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「3次元は無理」「年齢変えると問題が」 実写化で「改変」されがちな子供キャラたち

マグミクス / 2024年6月19日 20時10分

「3次元は無理」「年齢変えると問題が」 実写化で「改変」されがちな子供キャラたち

■個性派の「子供キャラ」は実写だと消されてしまう?

 人気マンガ『はたらく細胞』(著:清水茜)の実写映画が、2024年12月に公開予定です。それに先立って公開された予告編の動画では、「白血球」役の佐藤健さんのアクションに注目が集まったほか、「血小板」を演じるのが大人でなく、ちゃんと子供(リーダーちゃん役が誰かは不明ですが)であることにも賞賛の声が上がっています。

 血小板ちゃんたちは確かに、原作において可愛らしい子供の姿をしています。ならば実写で子供が演じるのはごく普通の流れ、のようにも思えます。しかし、実際のところ、「子供キャラ」が実写版において設定が改変されたり、いなかったことにされたりするのは、しばしばあることです。

 この話題でまず思い出されるのが、国民的マンガ『名探偵コナン』(著:青山剛昌)の実写ドラマです。2006年放送の第1回目では、なんと「江戸川コナン」が登場しませんでした。『コナン』の実写なのに、コナンがいなかったのです。代わりに登場するのは、コナンの本来の姿で高校生探偵として活躍する「工藤新一」(演:小栗旬)でした。

 こちらの実写ドラマは、黒の組織によって身体を小学生に変えられてしまう以前のストーリー、という設定なのでした。ちなみに、第2回目でようやく子役の藤崎直さんが演じる実写の江戸川コナンが登場するものの、彼の声はアニメのコナン役の声優、高山みなみさんによって吹き替えられていました。そして、結局また工藤新一の姿に戻ってしまいます。

 実写版でもコナン君の活躍が観たかったとはいえ、小学生の見た目をした子役が原作同様にシリアスな口調で事件を解決していき、さらにそれが周りにばれない……これをコントではなく、ミステリーとして成立させることは、たしかに困難を極めそうです。

 コナンほどではないものの、2014年に実写ドラマが放送された『地獄先生ぬ~べ~』にも、一般的な小学生よりクセの強い子供たちが多数登場しました。1990年代に一世を風靡した同題の人気マンガ(原作:真倉翔 作画:岡野剛)を原作とする作品で、「ぬ~べ~」こと主人公の教師「鵺野鳴介」(演:丸山隆平)が受け持つのは、高校のクラスに変更されています。この改変は、放送当時から物議を醸していました。

 原作同様、妖怪の絡む騒動が描かれるなか、このドラマ版の高校生たちも原作の小学生たちと同じような問題行動を起こします。そのため、「小学生だから大目に見られたやらかしがスルー出来ない」「善悪の判断のつかない小学生とある程度の高校生とでは過ちの度合いが違う」といった指摘も相次ぐことになってしまいました。

 そのほか、実写映画版では子供たちが「鬼」に出荷される年齢の上限が12歳から16歳に引き上げられた『約束のネバーランド』(原作:白井カイウ 作画:出水ぽすか)や、映画化、ドラマ化されるも、原作と同じ小学生たちの物語にはならなかった『漂流教室』(著:楳図かずお)のように、メインキャラクターや主人公でさえ、子供であると実写版では改変、あるいは抹消されてしまいます。

 アニメやマンガの子供たちは、現実の同年代の児童よりもはるかに流暢にしゃべり、高い身体能力を見せるなど、大人びていることが多いですし、やはり再現性において「子供キャラ」は難易度が極めて高いのでしょう。

 ただ、2009年公開の『BALLAD 名もなき恋のうた』は、新しいアプローチの仕方を提示してくれています。山崎貴さんが監督、脚本を務めた本作は、2002年公開の原恵一監督によるアニメ映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を「原案」とした作品です。この『BALLAD』には「野原しんのすけ」は登場しません。かわりに川上真一(演:武井証)という、小学生のキャラが登場します。

 大胆なアレンジではありましたが、あくまでも本作は「翻案」作品であり、『アッパレ!戦国大合戦』の実写化映画作品ではない、という点は強調すべきでしょう。子供キャラのなかでも、コンプライアンス的にもいちばん実写化が難しそうな、しんのすけの「3次元版」が観られる日は来るのでしょうか。

 もちろん全ての「子供キャラ」が実写化において改変されたり、抹消されたりしているわけではありません。『ちびまる子ちゃん』(著:さくらももこ)は幾度となく実写ドラマ化されていますが、「まる子」のクラスメイトを含め毎回、絶妙に似ている子役がキャスティングされています。

 また、尼子騒兵衛先生のマンガ『落第忍者乱太郎』およびテレビアニメ『忍たま乱太郎』の実写映画版2作(2011年、2013年)でも、「乱太郎」役の加藤清史郎さんを中心に、当時小学生の子役たちが忍者のたまごとしてイキイキとした活躍を見せてくれました。

 確かに子供のキャラを子役で実写化するには、必要最低限のリアリティが保てず、違和感が生じてしまう作品もあるでしょう。そうした作品においては(原作者が同意する限りにおいてのみ)、子供キャラの年齢変更などは必要な改変ともいえますが、原作改変に対する意識が社会全体で変わりつつある今、この「子供キャラ」の再現性こそ作品の成否を決定づける要素となっていくかもしれません。

(片野)

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