵として描かれた「藍染惣右介」とユーハバッハとの会話には、「原作ファンが喜ぶアニメ化をしてくれている」「作者の久保先生が監修していることもあって、絶えずワクワク感がある」と多くのファンから好評の声があがっています。
『千年血戦篇』の公式サイトには、シリーズ構成を担当する平松正樹さんへのインタビューが掲載されています。藍染のアニオリシーンについて、「原作では藍染は回想の1コマのみの登場ですが、『藍染VSユーハバッハの会話を見てみたいよね!』ということで新規追加することになりました」と語られていました。
●『NARUTO-ナルト-』
アニオリエピソードの完成度が高い作品といえば、『NARUTO-ナルト-』(作:岸本斉史)のTVアニメシリーズは外せないでしょう。落ちこぼれの忍者である主人公「うずまきナルト」が「木ノ葉の里」の頂点である「火影」を目指して、敵たちと戦いながら成長していく様子が描かれます。
TVアニメシリーズは、2002年から『NARUTO -ナルト-』(少年篇)が、続編の第2期『NARUTO -ナルト- 疾風伝』が2007年から2017年にかけて放送されました。原作に沿って話が進行するものの、途中でアニオリ描写や完全オリジナルのストーリーも登場します。
また、ナルトの師である「はたけカカシ」の過去を描いた「カカシ暗部篇~闇を生きる忍~」や、犯罪組織「暁」の一員「うちはイタチ」の語られなかった真実が明かされる「イタチ真伝篇~光と闇~」など、複数の話にわたって展開されたアニメオリジナルストーリーも放送されました。
もちろん、すべてのアニオリエピソードが好評なわけではありません。「本編に関係ない話は蛇足」という厳しい声があるものの、「原作を補完している部分も多くてファンとしてはありがたい」「シリアスや笑える話、感動回もあるから見ごたえがある」と、高く評価するファンの声も数多く見受けられました。
(LUIS FIELD)
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